『インビクタス 負けざる者たち』(2009)日曜日は南アフリカとの激闘が控えるが、マンデラの意志は気高い。

 ラグビー・ワールドカップの日本代表が予想を良い意味で裏切る快進撃を続けているため、台風19号で傷ついた人々にも勇気を与えてくれています。ぼくらが出来るのは募金位ですが、やらないよりは良い。テレビやネットでも大盛り上がりになっているワールドカップについて、古くからの関係者やファンの方にとっては隔世の感があることでしょうし、感慨深いに違いない。

 ぼくも1982年スペイン大会からのサッカーファンで1992年のアジアカップ優勝や1993年のJリーグ開幕以降、代表チームを中心に人気が急速に盛り上がってドーハで頂点に達し、その数年後はにわかが離れて停滞し、横浜フリューゲルスなど幾つかのクラブの存続危機やサポーター絡みのトラブルなど様々な問題を経てきました。

 それでもJリーグがなんとか三十年近くの歴史を作ってきたのを見ているので、プロ化してもなかなかリーグ全体とクラブが軌道に乗るまで一つのスポーツをサポートし続けるのは難しいと理解しています。

 ぼくら末端のサッカー・サポーターが出来ることといえば、今後、フットボールの双子の兄弟であるラグビーを盛り上げるためにラグビーの国内リーグの各試合にも足を運び、ブログや日常会話の時に折を見て、ラグビーやサッカーの話題を差し込んで行くくらいしか出来ません。

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 ぼくはワールドカップ終了後の国内リーグのチケットを昨日購入しました。小さな行動ですが、こういうことの積み重ねで徐々に国内リーグにも客足が増え、活気がつけばオジサンファン冥利に尽きます。

 先日、ラグビーワールドカップの合間にサッカーの日本代表はワールドカップ二次予選のカザフスタンでのアウェイ戦を戦い、3対0の勝利を収めました。サッカーの日本代表が二次予選でたとえ勝利を収めても、それほど話題にはならず、圧勝ではないとか、最終予選に進むにつれて不安があるとか言われています。

 ちまたでも、老若男女のさまざまな批判を受けるようなレベルに国内ファンが成長するまではこれらイギリス発祥の双子のフットボールをサポートして、これからも楽しみたい。

 どうせなら、各地域のJリーグクラブとタイアップし、ラグビー部門、バスケットボール部門、サッカー部門などが合同で地域包括スポーツクラブとして、全体として地域に根付いてくれたら、一番楽しそうです。まあ、利権とかあるし、体育会系統なので、どこもオレのが偉いとかになって、纏まらなそうです。

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 最近はラグビー一色ですが、今、手元にあるのはオーティス・レディングの代表的なヒット・ナンバー『ドック・オブ・ザ・ベイ』のシングル盤です。飛行機事故により、不幸な死を遂げた彼の死後に発売されたこのナンバーが皮肉にも彼自身のキャリアで最も売れて、最も有名なナンバーになりました。

 学生時代、輸入盤でこの曲が収録されたアルバムを購入しましたが、一番のお気に入りは『ドック・オブ・ザ・ベイ』『 I Love You More Than Words Can Say』でした。

 若い子達にオーティスの話をしても、誰も分からないという状況ですが、これは僕らが十代の頃もそう大差はなく、ほとんど誰もジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、オーティス・レディングを知りませんでした。

 1980年代後半でもすでに死後20年くらいは経っていましたし、今の子が知らないのも無理もない。そんなこんなを考えながら、シングル盤をクリーニングし、レコードに針を落としました。するとすぐに部屋の空気は一変し、潮風が寄せてくるサンフランシスコ湾のような、何とも言えない雰囲気になりました。

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 まだこの曲は生きていると感じた瞬間です。オーティス以外では高校生の頃によく聴いていたバンド、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズなどを中古レコード屋さんやヤフオクで落として、昔懐かしのレコード・プレーヤー(今じゃ、ターンテーブルなどと言うらしい)でLPに文字通り針を落として聴いています。

 話をラグビーに戻します。今度の対戦相手、南アフリカ共和国はネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマンが演じています)が開幕戦と決勝戦を見守る中、1995年の主催大会で初優勝を遂げ、2007年大会でも優勝し、ワールドカップ通算二度の優勝経験がある強国です。

 ここ10年くらいはイマイチの結果しか残していませんが、経験値は圧倒的にわが国よりも上ですし、何よりも前大会予選プールでティア2に位置している日本に負けてしまうという失態を演じているので、今度は油断せずに立ち向かってくるでしょう。

 南アフリカという国は人種隔離政策として悪名高いアパルトヘイトを採用していて、マンデラはじめ多くの政治犯を収容していた過去があり、人種間の亀裂は深刻で、マンデラが釈放されたころは議会でスプリングボクスを無くし、ユニフォームも改変すべきとも意見が多かったのをマンデラが白人たちが大切にしているものを奪ってはいけないとの鶴の一声で投票をし直し、12票差で存続が決定したというエピソードも語られます。

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 マンデラはラグビーファンでもあり、スプリングボクスを国家統合や融合の象徴として活用したいとの思惑があったようで、自国開催の準備段階から代表チームと深くかかわり、キャプテンのフランソワ・ピナール(劇中ではマット・デイモンが彼の役を演じています)とも親交を深めてきたようです。

『神よ、アフリカに祝福を』

その栄光が高く掲げられんことを
我らの祈りを聞き届け、

あなたの子である我らを祝福したまえ
主よ、我らの国を護りたまえ

御手によりすべての争いを鎮めたまえ

我らと我らの国を護りたまえ

この南アフリカの国を

我らの上なるこの青き空より

我らの海の深みより

こだま渡る険しき永遠なる山々より
「共に来たれ」と呼ばわる声あり

我らは共に立ち上がる

自由のために生き、いざ戦わん

我らの国、南アフリカで


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 これは南アフリカの国歌で、今回も会場で掛かっていますが、日本ファンの素晴らしいところは相手側のチームの国歌を一部の日本人観客が一緒に歌っていることです。サッカーファンからすると、これは考えられない行動ですし、ラグビーファンのレベルの高さを内外のスポーツファンに証明しました。

 試合前のセレモニーに登場するマスコット・キッズたちも同様で、ウルグアイ、ナミビア、ニュージーランドなどの代表が一列になって国歌斉唱している横で、小さな子供たちが全力で歌い切っている様子が海外でも話題になっているようです。

 参加選手たちも大いに日本での大会を満喫しているようで、インスタなどにもくつろぐ様子がアップされています。中には試合が中止になり、悲嘆にくれる中でもカナダの選手やナミビアの選手が復興支援に立ち上がってくれているのを見ると、頭が下がる思いですし、何か彼らが困っているときには今度はこちらがお返ししなければならないという気持ちにさせてくれます。

 映画はクリント・イーストウッドが監督した作品に相応しく、気品があり、駆け足でマンデラとスプリングボクスの関わり合いや南アフリカの歴史を語るために消化不良の部分や人物の掘り下げが浅いなどの難点がありますが、セピア調の淡い色彩が古くはない現代史を描いた物なのに歴史を感じさせる興味深い出来に仕上がりです。

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 劇中で語られるワールドカップ南アフリカ大会も実際のスコア通りに展開を進めます。特に決勝戦に登場する相手はニュージーランドで、英雄ロムーを完封する南アフリカ15の必死のマークや試合後、話題になったノートライでのペナルティキックによる得点しかない異例の様子を完全再現しています。

 1994年に行われたイタリア対ブラジルのサッカーワールドカップの決勝も0対0のまま、PKに突入し、イタリアのフランコ・バレージとロベルト・バッジョがまさかの失敗で幕を閉じる守備的な戦いだったので、大いにラグビーの将来も心配されました。結果は杞憂に終わったようです。

 サッカーファンとしてラグビーに強く惹かれている理由として一番になるのは選手の競技に対する必死さと真面目さ、ノーサイド精神などでしょうか。ふだんサッカー選手のばれなければ何をやっても良い的な考え方やオーバージェスチャーで審判からファウルを取ってもらおうとする小賢しい競技態度にうんざりしていたところに今回のラグビーがやってきたので、よりフェアな態度が目につきます。

 見えないところでは汚い小競り合い(特に南米)や審判へのプレッシャー(こっちは欧州)を掛けたりがありますし、ティア1とティア2の扱いの差別、上から目線と利権第一の考え方はサッカーと同じに思えます。

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 ただそれでもサッカーよりはかなりフェアで審判買収などもやりにくそうです。そもそも富裕層のスポーツですし、ビールをガブガブと浴びるように飲みながらの観戦態度も他とは違っています。なんか余裕を持って観戦している感じがあります。

 規律と情熱、公正さと我慢強さなど日本人の気質に合っているスポーツなので、これからも発展してほしいし、人気をバブルにせずに継続的に盛り上がるようにラグビー協会には知恵を絞っていただきたい。いつまでもジジイが協会のトップに居てはいけない。余談ですが、桜ジャージーとして一躍有名になったユニフォームですが、どうも❝えび❞に見えてしまうのは僕だけなのだろうか。大いに跳ねて、フィールドを泳ぎ回ってくれるでしょう。

 さて、今週は決戦の日曜日です。個人的にはニュージーランドのオール・ブラックスとの対戦を望んでいましたが、前回の対戦でジャイアント・キリングを起こした南アフリカとの再戦になりました。真剣勝負を挑んでくるティア1国との対決は4年に一回しか出来ない機会ですので、正々堂々、威風堂々決戦に挑んでほしい。具くんやリーチ・マイケルら前線の選手たちの疲労と怪我が一番心配ですが、国民すべてが応援しているので、きっとやってくれるでしょう。

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 総合評価 75点

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