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zoom RSS 『リメンバー・ミー』(2018)すべての人に忘れられるのが本当の死

<<   作成日時 : 2018/03/19 17:26   >>

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 朝7時ごろに家を出ると駅の方がなんだか騒がしく、散歩がてらに観に行ってみると駅前にある居酒屋さんから煙が出ていて、消防車が5台くらい駆けつけていて、消火作業が行われていました。

 煙は白く、黒煙ではありませんでした。原因は分かりかねますが、昔から営業されている居酒屋さんでしたので、早く通常通りに営業されることを望みます。

 昨日の夜、県内に数カ所あるシネコンで検索したところ、近場のよく通っている劇場ではこの作品の字幕版を上映していないことが分かりました。

 そのため、今回は数年前に可愛がっていた大学生と一緒に観に行った映画館まで来ています。一緒にドーナツを食べた、一階にあったミスドはすでに撤退し、訳が分からない店に変わっています。

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 周りの店舗も人手不足からでしょうが、営業時間が後ズレしているようで、ぼくが辿り着いた時間帯では準備中だったり、シャッターが閉まったままの店舗が目につきます。

 地方はどんどん人手不足と過疎化が進んでいるようです。奈良には近鉄が作った有名な住宅街があります。帝塚山学園があるところで、その名も学園前という駅まであります。

 かつては100坪以下は家ではないと豪語していた地主たちもどんどん衰えて足が弱くなり、山を切り開いた高台での階段や段差が多い暮らしに疲弊し、売り家の物件が多く出ていますし、相続のために半分土地を売り払い、50坪程度の敷地を売りに出している状態です。

 電車や車で走り抜けると分かりませんが、地道を歩いて回ると空き家だらけになっていることに驚きます。かつてそこに住んでいた人々はとうの昔に居なくなり、遺産を譲り受けた人が後始末として売れるのを待っている状況のようです。

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 かつて暮らしていた人を知る人も老いていき、記憶は薄れていくばかりで、彼らもまたいずれその地から居なくなります。死後10年も経てば、家族以外で死者を思い出す者も覚えている者も居なくなる。

 『リメンバー・ミー』はディズニー映画で、本編上映前にアナ雪の短編『アナと雪の女王/家族の思い出』が結構長々と続きますが、平凡で途中から飽きてきます。

 サービスのつもりなのでしょうが、すでに春先で季節感を逃しているクリスマス・エピソードということもあり、かなりダレてきます。上映時間はなんと22分間!さすがに長すぎて、始まる前に疲れてしまいます。

 そういうのは土日祝限定にして、さっさと流して欲しい。ようやく20分以上を経過してから本編が始まります。舞台はメキシコで描くのは死者の国なので、キリスト教の考え方とはかなり違うようで陽気でカラフルな黄泉の国が登場します。

 カクテルカラーの死後の世界はポップではありますが、そこかしこにスラムのような地区も描かれていて、どこにも身分がしっかりと存在していることが描かれています。

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 主人公の少年は死者の日、日本ならお盆みたいな感じの日に大スター(おじいちゃんのおじいちゃんと思われる。)を祀った祭壇に忍び込んだところ、死者の国に迷い込んでしまう。

 夜明け前までにすでに亡くなっている御先祖の許しを得れば、住んでいた現世に戻れるが、遅れると戻れなくなる。曾祖母(だったかな?)のおばあちゃんが出した条件に反発した彼は大スターである曾祖父のおじいちゃんを探し求め、彼を知っているとうそぶくヘクターと行動をともにする。

 彼は現世の人から忘れられかけており、死者の国からも消え去ろうとしている。霊である彼らにとっての本当の死とは生きている人々から忘れ去られることです。忘れられていない条件は祭壇に写真が飾られていることと生きているころの思い出を語り継がれていることのようです。

 利害が一致する二人は協力するが、大スターで大昔のご先祖と思われていたデラクルスとヘクターの間には衝撃的な過去と因縁があったという展開に発展していきます。

 映画のモチーフである『リメンバー・ミー』はあちこちで歌われていますが、重要なのは偽のスターであるデラクルスのショーマンシップ溢れる歌唱、ヘクターが子供だった頃の曾祖母にやさしく歌いかける場面でのこの歌、そして主人公が父親を忘れかけている曾祖母に歌い聞かせるシーンでの三回でしょう。

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 ストーリー展開とサプライズは上手く機能しており、何代にも渡って、関係がこじれてしまった家族が絆を取り戻していく様子が嫌味ない程度の温度で描かれています。

 音楽を選ぶか家族を選ぶかという二択は道を究めるためには犠牲はつきものという真実が示されています。最近のディズニー映画ですが、家族用のただ甘いシロップ味には仕上げられていません。

 どこか苦味もあり、ユーモラスでカラッとしてドライに死者の国が表現されているのは子供も見るディズニーならではの作為なのか、メキシコ独特のキリスト教とは違う価値観からなのかは分かりませんが、映画としては十分に楽しめます。

 エイゼンシュテイン監督の晩年の大作『メキシコ万歳』に散りばめられた死者のイメージは不気味でしたが、この映画での死者には悲壮感はない。

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 実父を忘れかけていた、おばあちゃん(曾祖母)に主人公ミゲルが歌って聞かせる『リメンバー・ミー』が素晴らしく、彼が歌うとボケかけていたおばあちゃんは意識がしっかりと戻り、彼と歌い、会話まで出来るようになる。

 1年後の世界も描かれていて、とうとう寿命が尽きたおばあちゃん(曾祖母)はヘクター(父)とイメルダ(母)のもとに帰り、一緒に翌年の死者の日(お盆だね!)にウキウキしながら実家に戻ってきます。なんか日本の死生観とも合っていて、違和感はない。

 特に死者が現世に年に一度戻ってくる死者の日の描写の中に、死者の国からのパスポートを確認する作業があり、地獄の門のようなところを通過すると目の前に三途の川が広がるように花の橋が架けられているさまはどこの国も同じような描写になっているのが興味深い。

 実際、日本のお盆もあんな感じに死者たちが戻ってくるのに手続きがあるのなら、かなり面白いです。忘れられると年に一度も現世に帰ってこれないのはけっこうショックでしょう。

総合評価 80点


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さんこんばんは。この映画、ようやく見てきました!登場人物がいかにもCGですという感じではなく、モデルや人形みたいな暖かさを感じさせるのでいいですね!お婆ちゃんのシワやワンちゃんの質感なんかが。頭が取れたり(笑)腕の骨を外し武器として使うのも笑えました。死後の世界でもラテンらしく陽気なのも素晴らしいですね。でもアナ雪の短編はイマイチでしたね〜。
さすらいの映画人
2018/04/16 18:36
こんばんは!

>暖かさ
おばあちゃんがよかったですね。年輪を重ねて、どっしりとした感じが出ていました。

>ラテン
カラッとしていて、それでいて陰があるあの世の雰囲気がなかなかでした。

>アナ雪
ひどかったですね。早く終われと思って、我慢していましたww

ではまた!
用心棒
2018/04/16 18:47
用心棒さんこんにちは。昨日TSUTAYAに行ったら、この映画のDVD発売の告知特大パネルが置いてありました。もうここ何年かですが、出すのが早すぎます!大抵の作品はDVDやBlu-rayが出るのが前提なんだからメーカーも考えて欲しいです。DVDが出るから劇場に行かなくていいやなんて考えてる奴を増やすだけですよ!
さすらいの映画人
2018/06/04 18:35
こんばんは!

>早すぎ
たしかに!
たとえば『グレイテスト・ショーマン』はまだ僕らの街では劇場に掛かっていますが、先週くらいからもうTSUTAYAに並んでいますwww

さすがにやり過ぎだと思いますね。DVD化するのはせめて全国で最後の上映が終わってから半年後にするとかルールを決めるべきですね。

劇場に観に行っている観客をないがしろにし過ぎですよね。一泊二日で200円しか払わないやつよりも、正規の料金を支払っている客をもっと大切にすべきですよね!

ではまた!
用心棒
2018/06/05 00:43

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