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zoom RSS 『DAICONFILM版 帰ってきたウルトラマン』(1983)アマチュア時代の庵野秀明の才能!

<<   作成日時 : 2011/04/09 23:00   >>

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 ふつう『帰ってきたウルトラマン』と言われれば、誰もが思い出すのは円谷プロ製作の特撮シリーズでしょう。しかしぼくが今回取り上げるのはDAICON FILM、つまりヱヴァンゲリヲンが大当たりした庵野秀明が仕切るガイナックスの前進となるこのプロダクションが仕上げた方の『帰ってきたウルトラマン』なのです。

 このあまり知られていないアナログな特撮作品は完成後に庵野が有名になってから円谷の許可を得て、一時的な限定販売期間を過ぎてからはずっと封印されてしまいました。

 当時発売されたDVDは高騰し、現在ヤフオクではスタート価格が最低一万円以上の高額になってしまっている。見所は特撮には不可欠のミニチュア・セットや本編の作り込みの見事な出来映えでしょう。

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 しかしながらこの作品は庵野が有名になる前の作品なので、予算がない状態での製作になります。このため彼らは紙を使って、つまり紙細工でコックピットなどの複雑なセットや街などのミニチュアを作り出しました。

 その手腕とセンスは素晴らしく、モノ作りにかける熱意には脱帽するでしょう。作り手が子ども時代に見てきたであろう特撮作品への憧れとオマージュがそこかしこに見ることが出来ます。

 テレビ・シリーズの一話分と同じの27分間に及ぶ、この作品の内容を見ていくと、前半部分のシリアスな本編パートの出来が素晴らしい。本家『帰ってきたウルトラマン』でムルチとかが出ていた頃の暗いムードを彷彿とさせる。

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 また本編シーンで繰り返し使われる逆光を取り込むショットからは明らかに実相寺昭雄の影響を感じます。それも『遊星から愛をこめて』の本編シーンでの演出を1983年の時点ではありますが、彼らが見ていたのは間違いない。

 ただこの作品が正当に評価されにくいのはウルトラマンそのもののヴィジュアルにあります。MATハヤカワ隊員の変身シーンもただメガネを掛けるだけで、巨大化すると庵野に変わっているわけなのですが、ウルトラセブンがウルトラアイを装着する動作のパロディを大真面目にやってのけている。

 しかし素晴らしすぎる前半から急展開を見せる後半の怪獣バグジュエルとの格闘シーンへの繋ぎになるのが、このメガネ装着シーンになっているので、以降作品は笑って良いのか、大真面目なのか、手探りで見ていかねばならなくなり、なんともいえない微妙なムードに包まれていく。

 ウルトラマンのアクター・スーツのようなジャンパーに身を包んでいるのは庵野本人なのですが、彼はウルトラマンのマスクを被らずにメガネをかけた彼の素顔のまま、しかも上に着ているのがジャンパー、下はジーパンをはいていて怪獣と戦うのです。

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 見た目はピースの又吉かロッチの中岡のような感じでお世辞にもカッコいいとは言えません。スーパー・ヒーローとして大きくなっても、人間本来の資質は失うことはないという意思表示なのだろうか。

 スーパー・ヒーローに変身してしまうと、どうしても変身前の人間のときのキャラクターとは別人格の正義と腕力だけのマッチョな存在に成り果ててしまいますので、それへのアンチ・テーゼなのでしょうか。

 真面目に新しいヒーローの形を提示しているように思える。ただこの後半シーンがジョークとして作られていたとすれば、製作者の意図に反して見事にスベッてしまっている。本編の出来が本家よりも素晴らしいので、見ていた者が冗談を冗談として受け取らなかった。

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 冷静に見れば、洒落で作っているは明らかでしょう。あれだけ上出来の怪獣のアクター・スーツを製作できる彼らがわざわざ庵野が巨大化したというだけの状態で戦うなんてジョーク以外なにものでもない。

 なかなか見ることが難しい作品ではありますが、類い希な才能を持っていた庵野の実力が垣間見える珍品と言えるのがこの『帰ってきたウルトラマン』なのです。

 すぐに削除されてしまいますが、動画サイトではこの作品と製作風景を撮影した『メイキング・オブ・帰ってきたウルトラマン』を見ることが出来ますので、気が向いたら、探してみましょう。

総合評価 70点


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

私はこの作品は未見ですが、エヴァンゲリオンシリーズは用心棒さんがおっしゃるように

1.ウルトラマンの監督の演出感性(センス)の影響
2.岡本喜八監督の沖縄決戦の影響(記憶?使途に対しての通常兵器の攻撃場面。沖縄でのアメリカ軍の攻撃の場面が影響していると思われます。)

等ありますが、決定的なパズルのピースが足りませんね。

それは

3.未来少年コナン

の設定影響です。
未来少年コナンの設定にはエヴァの影響が沢山見られます。
例えば

1.モンスリーとアスカ
性格の酷似、髪の色なんか同じです。

2.ラオ博士とラナと綾波レイ
眼帯をつけ、物語の重要な鍵を握っている。(エヴァは有耶無耶にしたまんま。予想が大当たり。だから私は好きくない)

3.大変動とセカンドインパクト
もう殆ど同じ。

4.地下に保管されているギガントとリリス(だと思う)
リリスが稼動するような事がなかったと思うが、ギカントが動いただけで世界が滅ぶ設定はほぼ同様。

5.三角塔とネルフ本部
官僚的な機構と水の近くに立っている設定。元のアイデアはドイツの高射砲塔か?

とにかく幾らでも出てくる。この事実に気付いたら、エヴァンゲリオンがいかに過去の作品から、成り立っているかお分かりになるでしょう。
私が嫌いなのは、「よく分かんないまんま熱狂」する人達です。自分たちで、よく考えて分析すれば熱狂する事はないでしょうに…

この分析の仕方は幼稚かもしれませんが、町山智浩氏の著作(特に映画の見方が分かる本、ブレードランナーの未来世紀)が大変参考になりました。
非常に面白かったので用心棒さんもいかがでしょうか?
長々と失礼しました。

では。
果心さとる
2011/04/11 23:35
 こんばんは。
 熱いコメントをいただきまして、ありがとうございます。おっしゃるとおりで、たしかに似ている点が多いですね。

 庵野さんもおそらくコナンは見ていたでしょうし、こういうモノが作りたいなあと思っても不思議ではありません。
 物語設定やキャラクターなど類似点は多いですね。ぼくらが大好きだったコナンを参考に、彼がヱヴァを製作していたとすれば、嬉しいことだと思います。

 さらにヱヴァを見ていた子どもたちがヱヴァをもとに新たな設定を作り出したら、コナンのファンとしても楽しいですね。

 コナンのDNAが続いていくという意味ですしね。むかしゴダールはすべての映画は過去に作られたものと無関係ではありえない、すべて繋がっているのだという趣旨のことを言っていました。

 ふとその言葉を思い出しました。

 ではまた!
用心棒
2011/04/12 20:01
初めまして。

意味もなく「メカニコング」の動画がみたいなあとか思って
ウロウロしていてこのブログに出会ってしまいました(笑)。

かなり年代も趣味も近い様で、非常に楽しく見させて頂いて
おります。


庵野監督の巨大化ですが、確かアマチュア時代に撮った8ミリ
自主制作映画で全く同じ格好で「ウルトラマン」を演じていた
ので、多分正当な続編として撮ったのかなあと当時勝手に思って
おりました(笑)。

(どこの大学かは忘れましたが文化祭で見る機会があったんです
 よね。25年以上前です。今考えると幸運?でした)


ではこのまま過去ログを遡らさせて頂きます。
またコメントさせていただきますねー。

だい
2011/06/26 11:51
 だいさん、こんばんは。

はじめまして、コメントをいただきまして、ありがとうございます。

この作品は大好きでして、低予算でも出来ることを徹底して作り込んでいくという姿勢には好感が持てました。

>メカニコング
有名とは言いがたいキャラですが、モゲラやガイガンと同じくフォルムはしっかりとしていて、素晴らしい出来栄えでしたね。

お気軽にコメントをお寄せください!

ではまた!
用心棒
2011/06/27 01:20

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