良い映画を褒める会。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『黒猫』(1934) 怪優ベラ・ルゴシとボリス・カーロフの初共演作品。

<<   作成日時 : 2005/10/26 23:40   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 4

 ユニバーサル映画というと『キング・コング』、『ジョーズ』、そして『ターミネーター』などの怪物映画が有名ですが、それらの先駆けとなったものにモンスター映画と呼ばれる一連の作品群がありました。『魔人ドラキュラ』(1931)、『フランケンシュタイン』、『ミイラ再生』、『狼男』、『透明人間』、『オペラ座の怪人』、『大アマゾンの半魚人』などなど。

 これらの作品をきっかけにスターになったものも現れました。ベラ・ルゴシ(ドラキュラ)、ボリス・カーロフ(フランケンシュタインの怪物)、ロン・チェイニーJr(狼男)はその代表です。

 1934年の製作で65分という小品ではありますが、この『黒猫』ではそのうちの二人であるベラとカーロフが、お互いのライバル心を剥き出しにして画面の中で戦います。役柄としては、ベラはボリスに裏切られ、妻子を奪われた復讐の鬼として。そしてカーロフはベラの妻子を奪い、悪魔教を奉じる司祭として。

 つまりこの作品では彼らはモンスターではなく、人間として向き合うのです。彼らの持つ顔立ちそのものが化け物じみているために、この作品での薄気味悪さはむしろ怪物映画よりも際立っています。特に画面を通して窺えるベラの異様なまでの潔癖さと俳優としてのプライドの高さは、ボリスへの軽蔑とやっかみが絡んでいるという複雑さを有しています。

 ベラは大ヒットした『フランケンシュタイン』(1931)の怪物として出演依頼をされていましたが、台詞のない役だった為、俳優としてのプライドを持っていた彼は出演を辞退しました。その後にお鉢が回ってきたのがボリス・カーロフだったのです。結果はボリスの怪物の方がドラキュラよりもおいしい役でした。そのこともありベラはボリスに並々ならぬライバル心を持っていたのです。そのことが良い方向に作品に反映されたのが幸運でした。

 のちの作品『フランケンシュタインと狼男』で怪物役を引き受けたベラでしたが、その時の怪物のフォルムはカーロフのそれから全く代わり映えの無い姿でありさぞプライドを傷つけられたことでしょう。後の人生と同じくベラの完敗に終わりました。

 一方のボリスのほうが何気なく遠慮気味なのはベラへの気遣いからくるものなのかもしれません。それでもこの作品での彼は個性をしっかり見せてくれています。意外に声が良いことも驚きでした。「怪物」を演じていた時の彼は呻くか叫ぶか(続編の『フランケンシュタインの花嫁』ではたどたどしい言葉を話します)だけでしたので、彼が普通に話すといういわば当たり前のことが新鮮でした。それだけ彼の演じた『怪物』は衝撃的だったわけです。

 その二人の初共演作。原作はエドガー・アラン・ポー。それだけでもホラーファンなら見る価値はあると思います。

総合評価 61点モンスター レガシー コレクターズBOX
モンスター レガシー コレクターズBOX [DVD]

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『世にも怪奇な物語 第2話 影を殺した男(William Wilson)』A〜ルイ・マルの作家主義〜
 【『マル・オン・マル/ルイ・マル、自作を語る』フィリップ・フレンチ著、平井ゆかり訳、キネマ旬報社、1993年】というルイ・マル監督の素晴らしい自伝的著作があります。そこでの彼は、この『世にも怪奇な物語 第二話「影を殺した男(ウィリアム・ウィルソン)」』に関わっても、多くの興味深いエピソードなどを語っています。 マル・オン・マル―ルイ・マル、自作を語る / キネマ旬報社 ...続きを見る
時代の情景
2008/05/19 22:48

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして、U・Mと申します!
ルゴシ、カーロフの競演作と言うと、他に
も「大鴉」「殺人光線」等もありますね。
「殺人光線」は日本では未公開だった様で
すが、「大鴉」は日本で公開されました。
ただし、どちらも彼らの持ち役である、
怪物、ドラキュラ伯爵ではなく、普通の(?)
人間と言う役どころでした。
一度でいいから彼らの持ち役である怪物、
ドラキュラ伯爵としての競演作が見たかった
ですね。
因みに余談ですが、今流行のVS物の様な
「フランケンシュタイン ミート ザ・
ウルフマン」と言う作品も1940年代に
作られたそうです。
U・M
2007/05/11 23:17
 U・Mさん、はじめまして。コメントを頂きましてどうもありがとうございます。
 カルト作品にお詳しい方のようですね。ルゴシ出演作というと『ホワイトゾンビ』とか『猿の怪人』、カーロフ作品では有名な『フランケンシュタイン』よりは『ミイラ再生』のほうが好きです。
 怪物役のスターになってから、その後も恵まれたカーロフと薬物中毒で一文無しになったルゴシの生き様の違いを思うとなんともやりきれなくなりますね。
 また遊びに来てください。ではまた。
用心棒
2007/05/13 11:40
用心棒さん、こんばんは。
久しぶりに記事更新しましたので、TBしたのですが、うまく反映されているでしょうか?
ポーの原作つながりで、「ウィリアム・ウィルソンン」です。
用心棒さんは、この短編ご存知ですか?わたしはテーマも魅力的で映画も小説も大のお気に入りです。なにせゴダールもよく例示しており、演出ルイ・マル、主演ドロンですから・・・。
30年代ユニバーサルとは、また異なる妖艶な魅力があります。
では、また。
トム(Tom5k)
2008/05/19 22:59
 トムさん、こんばんは!
>この短編ご存知ですか?
残念ながら、未見です。ポーの作品は何冊かしか読んでいないので、エッセンスを掴めているのかは分かりませんが、どんどん読者を引き付ける力が凄いなあ、という印象がありました。
>ユニバーサル
結構名作ぞろいですよね。ベラ・ルゴシ主演の『古城の妖鬼』はご覧になりましたか?たしか監督もトッド・ブラウニングでして、出来栄えやギミックでは『魔人ドラキュラ』よりも好きなんですよ!ではまた!
用心棒
2008/05/20 20:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
『黒猫』(1934) 怪優ベラ・ルゴシとボリス・カーロフの初共演作品。 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる