『復活の日 VIRUS』(1980)大昔の映画だが、不気味に響く今。人生は素晴らしい…

 今回の武漢ウイルス蔓延で思い出したのが大昔に見た、深作欣二監督が1980年に公開した『復活の日 VIRUS』でした。話の筋と現実世界で起きていることが奇妙なほど一致していて不気味です。

 大国同士の生物兵器研究と諜報活動を通じた技術の奪い合い、責任のなすりつけ合い、社会で起きるパニックなどを見ると、まさに今起きていることを予告しているようでした。

 劇中では米軍が研究していた最凶生物兵器が共産ロシアに盗まれ、極秘理に管理していた東ドイツで奪取作戦を敢行し、何とかスイス近辺まで飛行機で運ぶも、天候不良により墜落し、そこからまずはヨーロッパに広がり、アメリカ、アジア、アフリカに蔓延して、人類だけでなく、すべての脊椎動物を死滅させていく。

 生物兵器が活動できないマイナス10℃以下の南極だけがウイルスにやられず、何とか細々と約800人余りが生き残っている状況になります。極限状態になってさえ、なかなか纏まることもなく、男性800人対女性8人という状況は強姦被害も生み出していく。

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 女性は人類最大の価値がある存在にはなるが、女性一人で百人を相手する状況になり、女性たちはあきらめと絶望が支配していく。今ならば、間違いなくカットされる描写でしょうが、なんともリアルではあります。

 数年経過し、生き残っていたチャック・コナーズ(『マッド・ボンバー』を思い出します!)率いるイギリス海軍の原子力潜水艦のクルーも加わり、なんだか賑やかになってきます。食料は持つのだろうかという素朴な疑問は野暮でしょう。

 北米での大地震を予測する地震学者役の草刈正雄とバリバリの体力勝負の軍人役のボー・スヴェンソンは汚染されている首都ワシントンにあるホワイトハウスの地下施設まで行って、核ミサイルの作動スイッチを解除しに行く。

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 あと少しのところで失敗して、生物兵器だけでなく、放射能被害が世界を破壊し尽くす様は絶望的で、昔見た『ノストラダムスの大予言』並みのインパクトがあります。

 同時進行で科学者は皆から反対されていたものの、最凶ウイルスを無効化させるワクチン作りに精を出し、実験は出来ないので、草刈とスヴェンソンを使って、ぶっつけ本番で治験を行い、データを集めようとする。

 今回の武漢ウイルスは高齢者、障害者、持病を持っている人が罹りやすく、症状も悪化しやすいのが特徴的です。ちょっと研究所から漏れただけでこれだけの被害を撒き散らした公衆衛生概念が皆無の中国ではたぶん嘘に決まっていますが、武漢ウイルスを克服したと宣伝しています。

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 花火まで打ち上げる自分勝手で間抜けな姿をいまだウイルスで苦しんでいる全世界に発信し、自分のところが嘘で隠蔽したために世界中にばらまいたくせに、すでにウイルスを克服した中国に学べとフザケた宣伝を行い、このウイルスも米軍が撒いたものだと言い掛かりを付けだしています。ああいうヤクザの考え方なのだと肝に銘じ、今後は対処して行かねばならない。

 出演者はバラエティに富んだ人がいっぱい出てきます。草刈正雄、緒形拳、永島敏行、渡瀬恒彦、夏木勲、多岐川裕美、丘みつ子、中原早苗、千葉真一の日本勢の名前は昭和世代には懐かしい。

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 ぼくら60~70年代映画をさんざん12チャンなどで観てきた世代にはジョージ・ケネディ、チャック・コナーズ、グレン・フォードの名前を見るとなんだかワクワクしてきます。彼らにアーネスト・ボーグナインが加われば完璧ですが、残念ながら、今回の映画には登場しません。

 撮影には黒澤組にいた木村大作、音楽にはジャニス・イアンを使っているので、かなりの超大作として製作されたのは間違いありません。

 しかしまあ、今見ると斬新さが分かります。米ソ対立から漏れてきた生物兵器を前面に押し出し、ドローンを使って観測をし、最初に広がる国はイタリア。付けた名前は"イタリア風邪"。関係ないところなのに政治力の差からか、イタリアにレッテルが貼られる。

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 この辺は言い逃れしようと国連に出汁に使って、卑怯な宣伝戦を仕掛ける全体主義国家の中国のやり方を思い起こさせる。病院に押しかけてパニックを起こしているイタリア人の姿は最近テレビでも見る光景です。製作は1980年なので、中国はまだ今回の発生源の武漢がある中国は出てきません。

 あちこちにご都合主義やなんでヘロヘロに当てもなく歩いているだけの草刈がなぜか南米の端っこでオリヴィア・ハッセ―と再会してしまう強烈であまりにも強引なエンディングを迎える。

 核汚染されて、環境が激変しているはずなのに、そして放射能がまだ濃く残っている地上でどうやって飲み水を確保し、どうやって食料を調達してきたのかという根本的な疑問は生じるものの意図したいことは分かります。

 いまこそ見るべき映画であることは間違いありません。早く、通常の生活が訪れることを望んでいます。ただこれまで経済、経済、成長、成長と銭勘定ばかり考えていた世界の国々でしたが、死んでしまえば終わりだという当たり前のことを自覚すれば、何が最も大切かが分かるはずです。

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総合評価 75点

復活の日 角川映画 THE BEST [DVD] - 草刈正雄, オリビア・ハッセー, 夏木勲, 深作欣二


日本沈没 - 小林桂樹, 藤岡弘, 丹波哲郎, 二谷英明, いしだあゆみ, 島田正吾, 森谷司郎, 橋本忍

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この記事へのコメント

snowman
2020年03月24日 00:08
用心棒さん、こんばんは。
本当はTV放映にて鑑賞致しましたし、小松左京さんの原作小説も読みました。
思い起こせばただいま進行中の疫病の蔓延に通ずるところ多々あるようで私も衝撃を受けているところです。
おそらく同じ気持ちの方は世の中に数多くおられるのではないかと思います。
映画には『荒野の7人』やTVシリーズながら本邦においては劇場用映画が8本公開された『0011/ナポレオン・ソロ』のロバート・ヴォーン、そして『緑の館』でオードリー・ヘップバーンを焼き殺そうとしたり、『メガフォース』でゲリラ・戦車隊を指揮したり、『アリゲーター』で返り討ちにあったりのヘンリー・シルヴァというハリウッド俳優さん達の起用というミドコロがございました。
また、映画製作には生頼範義画伯が参加されておられまして、そのコンセプト・アートは素晴らしいものです。
生頼範義画伯といえば『ゴジラ』や『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』のポスターが有名ですが、力強い筆致は忘れられません。
伝染病を題材にした作品は『コンテイジョン』とか『アウトブレイク』などいろいろございますがそういった海外作品に負けないスケールがあったように思います。(^^)/
用心棒
2020年03月24日 09:44
おはようございます!

この作品にしろ、『コンテイジョン』にしろ今見ると現実化している背筋が凍る表現が多く、驚かされますね。

この作品て、思っている以上に素晴らしいスタッフや俳優陣に囲まれていて、改めて今回観た時にスタッフ・ロールが流れてきたときに嬉しくなりました。

厳しい状況ではありますが、冷静に行動して、食事と睡眠に気をつけて乗り切りましょう!

ではまた!
2020年03月29日 14:36
用心棒さん、こんにんちは。
この作品、映画好きの父親と中学生のときに観に行きましたよ。
なつかしいですが、今回の新型コロナ騒ぎで、私もまず最初この作品を思い出しました。
親父も草刈正雄の帰還中の食べ物に、
「放射能で汚染されてるのに、あのリンゴ食ったりできるかあ?」
などとブツブツと文句を言いいながら観ていましたよ。
それにしても、核も恐ろしいですが、人類が絶滅するとしたら、未知のウィルスが原因になることはあり得るでしょうね。
ショックだったんですが、私の同級生は昨年インフルエンザで肺炎を併発して亡くなりました。ウィルス性の流感に命を奪われることなんて、不思議でもなんでもない事です。今回はまだ致死率が高いとは言えませんけれど、致死率9割の新型ウィルスが蔓延するなんて、いつ起こっても不思議じゃないですよね。

>死んでしまえば終わりだという当たり前のことを自覚すれば、何が最も大切かが分かるはずです。

この年になると「死」が具体的にイメージ出来てしまいます。まして、50半ばを過ぎた私自身の健康年齢なんて、せいぜいあと20年?
おふくろが最近「腎盂炎」で入院したんですが、その間にと思って我慢していた木下恵介のDVD「楢山節考」を鑑賞をしました。おふくろがいる居間では観れませんでしたから(笑)。
本当に、死ぬとしたら美しく尊厳を保ったものにしたいですよ。
黒澤の「赤ひげ」でも観てみたくなってきたなあ。
では、また。
用心棒
2020年03月29日 22:35
こんばんは!

ぼくは当時小学生で、担任の先生がこれを観に行って、ショックを受けたようで授業中にチャック・コナーズの「人生は素晴らしい」を感慨深そうに語っていました。

最初に見たのはビデオ時代で衝撃的でした。当時はウイルスよりも核爆弾のほうが恐いだろうなあと思いながら見ていましたが、実際に武漢ウイルスが世界中にばらまかれると何も知らない外国人からすると独裁国家が隠蔽するとあっという間に世界中に広がることに驚かされました。

株式市場だけでなく、実体経済まで失業がアメリカで数百万人出るなどとは想像できませんでした。ただいずれ新薬も出来るでしょうし、地震や爆撃とは違い、インフラが破壊されたわけではないので、世界経済は長くても二年もすれば、ある程度は復活するでしょう。

この二年は経済一辺倒で突っ走ってきた米中、欧日がいったん立ち止まり、もっとも大切なのはお金ではなく命であることを再認識してくれれば、良いのではないかと個人的には思っています。お金はまた元気になれば稼げますが、死んでしまえば復活はないという当たり前のことを知る一年になるでしょう。

ボリス・ジョンソンらは自ら罹患したわけですから、彼の復帰後にどういう心境の深化を遂げるかに興味があります。

ではまた!
マイケル村田
2020年04月17日 23:04
どうもお久しぶりです。自分も「復活の日」に関しては今見ると…、コロナの猛威を漂っている事を考えると今の世界は…、「復活の日」、「ノストラダムスの大予言」、「世界大戦争」、「日本沈没」といった世界終末映画の世界そのものの状態に陥ってしまいました…。「復活の日」のように医療崩壊して南極以外の全世界死滅にならないように全人類が一致団結して、ワクチンや治療薬の完成を望む事を祈っている日々である…。
用心棒
2020年04月18日 21:22
こんばんは!

これ最近見直してから記事にしたのですが、描かれていることと現実に起こっていることが酷似している描写が多くあり、ぞっとしますし、小松左京の先見性に驚かされます。

現実世界ではWHOの言ってきたことと要請したことへの逆張りをしたほうが生き残れますね。当初、「国境を閉じるな!」「人から人への感染はない!」「マスクは必要ない!」「検査!検査!」「中国は良くやっている!」etc

中立ではない国際組織が大声で誤ったアナウンスするのは罪悪で、悪影響しかないのではと思います。

終息まで数か月か数年か分かりませんが、まずは生き残りましょう。

ではまた!