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help リーダーに追加 RSS ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』他。1902年にSFの原点といえる作品が存在していた。

<<   作成日時 : 2005/11/03 14:59   >>

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 ジョルジュ・メリエス監督の『月世界旅行』といえば、昔からの映画を知る人ならば、一度はちょっとしたワン・シーンだけでも見たことのある作品。何年かに一度、TV番組などのオープニングのコラージュで用いられたりする作品。

 見れば、古きよき映画の時代に戻れる作品。CGバリバリの現代SFのご先祖、いわばガラパゴス島の動物のように歴史を感じる作品。

 それがこのジョルジュ・メリエス監督の作った一連の映画群です。なかなか見る機会に恵まれない作品集ではありますが、『死ぬまでに見ておきたい映画1001本』の付録DVDとして13本の作品が収められているので映画ファンならば購入して是非見て欲しいですね。装丁も凝っていて表紙に『サイコ』、背表紙に『フランケンシュタイン』、裏表紙に『シャイニング』を使っています。

 全部で13本もの貴重な作品集をまとめて見られるのでかなり濃く感じるかもしれません。1本、1本は短いもので1分弱、長いものでも14分なのでプレッシャーは無いのですが、映画のオリジナルとしての熱意が伝わってきますので、油断していると押し流されそうになります。それほど面白いのです。

 メリエス監督は興行師、プロデューサー、監督、撮影、脚本、主演と全てをこなしています。短いものだから出来たのだという人もいるかもしれませんが、「映画」自体が何物であるかすら解らない時代であったことを考えれば、このフランス人は偉大だといっても過言ではないでしょう。

 大衆のため、というよりも自分自身がどうやって今度はみんなを喜ばせてやろうとか、不思議がらせてやろうという意気込みを随所に感じます。トリック映像の元祖であり、SFの父と呼ばれる理由はここにあるのです。

 先ず第一にお客さんの反応を大事に作っていく。昨今の自分だけ解れば良いという(言い換えると、お客の気持ちをつかめないことへの自慰)映画とは訳が違う。

 撮影技法としては原始的であり、出来そうなことを工夫して形を作っています。それがとても効果的で、ディゾルブ、細かいカット割り、フィルムを重ねて何組もメリエス監督本人が「自分」を演技する様子などは彼の努力に対して敬服します。

 また『月世界旅行』は14分に渡る長編であり(他はほとんど3分以下です)、フィルムや場面を繋いで長編を作ることの可能性を示唆する作品としても価値を見出せることが出来るのではないか。20世紀の初頭に月旅行への憧れを形にしただけでも素晴らしい。21世紀の現在でも世界一周すらほとんどの人が実行できていないのに関わらずなのに。

 内容自体はナンセンスなコントが次から次に展開されて、思わず微笑んでしまう物が多く見ていて飽きません。ホラーの原点のような作品、風刺の効いた作品、そして何本かは既にカラー作品が撮られているのです。

 勿論、1コマ1コマを染色してカラーにしている労作なのですが、メリエス監督の持っていた発想の新鮮さを今の映画監督達が持っているかは疑問です。撮りたいものを撮り続ける熱意、人を驚かせようとする童心、新しい技術や表現方法への好奇心、それらがかれを突き動かしたのでしょう。

 13本の具体的な作品名と内容について

 『幾つもの顔を持つ男』(1898) トリック撮影の先駆け。
 『月世界旅行』(1902) SFの元祖。一番有名かも。
 『地獄のケーキウォーク踊り』(1903) フランスにも人魂があったとは。
 『秘密の賭博場』(1905) 身分の上下に関係なく、賭け事は大好き。
 『音楽狂』(1903) 人が音符に早変わり。サイレントでも音はあるのです。
 『地獄の鍋』(1903) カラー作品!ホラーの元祖。結構恐いが、幽霊が綺麗。
 『ゴム頭の男』(1901) ナンセンスで面白い。
 『生きているトランプ』(1904) 細かいカット割とディゾルブが映える。
 『飲んだくれのポスター』(1905) 絵が動く。
 『悪魔の下宿人』(1909) カラー作品。かなり良い出来で、四次元ポケットの元祖!
 『化粧の王様』(1904) ディゾルブをつかった静かな一品。
 『中国の魔法使い』(1904) 持てるテクニックを総動員したドタバタ劇。
 『青ひげ』(1901) サイコスリラーの元祖。殺された妻達の映像は不気味。
 『常識はずれの新たな争い』(1900) ぺちゃんこになるプロレスのパロディー。
 『一人オーケストラ』(1900) メリエス監督らしい映像の魔術。 

 映像としては安っぽいものに見えるかもしれませんが、想像力は革命的なものがあります。本質を味わうべき作品集です。頭を大昔に合わせないと、つまらないコントにしか見えません。

 構成はジョルジュ・メリエス監督の孫であるジマドレーヌ・マルテット・メリエス嬢が劇場にて彼女のおじいさんの作品を紹介するというスタイルをとり、ピアノ伴奏もついていて暖かい作品に仕上がっています。監督はジャック・メニー。60分。

総合評価 100点  死ぬまでに観たい映画1001本
死ぬまでに観たい映画1001本

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんにちは。
 15年ほど前に「シネマクラシクス」という黎明期の映画を紹介する3枚のLDを買って、その中に「月世界旅行」がありました。既に中学時代からこの作品の存在は興味があってやっと観られたという思いで、感激したのを思い出しますね。ほぼ同時代の「アメリカ消防夫の生活」「大列車強盗」なども素晴らしいです。  この時代の一般的な映画と言えば、舞台を固定のカメラで収めただけのおざなりの作品ばかりでしたから、その衝撃たるや今の我々には想像もできませんね。

>頭を大昔に合わせないと、つまらないコントにしか見えません。

 その通りです。僕の本館サイトで「七人の侍」をめぐって大論争があったのですが、その時もこれとニュアンス的に近い指摘をしたことがあります。後で僕の大反論記事をご紹介したいと思いますが、それは用心棒さんの黒澤明に関する記事が発表されてからに致しましょう。
オカピー
2005/11/04 15:56
 オカピーさん、こんにちは。これに関してあるサイトの紹介コメントでは面白みはあるが、ドリフ程度と書いた信じられないものを見ました。これは残っているだけでも貴重な20世紀初頭の人類の財産とも言える作品なのに。しかもドリフは60年代なのに。

 本当に映画への愛情の無い(もっと出来るはずなのにという感覚から来る怒りとは違う)コメントを吐く人がいるのは驚きです。

 さて黒澤監督関連ですが、尊敬している監督さんで、しかも30本の作品があり、なかなかはかどりませんが、順次アップしていくつもりです。

 黒澤監督関連のものを書くとすぐに論争になってしまうのは情けない限りです。他のサイトで揉めた際に仲介に入り、ようやく収まった経験があります。

 我々黒澤ファンは他の皆さんの楽しい映画サイトを荒らしまわるイナゴではないので、是非他の黒澤ファンの人にも冷静な対応をしていただきたいものです。

 本当に、黒澤監督関連サイトはほとんどが度重なる誹謗中傷合戦の挙句、閉鎖されることが多いのでかなり心配ではあります。
用心棒
2005/11/04 16:37
>黒澤監督関連のものを書くとすぐに論争になってしまうのは情けない限りです。

 同感です。長大な僕の反論記事の中にこんな箇所がありますので、これだけ紹介致します。

<対話相手への辛辣な意見もまた愛情である。辛辣な意見とは、どこかのサイトで日夜繰り返されているような罵詈雑言ではない。行間が読めれば相手が怒っているかどうかぐらいは分るであろう。口角泡を飛ばしてもつかみ合いの喧嘩などにならないのが真の映画ファンである。互いに切磋琢磨するのが真の映画ファン同士である。そうでない人を僕は断じて映画ファンと認めることは出来ない。映画を深く理解するには登場人物の心理が分る必要がある。それが分る人なら、その映画に対し別の意見を示す他人の心情も分るであろう。他人の心情が分れば喧嘩にはならない。大事なのはどちらの意見が正しいかを見極めることではない。意見を交換することで、より真実に近づいていくことを僕は期待しているのである。>
オカピー
2005/11/04 17:08
 オカピーさん、またまた今晩は。結局のところ、他人のサイトに自分勝手な中傷コメントを入れる人って自分のサイトを持ってないのかもしれませんね。
 運営した経験があれば、常識外れのことは書けなくなりますものね。難しいところです。自分の意見を書いて、それがもとで喧嘩になってしまう。
 ネットは本来自分の意見を自由に発表できることが第一のメリットですが、「荒らし」のリスクは常について回ります。自由な意見が人を傷つけてしまう可能性もゼロではありません。
 揉めそうな記事は書かないほうが無難なんですが、自分で考えて「これならば、引用もないし、著作権うんぬんも関係ない。」と思っていても揚げ足を取る人は無理にでもこじつけて攻撃してきますからね。 
いやあ〜。難しい。
用心棒
2005/11/04 18:28

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