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zoom RSS 『空飛ぶ戦闘艦』(1961)男くささが控え目なブロンソンが渋く輝くSF映画。

<<   作成日時 : 2015/10/13 20:29   >>

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 『空飛ぶ戦闘艦』という作品を知っている方はどれくらいいるのかは分かりかねますし、公開はされたようなのですが、テレビ放送がされていたかは不明です。

 もしやっていたとすれば、民放の深夜枠か昼時の14時くらいの12チャンでしょうか。DVDが販売されているとは思えませんが、今回は大昔のVHSを見ています。独特の重さとデッキに入れる時の操作音はいまでも大好きです。

 タイトルが厳めしい『空飛ぶ戦闘艦』、主演がチャールズ・ブロンソン、共演にヴィンセント・プライスを迎えて作られたこの映画の内容は舞台を19世紀末のペンシルバニア(めっちゃ地味!!)に置いたSF映画なのです。ブロンソン主演と書きましたが、実際はヴィンセント・プライスが頑張っている映画です。

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 当然ですが、飛行機がまだ実戦投入される前での最先端技術である気球を使って移動しているくらいなので、戦闘機同士の派手な空中戦は期待できるはずもなく、プロペラが良い味を出しているものの、イエロー・サブマリンのようなチープなデザインに脱力必至の戦闘艦アルバトロス号にクスクス笑いが浴びせかけられるかもしれない。

 発端となる火山爆発のシーンでは爆発している瞬間を写している設定なのになんと書き割りでお茶を濁す。山から声が響き渡るくだりはモーゼの十戒のギャグだろうか。見ていて、どういう展開で落ちをつけるかを予想していきました。

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 可能性が高いのは主人公たちと敵側で寝返る人間が協力して反乱を起こし、敵のリーダーであるヴィンセント・プライスを破滅させるパターンでしょうか。

 第二のパターンはブロンソンが秘かにアメリカ政府と連絡を取り、大砲か何かで迎撃させ、内部では動力系統を破壊し、墜落もしくは不時着させて、脱出するパターンもありでしょう。

 他にはアメリカのため、愛国心から自爆させてなかったことにしてしまうパターンでしょうか。さて、どうなるのだろうかと思っていると、各々がちょっとずつ当たり、ちょっとずつ外れる感じでした。

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 鑑賞後に思い出していくと謎の戦闘艦を操り、世界各国政府に武装解除を要求してきたアルバトロス号艦長ヴィンセント・プライスの目的は自らの圧倒的な武力の裏付けを誇示しての紛争回避なのです。ただ攻撃方法は原始的で、他国が空軍力が全くない状態でしたので上から爆弾を落とすだけというシンプル極まりないものでした。

 沈黙の艦隊のように武力警察として独立した強制力を持って世界平和を実現するという壮大な野心を叶えようとするヴィンセントの姿にもスポットを当てた普通の侵略者型SFとは一線を画した悪役像を示した作品でした。

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 独善的な悪役ではあるが、理想に向かって猛進するヴィンセント・プライスに一定の理解を示しつつも、アメリカ内務省役人として彼らの計画と母船の破壊工作を実行するチャールズ・ブロンソンがいつもとひと味違う渋味で作品を盛り上げます。

 一緒に捕えられた軍需産業の親玉プルーデント(ヘンリー・ハル)は自分がやっている死の商人としての成功には「わしは武器を売るのが仕事だ。使い道を考えるのは相手次第だ。」と言い放つ。

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 成功した悪党は自己正当化するくせにアルバトロス号のやることには批判する。挙句の果てはアメリカ政府に売り渡せと迫るが、英国政府は二倍の値段を提示していると言い返され、黙りこくる。

 ヒロイン(メアリー・ウェブスター)の婚約者エバンス(デイヴィッド・フランカム)も最初はアメリカ人らしい正義感から早とちりな行動をする憎めない好漢かと思われましたが、婚約者ドロシー(メアリー・ウェブスター)がブロンソンに惚れていくようになると露骨な嫌がらせをしたり、ブロンソンもろともアルバトロス号を破壊しようと最低な行動をとる。

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 後半に進めば進むほどステレオタイプの行動から登場人物が乖離していく。つまり作品に引き寄せられていく不思議な感覚を味わえます。

 敵方であるアルバトロス側の人間関係も血が通っていて、誤った命令を出したリーダーであるヴィンセントがトラブル解決後にクルーに謝罪する場面があったりします。

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 破壊工作により沈められようとするクライマックスではヴィンセント艦長はクルーに退艦命令を出して彼らの生命を守ろうとしますが、彼の意図を理解して付いてきたクルーたちは艦長室に集まり、戦闘艦と運命を共にして爆死していく。

 思っている以上に奥が深い作品で、見た目のチープな映像によりだいぶ損をしていますが、内容はしっかりしています。原作はジェール・ヴェルヌ『征服者ロビュール』と『世界の支配者』ということもあり、さすがのクオリティと言えます。

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 どうしょうもない作品をリメイクしたり、続編を量産し続けるならば、こちらのリメイクにA級映画並みの予算をつけて公開するのもアリではないだろうか。神の視点で世界の警察を務めようとするヴィンセント・プライスを誰が演じるのか、そもそもの原因である地域紛争解決への答えを人類はまだ持っていません。

 期待されていた国連もしょせんは連合国軍の利益確保団体にすぎません。過剰に評価する必要性はなく、あちこちにほころびが出てきています。

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総合評価 65点


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