『マッド・マックス/サンダー・ドーム』(1985)三作目までは来たものの…。
マッド・マックスのシリーズは第四弾まで用意されているとずいぶん前から聞かされていたものの、実際に公開されたのは1985年の第三弾『マッド・マックス/サンダー・ドーム』までです。
当時、高校生だったぼくはすぐに映画館まで観に行きました。すでに30年近くが経っています。『マッド・マックス2』でも触れた通り、もし第四弾を作るとすれば、メル・ギブソン演じるマックス・ロカタンスキーは謎のおじいさん役で、おそらく大抜擢されるであろう若手俳優が主演として成長し、活躍する過程での参謀役としての姿を描いていくのだろう。
『ベスト・キッド』のミヤギさんみたいな感じだろうか。こうすればさらに続編作りが容易になり、まるで『猿の惑星』のように延々と続く可能性も出てきます。
もともと一本ずつ見ていっても問題がないほど特に繋がっているストーリー展開ではありませんでしたので、シュワルツェネッガーの肉体美に依存していた『ターミネーター』のシリーズ後半ほどの違和感はないでしょう。
公開された当時に映画館まで観に行ってからはビデオとDVDで合わせても、二度しか見ていません。ティナ・ターナーや巨漢のマスター・ブラスターなど魅力的なキャラクターは配置されてはいますがどうもしっくりこない。
また前作『マッド・マックス2』で大活躍していたブルース・スペンス(ジャイロ・キャプテン)が違う役で再登場してしまっているのも乗り切れなくなってしまうポイントでした。いくらなんでも準主役クラスだった彼を同じような役で出すなんてありえません。
まるで『仁義なき戦い』で毎回死んでも次の作品で違う役名で出てきてしまう川谷拓三、梅宮辰夫、北大路欣也みたいでした。
マックスの髪形もいただけない。なんだろう。音楽室の作曲家の肖像をかなり汚くした感じの櫛が通らなさそうな不潔感とキダタローみたいなヘアスタイルはなんとも言えない。あちこちに違和感があるからかどうも画面に集中できない。今までのマックスのような吸引力がない。
その理由はなんだろうか。V8インターセプターが出てこない、つまりクルマが疾走するのが大きな魅力だったはずのマッド・マックスがその勢いを完全に失ってしまったのがこの『マッド・マックス/サンダー・ドーム』なのでしょう。
レールの上を走る汽車が爆走している横で棒にぶら下がった敵役が障害物を避けるシーンが笑いを誘ってはいましたが、本筋とは関係ありませんし、全体を通しても、あまり印象がない。
一応は砂漠を爆走するバギーのカーチェイスがあるにはありますが、それまでの二作のチェイスが素晴らしかったこともあり、ただただ残念な作品に成り下がってしまいました。
そもそもタイトルには“サンダー・ドーム”がしっかりと入っているので、このコロシアム施設が大きなカギを握るのだろうと考えるのが一般映画ファンの心理でしょう。
しかしサンダー・ドームは作品の象徴なのかと思っていたのですが、前半に出てきて以降はまったく登場せず、最終的には砂漠のバギーしか記憶に残らない。
物語の構成として最後にサンダー・ドームでの一戦を持ってこなかったために視点がボヤけてしまい、作品全体のクオリティーをも暴落させてしまいました。もしかするとこの作品が酷過ぎたために四作目がいまだに世に出ていないのかもしれない。
デジャヴのような感覚を思い起こす映像が多く、サンダー・ドームでの戦いを取り巻くオーディエンスは『スターウォーズ ジェダイの復讐』でのルークとジャバが飼っている怪物との戦いを見ているような気分になりました。
砂漠に墜落した飛行機に子供たちが乗っている映像は『風の谷のナウシカ』、豚の排泄物のタンクに落とされた敵役が浮かび上がってくるシーンは『地獄の黙示録』のウィラードみたいでした。
コメディのつもりだったのかこちらが勝手に想像しただけなのかは分かりませんが、コメディ色が妙に鼻につく映像の作り方でした。
映像として覚えているのは飛べない飛行機に乗る子供たち、傷ついたマックスにティナ・ターナーが語りかけるラストくらいです。マックス・ロカタンスキーの最期が描かれる日は来るのだろうか。
なんだかんだいっても一番目立っていたのは『プライヴェート・ダンサー』で大復活した直後のティナ・ターナー姐さんで、悪だくみをしていたのは彼女でしたし、ブラスターを殺すためにマックスをけしかけたのも彼女でしたし、暗殺したのも彼女の手下ですし、主題歌を歌っていたのも彼女でした。
彼女の声って、ハスキーで魅力的で、このころの曲でデヴィッド・ボウイと共演した『トゥナイト』や『愛の魔力』をよく聴いていました。
スピンオフ作品としてならば、よく出来ていた長編PVだと思いますが、お金を取って公開するには雑すぎるかなあというのが本音でした。
総合評価 60点
当時、高校生だったぼくはすぐに映画館まで観に行きました。すでに30年近くが経っています。『マッド・マックス2』でも触れた通り、もし第四弾を作るとすれば、メル・ギブソン演じるマックス・ロカタンスキーは謎のおじいさん役で、おそらく大抜擢されるであろう若手俳優が主演として成長し、活躍する過程での参謀役としての姿を描いていくのだろう。
『ベスト・キッド』のミヤギさんみたいな感じだろうか。こうすればさらに続編作りが容易になり、まるで『猿の惑星』のように延々と続く可能性も出てきます。
もともと一本ずつ見ていっても問題がないほど特に繋がっているストーリー展開ではありませんでしたので、シュワルツェネッガーの肉体美に依存していた『ターミネーター』のシリーズ後半ほどの違和感はないでしょう。
公開された当時に映画館まで観に行ってからはビデオとDVDで合わせても、二度しか見ていません。ティナ・ターナーや巨漢のマスター・ブラスターなど魅力的なキャラクターは配置されてはいますがどうもしっくりこない。
また前作『マッド・マックス2』で大活躍していたブルース・スペンス(ジャイロ・キャプテン)が違う役で再登場してしまっているのも乗り切れなくなってしまうポイントでした。いくらなんでも準主役クラスだった彼を同じような役で出すなんてありえません。
まるで『仁義なき戦い』で毎回死んでも次の作品で違う役名で出てきてしまう川谷拓三、梅宮辰夫、北大路欣也みたいでした。
マックスの髪形もいただけない。なんだろう。音楽室の作曲家の肖像をかなり汚くした感じの櫛が通らなさそうな不潔感とキダタローみたいなヘアスタイルはなんとも言えない。あちこちに違和感があるからかどうも画面に集中できない。今までのマックスのような吸引力がない。
その理由はなんだろうか。V8インターセプターが出てこない、つまりクルマが疾走するのが大きな魅力だったはずのマッド・マックスがその勢いを完全に失ってしまったのがこの『マッド・マックス/サンダー・ドーム』なのでしょう。
レールの上を走る汽車が爆走している横で棒にぶら下がった敵役が障害物を避けるシーンが笑いを誘ってはいましたが、本筋とは関係ありませんし、全体を通しても、あまり印象がない。
一応は砂漠を爆走するバギーのカーチェイスがあるにはありますが、それまでの二作のチェイスが素晴らしかったこともあり、ただただ残念な作品に成り下がってしまいました。
そもそもタイトルには“サンダー・ドーム”がしっかりと入っているので、このコロシアム施設が大きなカギを握るのだろうと考えるのが一般映画ファンの心理でしょう。
しかしサンダー・ドームは作品の象徴なのかと思っていたのですが、前半に出てきて以降はまったく登場せず、最終的には砂漠のバギーしか記憶に残らない。
物語の構成として最後にサンダー・ドームでの一戦を持ってこなかったために視点がボヤけてしまい、作品全体のクオリティーをも暴落させてしまいました。もしかするとこの作品が酷過ぎたために四作目がいまだに世に出ていないのかもしれない。
デジャヴのような感覚を思い起こす映像が多く、サンダー・ドームでの戦いを取り巻くオーディエンスは『スターウォーズ ジェダイの復讐』でのルークとジャバが飼っている怪物との戦いを見ているような気分になりました。
砂漠に墜落した飛行機に子供たちが乗っている映像は『風の谷のナウシカ』、豚の排泄物のタンクに落とされた敵役が浮かび上がってくるシーンは『地獄の黙示録』のウィラードみたいでした。
コメディのつもりだったのかこちらが勝手に想像しただけなのかは分かりませんが、コメディ色が妙に鼻につく映像の作り方でした。
映像として覚えているのは飛べない飛行機に乗る子供たち、傷ついたマックスにティナ・ターナーが語りかけるラストくらいです。マックス・ロカタンスキーの最期が描かれる日は来るのだろうか。
なんだかんだいっても一番目立っていたのは『プライヴェート・ダンサー』で大復活した直後のティナ・ターナー姐さんで、悪だくみをしていたのは彼女でしたし、ブラスターを殺すためにマックスをけしかけたのも彼女でしたし、暗殺したのも彼女の手下ですし、主題歌を歌っていたのも彼女でした。
彼女の声って、ハスキーで魅力的で、このころの曲でデヴィッド・ボウイと共演した『トゥナイト』や『愛の魔力』をよく聴いていました。
スピンオフ作品としてならば、よく出来ていた長編PVだと思いますが、お金を取って公開するには雑すぎるかなあというのが本音でした。
総合評価 60点
この記事へのコメント
TV放映時にはとりたてて録画もせず,またDVDソフトも購入しておりません。
音楽は1作目や2作目のブライアン・メイが亡くなったこともあり『アラビアのロレンス』や『ファイヤーフォックス』のモーリス・ジャールが担当。こどもたちのシーンにキレイな音楽を付けてくれましたが,音楽担当者が代わると雰囲気も変わってしまいイササカ残念。
ところで第4作目ですが撮影のやり直しがあるとのことです。
http://www.vogue.co.jp/lifestyle/celebnews/2013-09/05/tom-hardy
ついでにゲームの予告篇をどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=88UMymRtrYM
というわけで,ファンとしてはゆっくりと待つことになりそうですネ。
この作品に関しては思い入れがあまりないというのがマックス・ファンの大多数の意見でしょうね。
ちょっとずつすべてがずれてしまっている感じです。スピンオフとしてなら受け入れられるのでしょうが、ずっと好きだったファンからすると違和感が感情を覆い尽くします。
>第4作目
進んではいるのですね。のんびり待ちましょう!
ではまた!
>レイトショー
羨ましいなあ。楽しいでしょうねww
>イモータン
トーカッターと同一人物ですね。ぼくらがマックスの格好をしたつもりでも、たぶんみんなは「あっ!ケンシロウだあ!」と勘違いされそうですねww
ではまた!
三作目はどうしてもやりたかったことが出尽くした後で製作されたり、一部出演者が出ていなかったりとマイナスのものが多くなってしまいますが、ちょこちょこ見どころはありますね。
>人間性
マックスは息子を事故で失っていますので、無垢な目を見ると理性ではなく情で動いてしまうのでしょう。
>パクって
マックス亜流映画は多いでしょうが、それだけ圧倒的に当時の子供だった次世代クリエーター予備軍に大きな影響を与えたということなのでしょうね。
ではまた!