『GODZILLA ゴジラ』(2014)久しぶりの雄たけびに感涙!エドワーズ監督は分かってるねえ!

 ハリウッド版ではありますが、久しぶりにゴジラが映画館に帰ってきたので、出来るだけ早く見に行こうとしたもののなかなか仕事の都合がつかず、ようやく本日の夕方の回での鑑賞となりました。

 まず最初に東宝のテロップが流れただけでシネスコープにウキウキしていた条件反射でニコニコします。東宝ゴジラのファンとしては前回のエメリッヒ版に不満だったので、また外人監督がヘナチョコにしやしないかとかなり不安な気持ちがありました。

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 それをオープニングでのモノクロ場面を使った1950年代の原爆実験まで遡り、現在に至るまでの極秘計画の映像を断片的に流し、1998年当時の日本まで一気に台詞なしで持ってきた演出は素晴らしく、この監督ならば大丈夫そうだなあと安心しました。

 基本的に今回はアメリカが舞台になるので、超巨大UMA対アメリカ軍の様相を見せる。まずは序盤。最初の舞台は1998年の日本のとある原発。

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 研究者として着任していたアメリカ人家族が地震と津波と火災に巻き込まれ、家族を失くす。その後15年に及ぶ原発地域の立ち入り禁止となんでも隠そうとする政府の陰謀への反発というわが国が現在直面している問題を描き出す。

 ただこの原発を襲ったのは地震ではなく、ムートーと仮称された巨大な空飛ぶ謎の怪物です。どういう経緯で生まれてきたのかが語られず、すでに存在しているこの怪物はメタリックな外観で、ガイガンを思い出すが、あれほど派手ではなく、必要最小限のシンプルさが潔い。

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 日本の観客としてはどうしても原発のシーンを見ると東日本大震災時の津波や地震に逃げ惑う人々を思い出してしまいますので複雑な思いがこみ上げてきます。

 ムートーは事故後もそのまま管理(根本的なことはできずにただ危機を眺めているだけ。)され、まるで数十年以上はかかると言われている原発の現状とダブってきます。

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 特に原発建屋が震動で崩れ落ちて、破壊されていく描写は見ていてショッキングでした。ムートーに関しては彼らの飛行シーンはまるでラドンのようであり、つがいになってゴジラに襲いかかる様子からは平成版『ゴジラ対モスラ』のモスラ&バトラを思い出させてくれる。

 あちこちにこれまでのゴジラ・ヒストリーを理解した上での演出がなされていて、ファンはおおむね満足できたのではないか。渡辺謙演じる芹沢博士の名前が猪四郎というのも本多猪四郎監督から採っているのでしょう。

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 またモノクロ画面やまるでモノクロのような真夜中の戦いを中心に描くことで、禍々しい巨大生物同士の激しさは想像力を掻き立て、また暴れ回る場面ではなく、彼らが街を通過した後の惨状を映し出すことで、より悲惨さが際立っています。

 サンフランシスコの代表的な建造物であるゴールデンゲート・ブリッジがゴジラにより破壊されてしまうかもという超接近カットには冷や冷やしますし、ゴジラの咆哮を10年ぶりにスクリーンで聴かせてもらえただけでも大いに満足してしまう。

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 話の筋も軍隊に代表される現代文明兵器対太古の自然がもたらした破壊神という構図はゴジラ映画としては外せないポイントですし、アメリカ映画なので多少薄められているものの反核メッセージも健在です。

 ゴジラ出現場面もぎりぎりまで延ばされていて、オープニングでの過去映像カット以外ではチラチラと体の一部分を出すまでに60分程度も観客を待たせて、焦らしに焦らす。

 サスペンス手法かつ予算を抑制するためにも効果的な手法で、思わず「いいいねえ!わかってるねえ!」と内心では喜びが溢れていました。出し過ぎるとありがたみが無くなりますもの。

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 また対戦シーンを後半ぎりぎりまで持って行って、2対1の変則マッチにするあたりの構成も良く、巨大生物の大暴れに太刀打ちが出来ないながらもなんとか人智を尽くして家族や街を守ろうと奮闘する最前線のアメリカ軍の活躍もしっかりと描かれています。

 その活躍の中心となるのが『キック・アス』で大ブレイクをしたアーロン・テイラー=ジョンソンです。彼のがっちりとした体つきはキック・アスとして鍛え上げた副産物なのだろうか。180度違った真面目な演技は見事にイメージを変えてくれました。

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 何気にジュリエット・ビノシュが彼の母親役で、そして父親役にはブライアン・クランストンが選ばれているのことも注目です。

 もちろん、我らが日本代表として渡辺謙が登場し、しかも名前が芹沢博士というのが1954年度版『ゴジラ』を知る日本人映画ファンとしてはさらに狂喜するポイントでしょう。普通に僕らがよく知る俳優が英語を話し、英語で芝居をするということは感慨深い。

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 今回の敵役ムートーには電磁パルスを出して、周りの電気機器をすべて使用不能にするという特殊能力があるため、彼らがパルスを発生させると米軍戦闘機の機器がすべてシャットダウンし、墜落してくるシーンには驚きます。これは電気が無くなると文明の崩壊につながりますよという警告でしょう。

 そして何といってもゴジラ。彼のキャラクター設定がビシッと決まっていれば、映画には一本の太い筋が通る。今回のギャレス・エドワーズはさすがに全作を研究してGに挑んでいるためにお子様向けにはしない硬派な演出を選んでくれました。

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 全長108メートルという高さはでかすぎるというわけでもなく、アメリカのサンフランシスコに現れるにはちょうどいいリアル(?)な大きさに思えました。敵対するムートーもラスベガスやハワイ、日本で大暴れします。

 ゴジラの戦闘力はすさまじく、倒れそうになっても背ビレの発光(美しい!)とともに放射能を浴びせかけるシーンにはあらためて嬉しさが爆発します。思わず「よし!」と言いそうになる自分がいました。またムートー(♂)を倒すときには尻尾による大車輪キックをぶちかまし、オスを蹴り殺します。

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 生き残った巨大なムートー(♀)を倒す最終技は口を引き裂いて、強力な武器である放射能炎を全力で口中に流し込み、首を刈り取ってしまう。さすがのゴジラも力尽き、サンフランシスコの川の近くでぶっ倒れてしまう。

 翌日にカモメに身体をつつかれてしまっている(1984年度版?)のを見た時には「続編はなく、ここで眠らせるのかなあ…」と思いましたが、すぐに目を見開き、もと来た海に戻っていく(対ビオランテ?)のでした。

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 背ビレがゴツゴツとしていて、徐々に水中に潜っていくにつれ、背ビレも見えなくなってしまい、スクリーンは暗転し、スタッフ・ロールが出る。

 素晴らしい復帰作でした。G映画をせっかく作ってくれたのですから、文句なんか言えるはずもない。よくぞここまで特撮愛に溢れた作品に仕上げてくれたものです。

 この映画のゴジラ映画DNAをあちこちに感じさせてくれるもうひとつの原因は『ゴジラ対へドラ』を撮った板野義光監督が製作に関わっていることも見逃せない。問題作を送り出した彼を製作陣に加えることで現在も続いている公害や核に対してもぶれない方向性を与えることに貢献したのではないか。

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 東宝ゴジラ・シリーズだけではなく、アメリカの巨匠、レイ・ハリーハウゼンとウィリス・H・オブライエンが確立したストップ・モーション・アニメーション技術への愛情も伝わってきます。電車襲撃シーンはコングの十八番です。

 上陸してきたムートーを照らすための照明弾(バラゴンか?)が投下され、照明が反射しているときに見えたり見えなくなったりするムートーの動きがストロボをたいたように、まるでフリッカー(ストップモーション特有のカクカクした動き。)の動きに見えてしまい、ゾクゾクしました。

 作戦室に映し出される映像がモノクロなのも意図的に感じます。まるで大昔の特撮映画を指令室で楽しんでいるような錯覚を覚える。

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 前述したとおり、このつがいの生物の攻撃は電気を無力化するという厄介なもので、攻撃機にせよ、艦船にせよ、本部コンピューターにせよ、現在社会では電力が落ちると壊滅的に防衛力が落ちてしまうことを端的に表しています。

 最後は結局、人力でしかも生命の危険が大きすぎる人海戦術や愛国心を原動力とする決死隊による活躍でしか国家は救えないという結論に達してしまう。アメリカ軍とゴジラの意図しなかった連合軍による迎撃により、今回の異分子は取り除かれました。メディアがゴジラを救世主かと色めき立つのはヒーロー願望からだろうか。

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 重要な要素の一つである音楽を務めたのはアレクサンドル・デスプラで、彼はゴジラの音楽、つまり伊福部明が付けた完璧なイメージを理解し、踏襲する部分は踏襲しつつ、あらたなゴジラ音楽を作り上げています。

 旋律のそこかしこに歴代ゴジラ映画で僕らが知る音楽のエッセンスが散りばめられていて、ゴジラのメイン・テーマだったり、キンゴジの「ガオー!ガオー!」に似たイメージが出てくるのでニコニコしながら聴いていました。

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 人間ドラマとしての出来も十分で、アーロンは両親をともにムートーの襲撃によって失いますし、妻子も彼らの攻撃によって危険にさらされる。主にフォーカスを当てられるのはアーロンですが、渡辺謙も父親を原爆で失ったという設定であり、お子様向けとは言い難い。

 脇を固める俳優陣がしっかりと人間ドラマ、つまり本編をしっかりと血の通ったドラマに仕上げているからこそ特撮が光るのであり、その逆ではない。

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 CGに莫大な大金が投入されようと人間が描かれていない作品は記憶には残らない。この問題をクリアしているからこそ、今回のゴジラは活き活きとしている。

 さあ、今度は母なる国である東宝版ゴジラの復活を待ちたいところです。アメリカ映画がゴジラのスタンダードを引き上げたのですから、本家としてもいい加減なものは作れない。ここは一発、夢のカードである『ゴジラ対ガメラ』を実現すべき時が迫っているのではないか。

総合評価 85点

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