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zoom RSS 『パトリオット・デイ』(2017)テロリストとどう向き合うのか。

<<   作成日時 : 2017/06/12 21:29   >>

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 アメリカらしい直球なタイトルにはむしろ羨ましさがあります。日本だったら、英雄の日や英霊の日でしょうか。タイトルからは戦勝国らしい傲慢さが漂いますが、中身はしっかりした作品です。

 ルールを決める主導権は自分達にあり、自分達にとって都合が悪いものは悪と決めつけ、正義を体現しているのは自分達だと信じて疑わないのは戦勝国の特権ではありますが、いつまで言ってやがるという怒りもあります。

 警察権力も自分たちとは違う価値観を本音では認めないが、宗教団体との直接な抗争は避けたがる。そもそも日本では国連と訳される「UNITED NATION」は他国では連合国軍を意味するわけですから、日本はただ搾取されるだけで、あの組織はそもそも味方ではない。

 この状況を変えるのは第三次世界大戦が起こり、戦勝国側に立つまで続くでしょう。しかしまあ、なぜこんなに我が国の周りは中共と北朝鮮の独裁政権、プーチンの独裁ロシア、常に日本に敵対するあの国と敵性国家ばかりなのだろうか。

 それはそれとして、今回の上映では観客が10人程度と寂しい限りではありましたが、内容はシリアスで見ごたえのある力作でした。

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 訳が分からないよろめき不倫ドラマの映画化よりも断然見応え十分でしっかりと脚本が練られた作品に光が当たらない状況は不思議ではあります。

 イスラムだから悪いという安易な態度ではなく、実際の現場にいた警察官や捜査官、州知事などの政治家たちが市民を守るため、そして生活を平和な状態に戻すため、幼い少年や何の関係もないマラソンランナーたちを爆死させ、真面目な警官たちに平気な顔をして爆弾を投げつけ命を奪い去ろうとするテロリストを捕らえるためにどう動いたのかをドキュメンタリー・タッチで描いた秀作です。

 今から4年前のボストン・マラソン大会で実際に起こってしまったイスラム過激派のテロによる卑劣な爆破事件を題材に取っています。

 1970年代だったら、シドニー・ルメットやドン・シーゲルあたりが監督したら、良い出来になっていただろうなあと思わせてくれるような仕上がりです。前半40分近くまで場面転換しながら、『グランドホテル』のような群像劇に仕立てていきます。

 まだ時間の経過が不十分と思えますが、これが国民への印象操作だとすると近いうちにイスラム国殲滅作戦か北朝鮮攻撃があるのだろうか。

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 映画では開巻後30分以上を過ぎるころに起きるマラソン当日の爆破シーンまで繋げてくるサスペンスの演出は巧みで、これ以上先延ばしにすると観客がダレてくるでしょう。

 しかし爆発とともにすべてが動き出し、普通の人間であれば、人生で見たくはないもの、たとえば飛び散った肉片や子供の死骸などが次々に出てきます。

 現場映像を集積し、ひとつひとつ犯人の足跡を防犯カメラ映像でたどりながら、顔認証やメール送付などでデータを得ながら犯人を炙り出す。一般市民のデータまで取り放題なのはやめて欲しいが、凶悪犯罪を解決するためならば、ある程度のルールを設けた上でのデータ取得は仕方ないのではないか。

 逃亡中に引き起こされる凶悪犯による警官殺しを挟み、観客すべてはイスラム憎しの感情を叩きこまれていく。そして後半の山場となる警官隊と爆弾を持つ犯人たちとの凄まじい銃撃戦も緊迫感があります。

 実際にこんな感じだったのだろうと思うと、近隣住民もさぞ恐怖の一週間を過ごしたことでしょう。アメリカらしく、知事や警察署長が“オラが町”を愛するが故の感情剥き出しの発言がむしろ心強い。

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 事務的に応対されるだけではいくら正しくとも感情を揺さぶられることはないので、出して良い時は我々も感情を高ぶらせても良いのではないか。

 演者ではまずはマーク・ウォールバーグが熱演した主役トミーの印象が強い。使命感で何とか精神を持たせているギリギリの現場警官の強い意志を感じます。ジョン・グッドマンが演じた警視総監とケヴィン・ベーコンが演じたFBI捜査官がマークを支えていて、演技に深みを与えています。
 
 マーク・ウォールバーグが作品を引っ張っていますが、でしゃばっているわけではなく、彼の存在感にただただ圧倒されてしまいます。ドキュメンタリー・タッチと書きましたが、最後には実際の関係者が登場し、事件を振り返り、未来志向までを語ってくれています。

 皆が大いに傷つき、犠牲者を出した事件ではありますが、彼らが語る言葉はとても重く力強い。事件については捜査側に視点が置かれているため、犯人たちのバックグラウンドとなった生い立ちや思想背景、経済的な事情などは語られない。

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 なぜそういう発想になってしまうのか、どうすればテロ準備をする前に防げるのかという視点も考えなければならないのかもしれない。

 海外から入国して来ようとするテロリストはまだ入国審査などで引っかかる可能性もありますが、日和見菌のように突然動き出す輩には何の対応もできない。

 実際に大がかりな事件が起こってしまった場合、それにどう迅速に対応して、追加被害をもたらさないという対応策が必要になるので、警察力の強化と権限の強化、そして責任所在の明確化はオリンピックを控えた現状では喫緊の課題と言えるかもしれない。

 対テロ法案に反対する政党は無責任極まりなく、準備していても起こる時は起こるのに何も用意をしていないというのではお話にならない。

 なおこの映画にもムダに中国人が出てきますし、各国で報道される様子にも新華社かどこだか分かりませんが、中国語で語られる映像が出てきます。

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 ウイグルなどあちらこちらで人権を弾圧している中共がどの面下げてニュースを伝えたのだろうか。流し方によってはテロを力付けるニュースになるのを理解しているのだろうか。

 いろいろ考えてしまう作品です。エンタメを楽しむという雰囲気ではないので、くれぐれもポップコーンなどは持ち込まず、スクリーンに集中して、人権や宗教、貧困や差別についても思いを馳せるべき作品ではないか。

 年に何回かは観るべき真面目な一本です。こういうのはもっと観られて欲しいですし、家庭で話し合うべき重いテーマです。楽しくはならないでしょうが、後味を引く体験を特に若い観客層にはしてほしい。観客としての幅を広げるきっかけになると思いますよ。

 それと嬉しいのはケヴィン・ベーコンの重みです。ぼくらが中学生だったころに青春映画スターとして君臨していた彼がまさかこのように深みのある脇役俳優で復活してくるとは思いもよりませんでした。


総合評価 88点


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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒サン、続けてお晩です。
「ブラックホークダウン」
国連の任務に殉ずる勇敢な特殊部隊→確かに数名散華したが実際には圧倒的反撃の結果でソマリア人を大虐殺
本作「Pデイ」もホワイトウォッシュ映画なんでしょうかね?
しかし、ユダヤ流民以来の亡国の歴史を有し、蒙古やトルコに長らく侵されてきた欧米にあって生活圏防衛は絶対ですからね。
オバマの融和的態度に反感を持っていた米国民層の本音としての作品なのかも知れませんね。
欧米の政略に対抗して日本の生活圏を保つべく努力した先人を誹謗するような映画を垂れ流す我が国よりは歴史的にはマトモなのかも。
欧米の生活圏防衛は徹底した敵の殲滅ですが、「日米開戦 陸軍の勝算 (祥伝社新書) 林千勝」を読むと日本人は合理的に事態を収束しようとする意思が強いようですね。
その文化的差異ゆえに欧米の映画を面白く観られるのでしょうか。
ただ、強い日本を望まない連中が、それを利用しているのが現状とも言えますが。
支那のテロ報道は自国における弾圧の正当化の為であるとは、巷間いわれているようですね。
カウンターカルチャーというか、ポリティカル・コレクトネスのアンチテーゼとして歴史の真実を描く映画が必要ですかね、我が国にも。
さて、自分は訪ねたことはありませんが、大坂に支那のアンチテーゼ的スポットがあるようです。
支那に飽きたら如何ですか?
Tibet kitchen bar Mother Land 心斎橋🍷
我が家に帰ったような落ち着いた空間…
美味しいチベット料理とお酒をお楽しみに♬
色んなお料理をこだわりのお酒とともに楽しんで頂けます!
普段の営業時はカウンターでゆっくりとお酒を楽しめるような、そんな落ち着いた空間を演出します。

きやらはん
2017/06/13 19:39
こんばんは!

オバマ元大統領の弱腰な態度に不満だった人々が中国ズブズブのヒラリーではなく、問題児ではあるが彼女よりは正直に見えたトランプを選んだのでしょう。

移民も増え続ける米国で今回、もし民主党が政権を握っていれば共和党の目は無くなると言われていましたし、現状を望む富裕層は民主党を嫌がったのかもしれません。

>支那
文字変換で出てこないのに驚きますねw
いったいどこの国で商売しているのでしょうかね?

ケツの穴が小さい共産党はチベットを支持する(当然民主主義を信じる者はそうすべきである)リチャード・ギアに圧力をかけ続け、彼が大作に出られないように嫌がらせをし続けています。

リベラルを気取るハリウッドですが、彼らの本性は金儲けだけであり、ヒトラーの台頭を黙認したように支那の悪事を見て見ぬふりをするのでしょう。

まさにくたばれ!ハリウッドという感じです。ゴジラの米国版の続編を中国で作るなどありえないことを平気でやる連中ですから、自由や平等など猛犬注意のステッカーくらいにしか考えていないのでしょう。

映画自体の出来は良かったですよw

ではまた!
用心棒
2017/06/13 20:24
用心棒サン、続けてお晩です。
流石の脳天気ハリウッドも、ダメ過ぎる支那に手を焼いて何とか日本の良質な遺伝子を移植したかった、それがシン・ゴジラならぬ支那・ゴジラだったのでしょうか。
ヤンキーの代わりに戦ってくれるお猿のジョージが大好きな連中ですが、今まで飼い慣らすことが出来たことってありましたっけ?
きやらはん
2017/06/15 21:25
こんばんは!

製作を中国でやるのなら、いっそのことGに北京や上海を破壊しつくして欲しいですね。

ただ、ケツの穴が小さい中共が公開させるかは未知数ですがww

ではまた!
用心棒
2017/06/16 00:07
用心棒さんこんばんは。我が国の暴力団組織(ヤクザ)や右翼団体、暴走族なんかも十分なテロリスト集団だと思います。アキバや相模原の殺傷事件や新幹線内の焼身自殺もテロ事件じゃないのでしょうか?日本やイタリアでイスラム系のテロが起きてないのはヤクザやマフィアの存在があるから?
さすらいの映画人
2017/06/16 20:35
こんばんは!

外国人が国内で好き勝手出来るようになったのは暴力団を法で絞め付け過ぎたためだと聞いたことがあります。

>暴走族
うるさいですよね。イイ気になって、よそ者が夜中にバイクの大きな音を鳴り響かせたら、イライラしますし、銃があったら射撃したいですよ。

イージーライダーでもよそ者がイイ気になって暴走しているから最後は撃ち殺されましたものね。

ではまた!
用心棒
2017/06/17 00:36
用心棒サン、キネマ旬報がやらかしてくれましたよ。
これもPデイを盛り上げるための宣伝の一環…ではなく、確信犯的素性なのでしょうね。映画界に潜む宿痾ということで。

映画雑誌『キネマ旬報』の発行で知られる出版社・キネマ旬報社(東京・千代田区)が2017年6月16日、公式ツイッターアカウントの投稿で「ご混乱・誤解を招いてしまいました」としてウェブサイト上でお詫びした。

キネマ旬報社公式ツイッターは6月15日朝、「国会死んだ。『共謀罪』の構成要件を改め、『テロ等準備罪』と、NHKが連呼する『新共謀罪』が成立。円満に採決することは難しい、と『中間報告』をまるで擁護するナレーション。これでは官邸の放送局だ。公共放送も死んだ。国家権力の暴力を見た朝」とツイート。投稿の末尾には「松」という一字が添えられていた。

https://www.j-cast.com/2017/06/16300865.html

当社のSNS運用ポリシーについて
当社では出版物及び各事業についてより幅広くお客様に告知するため、Twitter, FacebookなどのSNSサイトを活用しております。その運用にあたっては、より活発な活用を目指して、複数の担当者による自由な投稿を行っておりますが、それらの投稿内容は会社の公式見解・発表を必ずしも表するものではありません。先般来それらを混同して受け取られかねない状況となっており、ご利用の皆様にはご混乱・誤解を招いてしまいました。

弊社の「SNS運用」についてあらためて告知し混乱をお詫びするとともに、いま一度運用ルールを整備しながら、今後も弊社のプロモーションや映画情報などの発信を務めてまいります。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い致します。
きやらはん
2017/06/17 23:41
こんばんは!

>キネ旬
アホですねwww

ソーシャルメディアポリシーとか、社内教育とかは全くされていないのですかね?

メディアや上場企業に所属する者は自分の意見が会社を代表するものとして捉えられる危険性を理解しながらフェイスブックやツイッターなどでは話すべきなのは常識ですが、まさか会社の公式ツイッターで政治について感情的な発言をしてしまうスタッフが存在することに驚きました。

ではまた!
用心棒
2017/06/19 01:14
用心棒サン、ほんとうドウでもよい虚業界を覗いてしまいました・・。キネ旬は相当に長い期間、読んでいませんが未だに出版されていたのですねぇ。
昔はかなりグロい映画を紹介する雑誌も普通に書店にありましたよね。今はアマゾンに圧されて青息吐息の書店を助ける映画誌を期待して止まないところです。
でも、そういう出版って殆ど無いので結局は用心棒サンに辿り着くのでしょうか笑。
きやらはん
2017/06/19 21:02
こんばんは!

キネ旬はぼくも10年以上読んでいないですね。映画検定を洒落で受けていた時にたまに読んでいましたが、いつの間にかあの企画も音沙汰がないですね。

これの繋がりで西日本のある地域で行われる映画祭の審査員で来てくれませんかという打診もありましたが、胡散臭いので断り続けていましたw

>グロい
あとあと記憶に残るのはこういう作品なんですよねww

ではまた!
用心棒
2017/06/20 00:30

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『パトリオット・デイ』(2017)テロリストとどう向き合うのか。 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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