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zoom RSS 『ナイト・オブ・ザ・リビング・マミー』(1982)マミーとはママではなくミイラのことなんだね。

<<   作成日時 : 2014/03/13 16:41   >>

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 南米ブラジル発の映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・マミー』を知っている人はいったい何人くらいいるのだろうか。またこれを見た人はさらに少ないに違いない。

 ただ幻の名作などではなく、見たいというニーズや情報量がなかっただけでしょう。日本人にとっては珍しい南米ブラジルのホラー映画で、公開当時はかなり本国では大人気だったようです。

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 それが山師マウントライト社の目に止まり、怪しげなビデオ・テープとしてバブル時代の日本にひっそりと上陸を果たしました。ほとんど人目に触れることもなく、誰にも思い出されずに、もちろん会話にものぼらない。

 そんな日陰どころではない、埋め立て地の地面になっているか、溶かされてプラスチック製品になっているに違いない末路を辿ったであろう、この作品のビデオを見た人はかなり数が少ないはずです。

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 じっさいぼくも大昔に予告編で見ただけで「こりゃあ、いらんわ…。」となり、あえて手に取ろうとは思いませんでした。それがここ数年のクズ映画再評価の流れの中でふたたびマニアに注目されるようになっています。

 しかしもともとがほとんど出回らなかった作品なので、日本語字幕版を見るのは至難の技でしょう。ぼくも色々と伝を頼りに探し回りましたし、ヤフオクもチェックしましたが、劇場公開されたわけでもないので見ている人が極端に少ないはずです。

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 結局は手に入れられず、さすがに諦めかけていました。そんなときにふと「動画サイトにアップされてないかなあ〜?」と軽い気持ちで『NIGHT OF THE LIVING MUMMY』を検索にかけてみると、なんと英語字幕版の全編動画がアップされているではないか。

 探し回ったのに一向に見つからなかったこの映画がこうも呆気なく視聴可能だったことに拍子抜けしました。英語と普段から接しているわけではないので、単語を追いかけるのに苦労しましたが、そもそもこの映画に知性を求めているような野暮な観客は皆無でしょう。

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 言語が分からなくとも理解できる内容ですので、複雑な会話などそもそもありません。いかがわしいミイラ男の造形と南米らしい適当なお色気を楽しめばそれで十分でしょう。

 エジプトを完全にお色気いっぱいの国として紹介しているのはどうかと思いますし、エジプトの映像を出すのは良いのですが、出演者たちとアブ・シンベル神殿とスフィンクスを交互に繋ぐのは出鱈目もいいところです。

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 エジプト国内でも神殿とスフィンクスは場所が全く違うのです。観光で行ったときに飛行機で国内を行き来する必要があるほどの距離なのでさすがにこれは変だと思いました。

 内容はサンパウロやリオデジャネイロで原因は不明ではあるが(エジプトでミイラを発見して保管した場所を記した地図を手に入れるために)、考古学研究者や古物収集家が次々に暗殺されていく。暗殺場面は洗練されていて、フィルム・ノワールやヌーヴェルヴァーグを見るようなカッコよさで驚きます。

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 その事件の影には不老不死とよみがえりを研究するマッド・サイエンティスト(ビトス)がいる。彼はまず自分の召使いイゴール(頭がツルツルでアダムス・ファミリーに出てきそう。)を使い、彼の脳を改造し、従順なしもべにすることに成功する。

 自信を深めた科学者はさらに研究と暗殺を推し進め、ついにエジプトから発掘してきたミイラ(中身はセックス狂いの暴君ファラオ。)のありかを探し出し、蘇生に成功する。このミイラは生前の癖が抜けないのか、多くの女性を研究室に拉致してくる。

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 連続する失踪事件を追うラジオ局のレポーターと同僚、研究を進める狂気の科学者とミイラたち、そしてラスト10分でようやく動き出す地元警察の攻防を描き出すが、南米ホラーはすぐには結論に進まずに、あちこちで濡れ場シーンに突入していく。

 無意味にかつ執拗にオネエチャンのオッパイが大量に映し出され、絡みが展開されます。改造人間イゴールと絡むメイドが彼のツルツルの禿げ頭を美味しそうにペロペロ舐めまわすシーンがエロい。この映画を端的に表せば、おっぱい、おっぱい、おしり、おっぱい、おしり、ときどき陰毛という感じで接写になったり、絡んだりと忙しい。

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 ただそれだけではなく、大昔の『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタイン』『ミイラ再生』などのユニバーサル物やハマー・フィルムで子供のころ見たホラー映画をイメージしたのだろうなあとニコニコしてしまうカットも多い。博士もピーター・カッシングに見えてこないこともないし、イゴールも『ロッキー・ホラー・ショー』なのかなあ。

 クライマックスではイゴールが誘拐してきたラジオ局のオネエチャンがファラオの大昔(当然だが。)の恋人にそっくりで、その彼女に暴力をふるっていたイゴールの首をスコップで刎ねた後に気を失ってしまった彼女を河辺で休ませる。このシーンは『フランケンシュタイン』そっくりです。

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 追いついてきたラジオ局のレポーター(狂った女たちに拉致されていたので、パンツ一でしかも白ブリーフ!)と警官隊が到着し、彼女は救出されます。ミイラは警官隊に銃撃を受け、逃げながらも川に入水していく。死んでるのに何故銃弾に倒れるのかは大いなる謎ではあるが、とにかくミイラはかつての恋人の幻影を追いながら、川の深いところに沈んでいき、物語は閉じられる。

 1982年公開作品なのに、昔のポルノ映画のように画面はモノクロになったり、カラーになったり、しかも物語構成も過去に戻ったり、現代に戻ってきたりと忙しい。もしかするとこれはとてもスタイリッシュな映画だったのだろうか。オープニングで登場する高級車からのカットはモノクロでカッコいい。

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 最初はバカ映画だと思って見ていましたが、見続けていくうちに妙な味が出てきて、終わるころには好きになってしまう不思議な魅力を持っています。

 ミイラ男はかなりゆったりとした動きなのですが、みな殺されたり、誘拐されるのを待っています。ジャイアント馬場の繰り出す16文キックをもらいに行く外人レスラーみたいです。

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 音楽もハチャメチャでムソルグスキー、サラ・ヴォーン(?)、ビートルズのカヴァー(ブラジルバンドによる陽気な『恋する二人』)、サンバ、ポール・アンカのカバー(もちろん、陽気です。)など選曲に意味があるのかどうかもよく分かりません。けれどもなんか悪くない。 

 『首なし女の恐怖』『ズーマ 恐怖のバチ当たり』などと同列に語れる映画なのではないか。モノクロ画面がミイラ男の味をさらに深めてくれますが、パートカラーになっているので交互に切り替わる。

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 カラー・フィルムという武器を手に入れて以降、ホラー映画は鮮血の色彩である赤を強調しがちですが、モノクロ映画だと誰でも分かる血の色が安易に表現できないので、影や雰囲気で画面を盛り上げていかねばなりません。

 より恐く見せるための工夫が『吸血鬼ノスフェラトゥ』などの名作を生みました。血が噴き出せばそれでいいという姿勢がホラー全体のレベルを引き下げてしまっているのではないか。

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 血が噴き出すから地上波に乗せられないのであれば、もっと心理的に怖い表現に磨きをかけていくべきでしょう。

 動画サイトには日本語字幕版の予告編もアップされているので同時に見ておきたい。上映時間も短い方なのであまりストレスを感じずに見ていられます。真面目に見るよりは気楽に楽しみましょう。

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 この映画はもちろん現在までは日本語字幕版DVDなど販売もされていませんし、ビデオを探すのもかなり難しいでしょう。もし廉価DVDを発売してくれたら、ぼくは買ってしまいそうです。1500円くらいまでではありますが、それくらいなら出してもいいかなあ。

総合評価 70点


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