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zoom RSS 『戦闘機対戦車』(1973)上映時間70分ちょっとの中編ですが、良質のスリリングな戦争映画です!

<<   作成日時 : 2012/10/18 01:26   >>

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 戦争映画の宣伝で話題になるのは製作費の大きさや出演する大スターたち、そして迫力のあるスペクタクル・シーンであり、中身が問われることはあまりない。

 戦争の記憶が鮮明に残っている時期であれば、悲惨さや厭戦気分を色濃く伝える作品が出来上がるが、一時のアメリカのように圧倒的に優位な立場に立っているときの作品は命の重さなどまったく考えていないマンガのような戦争映画が出来上がる。

 そんななか、たとえ低予算で短い上映時間でも観客をハラハラさせてくれる戦争映画を作ることが出来るのを証明してくれるのがこの『戦闘機対戦車』でしょう。

 もともとテレビ映画ということもあり、上映時間は80分にも満たない中編映画です。テレビ局にとっては編集の手間も掛からないし、CMも入れやすいという一石二鳥のプログラムです。

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 そんな短い尺でもこれほどスリリングな映画に仕立て上げる編集の巧みさを味わって欲しい。はっきり言うと連合国軍の払い下げに違いないオンボロな戦車をペンキで塗りたくって鉤十字を入れて、無理矢理にドイツ軍の戦車だと言い張る強引さにひっくり返りそうになります。

 が、そこは低予算なのだから野暮を言わないようにしたい。見る側も目くじらを立てずにナチの戦車なのだと言い聞かせて、70分間を有意義に過ごしましょう。お金を掛けずともアイデア一発で楽しめる。

 出てくるのは戦闘機が2機、戦車が1台、装甲車両が数台、英国軍戦車という設定の戦車(装甲車)が1台。出演者も連合国軍パイロット役が2人、ナチス側将軍と戦車クルーが4人、その他を合わせても10人にも満たないのにしっかりと戦争映画に仕上がっています。

 もちろん派手な銃撃戦はなく、大量の爆弾が飛び交うわけもない。ここは設定が絶妙でドイツ軍が撤退し、連合国軍の主力も他の戦線に移動してしまった時期で、残存のドイツ軍の掃討作戦が進んでいるという状況下なので、そもそも大軍が存在していないという時期のお話なのです。

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 掃討作戦中に部隊から逸れたドイツ軍戦車のまさかの攻撃により一機の連合軍戦闘機(昔、小さいときに作ったプラモに似ている!)が撃墜されてしまう。残る一機もパラシュートで降下した兵士を救うために砂漠に着陸する。

 ここからラストまで延々と続くのが飛べない戦闘機とアフリカ戦線に取り残されたドイツ戦車の追いかけっこです。これが素晴らしく、飛べないわけですから本来のスピードはまったく出ないし、戦闘機の優位性もない中でも、簡単に降伏することなく、ひたすらにモグラ叩きをしているようなコントのような楽しさで、飽きることはない。

 戦争の狂気もしっかりと描かれていて、飛んでいるときに装甲車両を爆撃しているうちは面白半分だったのが、地上戦に入り、地べたを這いつくばって逃げるうちに自分たちが爆撃したドイツ軍の亡骸に遭遇する。

 一滴の水を求めて略奪しようとするも何一つ得ることの出来なかったアメリカ軍兵士たちは死んだドイツ兵に笑われているようにも見える。

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 極限状態における上官殺害という重いテーマも提示される。このまま進んで犬死にするか、降服して生き長らえるかは非常に難しい問題です。

 師団は自分たちを見棄てて、すでに撤退してしまい、助けに来ることはない状況でそれでも徹底抗戦を主張する無能な指揮官をどこまで支え続けるべきなのか。

 玉砕は美談なのか、それとも無駄死になのか。結論は出ませんし、映画でも狂気の指揮官が無慈悲な対応を繰り返すうちについに自分が的になり、殺害されてしまう。残された兵たちは人間に戻り、水を分け合うシーンで映画は閉じられる。これを70分で見せた脚本と演出の勝利なのでしょう。

総合評価 70点


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん,こんばんは。
本作は昭和50年頃,NET系列の『土曜映画劇場』にて鑑賞致しました。こちらのブログにてこの懐かしいタイトルに接し,レンタル屋さんからDVDソフトを借りて来て久しぶりの鑑賞となりました。日本語吹き替えが収録されていないシーンもあり,当時90分枠でのオン・エアだったことが偲ばれます。ドイツ軍の将軍役のロイド・ブリッジスや米軍中尉役のダグ・マクルーアの御両名は既になく,英軍少佐役のロイ・シネスとドイツ軍の軍曹役のエリック・ブレーデンのお二人はまだご存命のようです。
内容に関しては戦争映画ファンの間でも安い予算にも関わらずとても頑張って作ってあるということでよい評価が多いようです。
また,出演者のロイド・ブリッジスは『トロン』のジェフ・ブリッジスの親父さんなのですが,『宇宙空母ギャラクティカ/サイロン・アタック』の猛将ケイン艦長役。
ロイ・シネスはTVシリーズ『インベーダー』で主人公のデビッド・ビンセント役。SF映画『決死圏SOS宇宙船』でも主人公の宇宙飛行士の大佐役。
エリック・ブレーデンはTVの『ラット・パトロール』のドイツ軍ディートリッヒ大尉役。またはSF映画『地球爆破作戦』のフォービン博士役。または『新・猿の惑星』のオットー・ハスライン博士役。
そしてダグ・マクルーアにいたっては『恐竜の島』(1975),『地底王国』(1976)『続・恐竜の島』(1977),『アトランティス7つの海底都市』(1978)などの英国アミカス・プロ作品で大活躍だったわけでありました。
いやァ,楽しいです!
snowman
2013/07/18 01:33
 snowmanさん、こんばんは!

懐かしいですよね。最近、TSUTAYAにも復刻版が並んでいましたので、見たいという需要は高かったのだなあと実感しました。今月は『ドーベルマン・ギャング』なども在庫していましたので、個人的には『マッド・ボンバー』やヒッチコックではない猿対人間の冬山パニック映画『白い恐怖』『超高層プロフェッショナル』なんかも出して欲しいと思っています。

>ギャラクティカ
懐かしいですね。SF映画ではずっと高額で手が出なかった『宇宙水爆戦』が廉価DVDで販売されていたのがうれしかったですよ。

ではまた!
用心棒
2013/07/18 18:44

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