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zoom RSS 『地球に落ちてきた男』(1976)稀代のロックスター、デヴィッド・ボウイ主演SF映画。

<<   作成日時 : 2016/01/26 17:06   >>

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 つい先日、ネットを開くと1970年代にグラム・ロックのカリスマとしてTレックスのマーク・ボランとともに圧倒的な人気を得て、その後も大スターとして君臨し続けたデヴィッド・ボウイの訃報がニュースで流れていました。

 40年以上に及ぶ彼のロック音楽界への功績が偉大であるのはもちろん、自分の過去アルバムの権利をもとに作ったボウイ債という債券ビジネスを立ち上げるなど独特かつ斬新な手法を駆使する画期的なビジネスマンでもありました。

 彼の残したナンバーでは『スペース・オディティ』『スターマン』『ダイアモンドの犬』『ジギー・スターダスト』『モダン・ラヴ』『ブルー・ジーン』『トゥナイト』などが思い出深く、アルバムではニューウェイブの先駆けと言われた『ロウ』やティナ・ターナーとのデュエットが話題だった『トゥナイト』をよく聴いていました。

 なによりも美しく、中性的なルックスを持つ彼には映画界からのオファーも多く、大島渚監督の話題作でビートたけしや坂本龍一などと共演した『戦場のメリー・クリスマス』でのキス・シーンは中学生だったぼくにはかなり衝撃的でした。

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 その他に映像作品として有名なのが『ジギー・スターダスト』とこのSF映画『地球に落ちてきた男』でしょう。妖艶で美しいルックスのボウイがバイセクシャルだったのは有名な話ですが、昔は風変わりなスターとして捉えていました。

 彼は結婚もしていましたし、子供も授かっていましたので実際にどうだったかは分かりませんが、バイセクシャルの場合はそのときそのときの恋愛対象が同性であったり、異性であったりということもあるようですので、真偽は分かりません。

 現在では性のあり方もさまざな指向があることが知られるようになってきており、総称としてLGBTもしくはLGBTSとも言われています。

 Lはレズビアン(女性同士)、Gはゲイ(男性同士)、Bはバイセクシャル(どちらの性も愛せる。)、Tはトランスジェンダー(両性具有など。)、最後のSはその他の指向(たとえば、そもそも人を愛するという感情がないひともいる。嗜好ではない。)など多岐に渡ります。

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 またゲイについては昔は男性同士の関係を表していましたが、ゴールデン・グローブ賞でジョディ・フォスターが「自分はゲイだ。」とカミングアウトしたようにどちらにでも使われるようです。性的指向にも色々な種類があります。

 こういった傾向を持つ人々は10%前後存在する(日本では8%程度と言われているようですが、まだまだ遅れているわが国ではカミングアウト出来ずに隠している人も多い。)という研究もあるようですので、割りと実際には多いのだなあという実感です。

 自分の性的指向が普通(普通という言い方も問題があり、そうでないと自分が認識する指向について異常だと言っているに等しい。異性に性的指向を持つ大多数の人々はストレートと表現される。)でLGBTSに関して偏見を持っていると何かの拍子に軽口を叩き、当該の指向を持つ人々を苦しめることになるので注意したい。

 繰り返しますが、全体の一割弱です。異なる指向を持つ人々を嫌うのは個人の勝手だが差別するのは良くないということだろうか。彼氏彼女という言い方も良くないようで、パートナーとか恋人というほうが当たり障りがない。

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 まあ、まとめると人の趣味や指向に関しては余計なことを言うなということと相談された場合にはあからさまに差別的な言葉を投げ掛けたり、態度を変えたりしないことが肝要なのでしょう。デヴィッド・ボウイ死去に絡めて、ぼくがこの性的指向の話を職場で話したら、後日私もそうなんですという後輩女性がいました。

 くれぐれも無思慮な発言をして、彼や彼女を傷つけないよう気を付けましょう。また告白されたときは他の人たちに絶対に言いふらさないようにしましょう。勇気と覚悟を持って相談してきた人を裏切らないようにしたい。

 それはともかく、この映画『地球に落ちてきた男』は上映時間二時間以上(僕が持っているのは133分版。一番長いのは140分程度らしい。)の文芸SF大作であり、なかなか集中して見続けるのは疲れます。

 展開が緩やかすぎて集中が続かないという声も多い。ぼくも長すぎると思いますが、作り手側からするとその長さも含めて一本の作品なのだという意志を読み取れます。宇宙へ帰ろうとしても帰れないイライラする感情、母星への帰還がいっこうに進まない絶望感は上映時間に織り込まれているのかもしれない。

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 昭和の大昔、われらが東京12チャンネルでこの作品が放送されたときには大幅に切り詰められていたためか、今回あらためて見ていくとずいぶん違った印象を受けます。じつはカットされた短縮版のほうが見やすく、テンポが良くなってしまっているモヤモヤ感があるのはいかんともしがたい。

 主演がデヴィッド・ボウイではなかったら、おそらく見ることもなかったに違いない。興味を持たれた方はBSやCS放送を待つか、あるいはDVDなどを手に入れて、若かりし頃のデヴィッド・ボウイの魅力に浸ってもらいたい。

 ブキミな印象を与える牛乳瓶の瓶底メガネが異常に似合うバック・ヘンリーははまり役です。性描写シーンが必要以上に多いのも特徴で、全裸の女子学生をおおぜい漁りまくる教授役のリップ・トーンはやりたい放題にやっています。

 主役のボウイも義眼を外すシーンがあったり、拷問に近い人体実験を受けるシーンがあったりと1970年代の感覚に戻ってみてみるとかなり過激な描写が盛り込まれている。

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 光の反射などセンスに溢れる映像といっけん脈絡がないもののまったりとした展開のリズムが独特で、ニコラス・ローグの個性が存分に発揮されているのでしょう。彼の映像を引き立てているデヴィッド・ボウイの貢献度は大きい。両者の才能と個性が上手く混じりあった幸せな一例なのかもしれません。

 音楽面ではグレース・ケリーとビング・クロスビーの『トゥルー・ラブ』やルイ・アームストロングの『ブルーベリー・ヒル』が味わい深い。エルビス・プレスリーもデヴィッド・ボウイが見ているテレビの一つに映っています。

 しかし一番印象に残っているのはエイリアンである彼の母星で家族に見送られるときに乗り込む瓦葺の小屋のようなデザインの風力で走る電車(?)なのです。なんだろう、あれ?

総合評価 65点


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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
1996年に名古屋センチュリーホールでデヴィッド・ボウイのライヴを見ました。当時の日本人達にとっての最新アルバムは「アウトサイド」。「予習」してからコンサートに行きました。
演奏中に煙草に火をつけて吸ったり、ペットボトルに入った水を飲むデヴィッド・ボウイの「余裕」がカッコ良かったです!
蟷螂の斧
2016/01/27 18:56
用心棒さんこんばんは。僕もテレ東放送版見てみたいです。DVDやブルーレイに収録されないかな。デヴィッド・ボウイの作品では「戦場のメリークリスマス」や「ラビリンス」も印象深いです。デヴィッド・ボウイの前にはナタリー・コールが、後にはイーグルスのグレン・フライが海外のアーティストが相次いで亡くなりました。イーグルスの曲はもちろんソロで発表した「ビバリーヒルズ・コップ」のOPや「テルマ&ルイーズ」のEDも忘れられません。
さすらいの映画人
2016/01/28 19:42
こんばんは!
>予習
これは大切ですね。ファンは昔の曲への愛着が強いので、どうしても思い入れのある曲を支持しますが、アーティスト本人にとっては過去はすでに過去でしかなく、新しいチャレンジをした新曲への反応に興味をもっているはずです。

結果としてセットリストの大半を新譜に割くでしょうから、予習は欠かせませんね。

ポール・マッカートニーもインタビューで「欧米のファンは昔の曲にしか興味を示さないが、日本のファンは新曲も喜んでくれるから日本に来るのだ。」という趣旨のことを語っているのを読んだことがあります。

ではまた!
用心棒
2016/01/29 00:23
こんばんは!

>テレ東放送版
今回、あらためて133分版を辛抱強く見直しましたが、何度見てもつらいですよww

音楽もなんだかテレ東版と違う気がしました。たぶん曲の使用権やらなんやらでもしかすると著作権が切れた曲をテレ東担当者がセンスで選んで曲を当てていたのかもしれません。

この映画に使用されている曲って、たしかデヴィッド・ボウイ本人の曲はなかったような感じです。彼の楽曲すべてを知ってるわけではありませんので何とも言えませんが、あらためて彼のナンバーを使用してサントラを選び直せば、印象が変わってくるかもしれません。

もっともそうなってしまうと映画の意味が無くなってしまうのでナンセンスですがww

>グレン・フライ
『ヒート・イズ・オン』ですね!なつかしいですよ。ナタリー・コールはナット・キング・コールの娘さんですよね。たしか『アンフォゲッタブル』をむりやり親子デュエットの形にしたのを聴いたことがあります。

学生のころ、聴いていた人や好きだった俳優さんが年々亡くなっていくのは悲しいですね。ぼくはキング・クリムゾン、ザ・ポリス、ストーンズ、フェイセズなども大好きだったので、ロバート・フリップやスティング、キース・リチャーズ、ロッド・スチュアートが亡くなったら、しばらくは呆然とするかもしれません(泣)

ではまた!
用心棒
2016/01/29 00:35
>ポール・マッカートニー
>日本のファンは新曲も喜んでくれる

1993年の来日公演。当時の最新アルバム「Off the ground」からの一曲「C'mon People」。あれは盛り上がりました!いろいろな人たちの顔がスクリーンに映されるんだけど、最後にジョン・レノンとポール・マッカートニーの顔写真がアップになる。感動しました!

>デヴィッド・ボウイの「アウトサイド」

「We Prick You」がすごく良かったです!
蟷螂の斧
2016/01/30 11:01
 こんばんは!

ライヴが一番ですものね。レコードとは違う迫力と臨場感は味わい深いですし、記憶に残り続けますね。

ライヴは予習が大切というのがあらためて分かりますねwwではまた!
用心棒
2016/01/31 00:09
>戦場のメリー・クリスマス

坂本龍一が作曲したテーマ曲。いいですよねー!

>ライヴが一番ですものね。レコードとは違う迫力と臨場感は味わい深いです

その通りです。ポール・マッカートニー&ウィングスの「ハイ・ハイ・ハイ」はライヴ・ヴァージョンの方が好評です。
蟷螂の斧
2016/01/31 18:56
こんばんは!

>坂本
インスト版は『メリー・クリスマス ミスター・ローレンス』ですね。坂本とJAPANのデヴィッド・シルヴィアンが組んで、ヴォーカルをつけた『禁じられた色彩』というのがあり、ぼくはそちらの方が好きです。もっともYMOファンだったので、両方とも当時はレコードを持っていましたし、CD化された際には両方買いましたww

>ハイ・ハイ・ハイ
ポールの曲って、わかりやすくライブでノリが良さそうなのが多いですね。

ではまた!
用心棒
2016/02/02 00:46
>主役のボウイも義眼を外すシーンがあったり、拷問に近い人体実験を受けるシーンがあったり

大学時代にテレビから日本語版を録画して一度だけ見ました。
不気味な場面がありましたが、1970年代当時のボウイ・ファンには刺激的だったでしょうね。

>ポールの曲って、わかりやすくライブでノリが良さそうなのが多いですね。

残念ながら・・・僕が好きな「ジュニアーズ・ファーム」は来日公演で披露された事がないんですよ。お客さん達がノリそうなんですが・・・(^^;

蟷螂の斧
2016/02/03 06:23
こんにちは!

>ボウイ・ファン
ビデオもなかった1970年代で、洋楽がかかる音楽番組もほぼない状況でしたから当時のファンにとっては動く彼を見られるだけでありがたかったでしょうね。

現在のようにCS、BS、ネット、レンタルとなんでも来いの時代にはありがたみなんかないでしょうけどww

恵まれ過ぎていますね。一本の映画や一枚のレコードが貴重だった頃の方が集中して作品に接していましたよ。

ではまた!
用心棒
2016/02/03 16:37
>一本の映画や一枚のレコードが貴重だった頃の方が集中して作品に接していましたよ。

デビッド・ボウイの「レッツ・ダンス」「モダン・ラヴ」。
FM放送からカセット・テープに録音して何度聞いた事か・・・。

ビートルズの映画「HELP!」も同様です!
蟷螂の斧
2016/02/05 00:24
こんばんは!

>「モダン・ラヴ」
当時、シングル盤を買いましたよ!A面がスタジオ・テイクでB面がライヴ・テイクでした。個人的にはB面の方が好きで、DATに録音していたのをCD-Rに焼き直しましたww

昔のシングル盤はアーティストによってすごくファン思いの人たちもいて、ブルース・スプリングスティーンやプリンス、ローリング・ストーンズの初期やビートルズはアルバムと被らない曲を収録してくれていることが多く、嬉しくて買っていましたよ。

ビートルズなら、「シーズ・ア・ウーマン」「レイン」「ストロベリーフィールズ・フォーエバー」「レヴォリューション」「ジ・インナー・ライト」「オールド・ブラウン・シュー」「ドント・レット・ミー・ダウン」はすべてB面で、もともとアルバム未収録ですし、「イエスタデイ」だってB面曲ですものね。

>カセット・テープ
なつかしいですね。ぼくはTDK、マクセル、SONYをよく使っていました。ハイ・ポジションとかメタルとか今の子に行っても分からないでしょうねww

分数も色々あって、45分や60分は質が良く、120分はふつう使いませんし、90分は二枚組に使っていました。ビートルズなら青盤赤盤、ホワイトアルバムに使っていました。

「アビー・ロード」は45分ではA面の「アイ・ウォント・ユー」が入りきらないので、無理やりフェイドアウトさせるか、60分テープに入れていました。う〜ん、懐かしいなあww

ではまた!
用心棒
2016/02/05 01:00
 おっと、「ペニーレーン」がB面でストロベリーはA面でしたね。訂正しておきます。どっちも名曲ですね。
用心棒
2016/02/05 01:02
>ビートルズはアルバムと被らない曲を収録してくれていることが多く

そんなにたくさんの曲作りが出来たビートルズ。やっぱり偉大です!

>TDK

1975年頃のCMを思い出します。
白いカモメが飛んでいる青い海。トランペットが聞こえるBGM。そして青いインデックスのカセット・テープ。

>120分

すぐに伸びてしまいました・・・(苦笑)。

>「アビー・ロード」は45分ではA面の「アイ・ウォント・ユー」が入りきらない

同じ苦労をした人が多いです(爆笑!)
蟷螂の斧
2016/02/06 01:08
 こんばんは!

カセットテープにまつわる思い出は昭和の音楽ファンしか理解できないでしょうね。今の子はアップルを使えば、10ギガ以上の容量ですからアルバム数十枚でも普通に持ち運べますし、なんだかとんでもない時代になってるのを感じます。

>同じ苦労
80年代半ばには54分とか中途半端の分数のモノが出てきて、あらためて録音し直しましたww

ではまた!
用心棒
2016/02/07 21:19
>54分とか中途半端の分数

ありましたねー!ちょっと感動しました。
46分もありました。あれは何だろう・・・?

>一本の映画や一枚のレコードが貴重だった頃の方が集中して作品に接していましたよ。

再び、これに関してコメントしたいです。
アナログ時代。ビートルズのアルバム(アメリカ盤)「HELP!」。
友達に借りて、何度も聞きました。そしてアルバムの中の写真。映画「HELP!」の数々の写真。「この映画を一度見たいなあ!」と何度も思いました。写真を見て、「どんな場面があるんだろう?」想像しました。まさにImagine?
蟷螂の斧
2016/02/10 20:13
こんばんは!

>アメリカ盤
キャピトルレコードや東芝の1984年までのアメリカ盤モノって、独特の編集がされていました。ヘルプの場合はエキゾチックなインストが入っていて、不思議な感じでしたね。

>どんな
わかります!ぼくはリール・ミュージックという主演映画5本のサントラ盤を持っていましたが、このアルバムには写真が豊富なブックレットが封入されていて、いろいろな想像をしていました。

ちょうどその年にビートルズ・シネクラブ主催で彼らの映画をまとめてみる機会があり、『ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!』『ヘルプ!』『レット・イット・ビー』を喜んで観に行きました。

『マジカル・ミステリー・ツアー』『イエロー・サブマリン』は高校時代にレンタルで借りてきて、友人とウキウキしながら見たのを覚えていますよww

楽しかったなあww
ではまた!
用心棒
2016/02/11 00:56

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『地球に落ちてきた男』(1976)稀代のロックスター、デヴィッド・ボウイ主演SF映画。 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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