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zoom RSS 『ティンカー・ベル』(2008)ちっちゃい女の子なら、多分みんな好きなんじゃないでしょうか。

<<   作成日時 : 2010/06/06 22:48   >>

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 TINKERの意味はたしか“職人”や“いたずらっ子”であったと思います。ピーター・パンでお馴染みのティンカー・ベルは職人技を持つ妖精ではありますが、もの作りの妖精と呼ばれ、妖精世界であるネヴァー・ランドのピクシー・ホロウでは、華やかさとは程遠い下層の職人妖精の存在として描かれています。華やかさがないと言っても、妖精であるのは間違いないので、空も飛べるし、楽しそうに暮らしてはいます。

 まるで建前社会のわが国と同じように、表面上は周囲のみんなもとても好意的であったために、最初は自分の置かれた身分を知らず、みんなが平等だと思っていて、幸せそうに暮らしていた彼女は自分の能力と秩序を把握していなかったために、自然を司る妖精になろうとして、ないものねだりをし、周りと軋轢が生じ、トラブルを次々に引き起こします。

 もちろん子供向けなので、はっきりとは言い切りはしませんが、オブラートに包みながらも、この世には厳然としたルールが存在し、いざというときには普段のルールではなく、そちらが優先されるという文脈が示される。ただし、あくまでも平和な世界でのお話なので、無茶なことを言っても、駄々っ子のような可愛らしさがある。

 映画として、主役に感情移入させるには彼女たちが成長するために困難な試練を与えることは不可欠であり、悩みながらもそういった壁を乗り越えていく過程で、観客と主人公は団結していく。実際にこの映画でも、失敗ばかりして周囲に迷惑を掛ける彼女が最終的には妖精世界を救うという立場となり、その功績を認められ、皆とともに人間世界行きを手にします。

 ものづくりの妖精という個性を活かして制作した春を準備するための道具類はどれも人間世界のゴミから作られるというのがミソですが、これもリサイクルの一環なのでしょう。

 このようにトラブルと大団円を上手く描ければ、映画は上手く行く可能性が格段に増して行く。80分という尺の短さもあり、ディズニー映画というよりも、一般的な映画進行の基本から一歩も無駄足を踏み出さないように贅肉を削ぎ落として構築された作品である。

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 物足りないという意見もあるかもしれません。しかしそれが悪いとは思わない。ダラダラ長すぎるだけの超大作や、奇をてらい、訳の分からない巨匠の失敗作品を世に出すよりも潔い。

 映画は一部のマニアのためにあるものではなく、子供から大人まで、皆が楽しめるのが一番である。この映画が優れている点は無駄のない展開以外にもいくつもあります。ディズニーらしい描写としては妖精が飛び回るとき、彼女たちの軌跡につくキラキラした星が挙げられる。

 夢のある表現は小さい子供たちには楽しくて飽きが来ないのではないでしょうか。春を届けるシーンの美しさも見所のひとつでしょう。ただし難点としては1950年代であれば問題ない表現なのでしょうが、2010年代に掛かろうとする時期にリリースしようとするにしてはあまりにも稚拙ではないだろうか。

 しかしこういう映画を見て、心から楽しめないという時点で、すでにその人の心は汚れてしまっているとも言える。この映画は自分の心がクリーンかどうかを測るリトマス紙になるのではないだろうか。

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 何も考えずに素直に見れば良いのでしょうが、汚れ切った大人が見るには無理があるし、幼稚園児や小学校低学年が見たら、キャラクターの可愛さは認めるでしょうが、物語そのものに共感するであろうか、など四角四面に考えてはいけない。

 ルーシー・リューを始め、声優たちも豪華で、子供と一緒に見ているであろう大人たちもそういう部分で楽しめるであろう。『シュレック』でキャメロン・ディアズやアントニオ・バンデラスを起用しているのも同じ理由であろうが、子供たちにとっては誰がやろうとどうでもいいだろうし、大人の興味を少しでも引き出すにはこういう起用は不可欠なのだということでしょう。

 ティンカー・ベルが人間の住む街であるメイン・ランドへ運んだオルゴールの持ち主がウェンディというのは笑えましたが、全編を通して見ていると、山場と言える場面は少ない。また、あまりにもフィルム全体の仕上がりが優等生過ぎて、ピクサーが手がけた多くの作品群のような毒気や笑いの要素があまり見られないのは少々残念でした。

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 対象とするのが少女ファンだけなら仕方がないにしても、後々まで生き続けていくディズニー映画にしてはなにか詰めが甘い。妖精にも身分があり、ティンカー・ベルが所属する“もの作りの妖精”は身分が下であるというのは人生の現実を仄めかす部分である。

 そういう設定があった割りには甘ったるいキャラメルがかけられたアイスクリームのような生ぬるさを感じる。しかしそれはピクサーとの比較においてであり、単体でこの映画を見ている限りではファンタジーに溢れて、家族みんなで楽しめる。

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 しかしこれを全部で4部作もの大河ドラマにする必要性があるのかどうかは疑わしい。それとこの第一作目が“春”だったのは分かるとしても、何故に第二作目の『ティンカー・ベルと月の石』が“秋”をテーマにした作品だったのでしょうか。本来ならば、夏をテーマにしそうなものなのに解せませんでした。

 またファンが4作品に付いてくるのかはさらに疑わしい。製作をピクサーに回し、脚本に毒気を入れないと幅広いファン層を掴むまでには至らないのではないだろうか。本当はこういう素直な作品を見て、楽しくなれれば、それに越したことはないのですが、汚れきった大人には、悲しいかな、心のベルが100パーセントは響かない。

 そう感じたら、素直な心を取り戻すためにも見るのも良い。なんだかんだ言っても、ディズニーというブランドを背負って、リリースされた作品です。

総合評価 60点




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