『バリゾーゴン(罵詈雑言)』(1996)「金返せ!」コールが各地で起こった問題作!

 数ある渡邊文樹監督作品中でも、タイトルからして強烈なインパクトを持っているのがこの『バリゾーゴン』です。VHS時代にはウチの近所のレンタル屋さんにもあったような記憶がありますが、はっきりと覚えてはいません。

 この映画で覚えているのは内容よりも近所のそこら中の電信柱にベタベタと貼り付けられたポスターでした。「失神者、続出!」のような言葉が殴り書きされていた下品なポスターは悪趣味極まりなく、上映後もほったらかしで何ヶ月も貼られたままクシャクシャになっていき、最後は自治会の人がブツブツ言いながら剥がすのが常でした。

 このような街の景観を汚すようなやり方は不愉快でした。現在の感覚では隠蔽するのが当たり前のようになっている見せ物小屋的なやり方をあえて用いて、集められるだけの無知な群集を公民館に引き入れ、ポスターで煽り立てた内容とは程遠い作品を上映する。

 酸いも甘いも経験した昔の人と違い、騙される方が悪いという世界的な常識が欠如している若い人たちは公民館でクレーマーになり、騒ぎ立てる者もいるようです。騙されたことも含めて楽しめばよいのではないでしょうか。

 さて、この映画『バリゾーゴン(罵詈雑言)』ですが、視聴が難しい作品ですので、出来るだけ詳しく書かねばならないのかもしれません。ただ渡邊文樹監督作品はほとんどが自主制作であり、メジャーで流通していたのは『家庭教師』『島国根性』の二作品くらいで、TSUTAYAでレンタルしていたお店もありましたが、渡邊サイドに無許可でレンタルしていたために裁判沙汰になっています。

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 当然のようにメジャーでDVD化はされていません。現在ではこの『バリゾーゴン』だけでなく、『ザザンボ』『腹腹時計』『御巣鷹山』などを見ることはかなり難しい。公民館などで上映するおりの直売コーナーで購入するか、ヤフオクで気長に待つしかない。まあそこまでして手に入れたとしても、僕らが見るのは傑作映画ではなく、あちこち意味不明なシーンが頻出するマニアックな作品である。

 見るまでの敷居が異常に高い割には見終わった満足感の少ないのが不快に感じるかもしれません。罵詈雑言を浴びる作品、それが『バリゾーゴン』だと割り切りましょう。

<以下はストーリーを含めた内容となります。視聴が難しい作品なのですが、自分で探し出すという猛者はご注意ください。>

 原発のみが産業となる、とある田舎の村で、賄賂である現金が飛び交う村を真っ二つにする選挙が終わったあと、片側の陣営で会計の手伝いをしていた地元の青年が腐乱死体として、小学校の女教師宅の便槽から発見される。

 当初は覗き目的で入り込んだ青年が引き起こした変態的な事件に事故が重なった結果、起こってしまった不幸な事案として処理されたが、死因等を不審に思った家族が渡邊を頼り、口の重い関係者たちから話しを聞いていくうちに不審な点を検証していき、取材と再現ドラマを用いて、徐々に事件の核心に迫っていくという内容です。

 真相を究明していく段階で村社会、自民党の大物政治家(見た目や役職は渡辺ミッチーを臭わす。)を含めた中央政界をも巻き込むほどの原発が村にもたらす利権と閉鎖性、警察の隠蔽体質、青年団の中での嫉妬、女教師のモラルの欠如などが積み重なった挙げ句が一人の青年の悲惨な死に様となる。それらを辛抱強く洗い出し、時に暴き出し、真相を突き詰めていく。

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 しかし閉鎖的な環境にいる村人への取材はすんなりとはいかず、カメラを使っての脅し透かしを交えながら目的を遂行していく。渡邊は思い込みが激しく、また独善的でもあるために果たしてどちらが真相なのかは計り知れない。

 ただ真実を探し求めていくという姿勢と官憲であろうとも追求の手を緩めない真剣さは見習うべきであろう。この映画はほとんど観られていないため、スキャンダラスな側面でしか語られないのが残念なのですが、そうなってしまった原因は渡邊サイドにもある。

 ポスターの宣伝にある一文「原発のある村女教員は便槽の若い青年の腐乱死体を愛していた…」これを見れば、ほとんどの人はこの映画はホラー映画だと勘違いするでしょうし、僕もこれを実際に見るまではそういう類のものであろうと思っていました。このポスターやおどろおどろしい殴り書きさえなければ、もっと正当に評価されていたのではないだろうか。

 ただ怪しげな映画ではありません。売り方に問題があっただけなのです。反体制的でセンセーショナルな題材を映画化しようとするために起こる、避けられないトラブルが常に付きまとうのが渡邊文樹という監督なのでしょうか。この後も『腹腹時計』『御巣鷹山』『天皇伝説』と数々の問題作を発表し、右翼団体などとの揉めているようです。『松川事件』という作品を2008年に制作するかどうかというところまでは知っていましたが、その後、この作品が制作されたのかどうかは知りません。

 僕自身が現在所有しているのは『家庭教師』『島国根性』『バリゾーゴン』『腹腹時計』『御巣鷹山』の五本です。見たいと思っているのは『ノモンハン』『天皇伝説』『狙撃者』となります。まあ、なかなか難しいでしょうねえ。

総合評価 65点



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この記事へのコメント

rinrin
2012年07月10日 19:36
最近原発がらみなのかまた上映会をやるのかな?
最近近所でワタナベ作品のいくつかのポスターを見かけるので、上映会があるのかもしれません。
(車窓から見ているだけで、立ち止まってまではチェックしていないのですが、福島県郡山市でちょこちょこ見ます)
2012年07月10日 20:04
 こんばんは!
>上映会
そうなんですか?いいなあ。

 楽しい作品ではないでしょうが、メジャーの枠からはみ出してしまう彼の作品群は一見の価値はあると思います。『ザザンボ』『バリゾーゴン』などは話しの種にもなるかもしれませんね。

 まあ、作品そのものよりも町にベタベタ貼られていくあの俗悪なポスターこそ最大の見せ物なのかもしれませんが(笑)

 ではまた!
2013年07月15日 14:53
よく考えて欲しい
このポスターは全国各地の街中に貼られていた
人の手によってだ
その人件費はどこから出ているのか・・・
とてもこの映画の上映料金でまかなえるとは思えない
そこが1番怖ろしい
2013年07月18日 18:47
 >人の手
たしかに。お金関係って、どうなっているんでしょうか?
製作サイドは数年前にも新聞沙汰になるほど、常に金欠状態みたいですしね。
vesp
2013年10月15日 11:37
十数年前にポスターに騙されて観に行きました。
期待はずれで落胆した事ばかりで映画の内容は
全く覚えていませんが、後で冷静になってみると
独特のパワーがあった作品のような気がして
ずっと心の片隅に残っていました。
そこで、レビューなどが無いかさがしているうちにここに
たどりつきました。

当時、上映後に騒ぎが起き観客同士(否定派と擁護派)で揉めていた事を覚えています。
一度フラットな状態で観たらどのように感じるのか非常に興味深く、機会があればもう一度観てみたい作品です。
2013年10月16日 12:41
 こんにちは。

渡邊監督作品は独特の感性(思い込み?)の発露のようなものばかりで、訳がわからないと思う方も多いでしょうが、それでも根底には力強い意志を感じるのではないでしょうか。

こういう作品群だけで名画座かどこかで映画祭でもやってくれれば、ぜひ観に行きたいですね。物好きが集まるのですから乱闘騒ぎはたぶん起こらないでしょうが、作品によっては恐い人たちが上映阻止しそうですね。

ではまた!

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