『真・映画検定』 本来ならば、こういう問題にして欲しかった一級試験。

 先週の寒い日曜日に行われた第二回映画検定試験。各所の意見を参考にし、そして自分が行った関西の会場を見るにつけ、気になったことを書いていきます。

 まずは明らかに今回の試験受験者が前回より少ないということです。これは致命的である。まだ第二回目であるにもかかわらず、このザマはいったいなんなのだろうか。マスコミへの露出が少なすぎたのが敗因に挙げられよう。

 TVタレントらが何人も挑戦した前回とは異なり、話題づくりに完全に失敗した印象が強い。他人任せでは盛り上がりようが無い。マスコミのくせにマスコミが使えないなんて、いかにキネ旬の体質が古いままなのかを証明しているようなものです。

 国内の映画館すべてにチラシを貼っておくとか、パンフに添えてもらうとかアピールが全く無い。有名人をだしに使うでもなく、権威ある執筆者たちが受けたなどということもない。

 東京会場にジャニーズ所属のタレントが受けに行くとか、大阪会場に吉本と松竹の芸人が受けに行くとか仕込みを仕掛ける才覚もない。イヴェントなんだから盛り上げてこそではないか。エンターテインメントと芸術の融合した大衆芸術が映画なのですから、面白い部分と真面目な部分を同居させるべきなのです。

 現役の映画監督たちに特別参加してもらうとか(落ちたらカッコ悪いが、それだからといって、作品の価値が下がるわけではないし)、日頃言いたい放題言っている評論家連中、とりわけ訳のわからない言葉を使う連中に受けさせるとかして欲しかった。

 ミスはまだまだ沢山あります。とりわけ重大なのはお金を取ってから、一ヶ月以上も浪費した挙句、会場が未定というのはなんなのだろう。会場などはまず最初に押さえるべきであろう。開催地を確認して、はじめて受けるかどうかを決めるのが当たり前ではないか。

 12月という社会人にとってもっとも忙しい時分に試験を実施するというのもセンスを疑う。学生だって、卒論準備、後期試験前の準備など慌ただしいのが師走なのです。いかに一般社会とかけ離れているかを猛省すべきである。受験したくても、忙しくて受験できなかったという人は大勢いたのではないか。おっちゃん連中、おばちゃん連中がかなり少なかったのは偶然ではないような気がします。

 次にキネ旬が犯した失敗が問題そのものでした。曲がりなりにも一級を名乗るのですから、設問もしっかりしたものを用意するべきでしょう。漢字テストや100字文を書かせて、一体映画の何が分かるのだというのだ?

 また若い人にはクラシックを見てくるほどの映画に浸りきった時間がまず足りない。運転距離と同じようなもので、熟練ファンになるにはそれ相応の数量を見てくる必要があります。また年をとり過ぎると価値観が固定し、好みも決まってくるので、決まったジャンルしか見なくなってしまう。これではせっかくの知識の幅が狭くなってしまうだけです。

 個人的に期待していた一級問題は500字以内で「映画と私」「邦画の現状について」「ハリウッド映画の現状について」「娯楽と芸術」「映画の未来」などの6つくらいのテーマから3つを選んで記述せよ。などの本格的な問題を期待していました。

 見事にすかされました。試験時間が二時間でも良いではないか。その答案の中からキネ旬がこれはと思うものを掲載すれば良いではないか。これだけでキネ旬からすれば、十分に元が取れるはずです。十名近くライターを手に出来れば、誌面に新風が吹き、新しい読者層が出来るかもしれません。

 で、これを読まれている方々にお願いです。是非これらについて500字以内で書いていただけませんか。これらの問題はどれも映画にたいしてのそれぞれ一映画ファンとしてのかかわりと問題意識がはっきりと出てくる問題なのです。

 これらを熱く語るのが検定のあるべき姿でしょう。人材発掘が目的なのだったらやるべきなのです。マークシートや漢字テストでは、検定に参加していない真の猛者たちの心を揺さぶることなどかなわない。

  そこで出てくるのが上記の筆記問題です。目に留まった方は是非各テーマについて書いてみてください。

 映画を良くしていくには映画ファンが動かねばならない。動いてください。映画はどんどん悪い方向に向かっています。人間を描いていない映画が多すぎるのを危惧しております。このままではいずれ廃れていきます。

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この記事へのコメント

MANGA
2006年12月07日 17:26
トラバさせていただきました。私も今回受験者数が減っているのにびっくりしました。申込書が紀伊国屋書店とジュンク堂にしか置いていないのはおかしいですよね。シネコンのスタッフが映画検定の存在を知らないというのも困ったものです。せめてシネコンで申込書を配布して合格証を持ってシネコンの窓口へ行ったらいつでもどの作品も1000円で見られるという「映画検定割引」なるものを創設してほしいというのが私の希望です。一応、この要望は出しており、来年夫婦50割引が終了した後にこれを採用するかどうかは検討するという話でした。
2006年12月07日 22:51
 MANGAさん、はじめまして。コメントとTBを有り難うございました。福岡ならばアクセスの容易さからすれば、福大七隈でやればみんなが楽に受験できたでしょうにね。八幡は遠いし、地理も分からないし、行くこと事態が億劫になってしまいますね。
 また今回に関してはアピールがなさすぎたのを実感する光景が各所に見られたようです。まったく話題にもならなかったのは主催者側の致命的なミスですよ。
 映画館でもブログでもほとんど話題にすらならない現状からすると三回目があるかどうかは疑わしいですね。
 むしろジャンルを特化して「SF映画検定」「韓流華流映画検定」「アニメ映画検定」そして今回のような「総合映画検定」のように手を変え、品を変えやっていかないとすぐにネタが尽きてきます。
 実利(合格者側)と損失(劇場側)を伴う割引制導入にはいろいろ問題があるので難しいと思います。まあ取得人口が少ない現状では500円引きくらいしてもビクともしないとは思いますが。
 ではまた。
トム(Tom5k)
2006年12月08日 00:12
用心棒さん、こんばんは。
>「映画と私」「邦画の現状について」「ハリウッド映画の現状について」「娯楽と芸術」「映画の未来」
う~ん、素晴らしいテーマだ。500字などと限定せず、自由な字数でも良いのではないでしょうか?
ドキュメンタリーや映画音楽についての問題もあるといいですよね。
いずれにしても、映画を暗記科目としては本末転倒、目的は映画の再生であるべきでしょうね。
では、また。
2006年12月08日 01:09
 トムさん、こんばんは。映画というものは7つ目の芸術なのですから最低でも7つの視点から述べるという選択肢があります。
 宣伝が絡む現状ではより複雑なビジネスになってしまった映画を多くの視点で語ることも可能になっています。それなのにいつまでもストーリーや俳優だけに特化した文章ばかりを見るのは辛い。
>映画を暗記科目としては
 そうなんですよ。二級までの試験に関しては共通一次試験のように「振るい」でも良いとは思うのですが、一級を検定する試験が漢字テストと基礎用語の説明というのにはがっかりしました。まあ結果が出ていないので、落ちていたらカッコ悪いのですが、正直あんな問題ならば、もう受けるつもりはないですね。
 ただ試験も受けずにグダグダ批判するのは性に合わないので、そしてどうせお祭りならば参加した方が楽しめるので、受けた当事者としての語り口を持つためにも前回、今回はキネ旬の策に敢えてはまりました。
 
2006年12月08日 01:26
 一級や二度目の二級を受けた方と試験の終わった道すがら話していたのですが、受験人数の激減にはみな一様に心配していました。
 また検定に対しては「そんなのが何の得になるんだ?キネ旬に金儲けさせるだけだ!」などという批判が2ちゃん等に出ていますが、得など考えてもいませんし、キネ旬の金儲けなんて最初から分かっていることです。
 分かっていて、それでも熱心に受けているのに、このような現世利益?のみで批判する人にはどう言ってよいものやらでした。
 試験内容については、一級問題はもしライターを発掘したいのならば、試験会場で一本映画を上映し、それについての小論文を書くという形式しかないと思います。
 キネ旬がそれ(ライター発掘)すら考えず、ただ安易に映画のPR感覚ぐらいの気持ちで実施していたのならば、あの雑誌も終わりでしょう。というかそういった臭いを強く嗅いだような第二回でした。
 ただスタッフの方々は今回は良い方ばかりでしたよ。ではまた。
トム(Tom5k)
2006年12月08日 22:39
用心棒さん
>7つ目の芸術なのですから最低でも7つの視点から
おお、さすが用心棒さん、思わず納得ですなあ。まさに映画は総合芸術です。むろん、娯楽性も第二の視点で重要です。
安価にDVDやビデオが手に入る時代、無意識に映画ファンのレベルが上がっている時代と期待はしています。
それにしても、隅から隅まで商業ベース、矛盾を感じますねえ。
しかし、たしかに受検者の方々の純粋な映画嗜好は、わたしも信じることができますし、一級問題が暗記科目であっても合格(受検)された方達は、そうとう映画意識も高い方達なのでしょうね。そういう意味では、これにも期待してしまう。
結果的にはキネ旬は、良い機会を与えてくれているようにも思います。
では、また。


2006年12月08日 23:25
 トムさん、こんばんは。
>キネ旬は、良い機会を与えてくれて
 そう思いますね。話題つくりには失敗しましたが、何かを変えていくきっかけになったのではないでしょうか。実際、前回、今回と検定のある日の一ヶ月前から当日にかけては僕の過去記事でも検定に関係してくるような記事、たとえば『月世界旅行』『シネマトグラフ』『大列車強盗』や黒澤明、溝口健二、小津安二郎の日本三大巨匠作品をはじめ古い映画の記事のヒット数が異常に増えていたりしました。見たくても見れない映画を検索される方が来ていらしたようです。
 僕自身も映画史を再び勉強するためにさまざまな映画研究書や撮影テクニックの専門書などを読み返したりしました。忘れていたものを再び思い出しましたので、それが記事に少しずつは反映されていくのかもしれません。
>安価にDVDやビデオが手に入る時代
これって、凄いことですよね。500円とかで『市民ケーン』『ローマの休日』『キングコング』のDVDが手に入るんですものね。レンタルするよりお得です。この豊かな状況のなかから未来の巨匠が出てきて欲しいですね。
 ではまた。 
トム(Tom5k)
2006年12月09日 00:25
用心棒さん
>映画史を再び勉強するためにさまざまな映画研究書や撮影テクニックの専門書など

具体的には、どうのような本を読まれているのですか?
わたしの場合は、ブログのタグ「参考文献「愛読し、参考にしている文献」」の項のところがほとんどですが・・・。
全然、勉強不足です。
現在、ベラ・バラージュの『映画の理論』とルイ・ノゲイラの『サムライ ジャン・ピエール・メルヴィルの映画人生』を読んでいます。若い頃と違って、なかなか読了できませんよ。
>古い映画の記事のヒット数
喜ばしいことですよね。
考えてみれば、こちらに初めてお邪魔したのは「ゴダールの映画史」でしたっけ。
>この豊かな状況のなかから未来の巨匠・・・
全くおっしゃるとおりです。
では、また。
2006年12月09日 01:18
 トムさん、こんばんは。
 七月以降に読んだ(または読み返した)のは映検テキスト、ダニエル・ダリホン『映画の文法』、フェリーニ『私は映画だ』、井上一馬『アメリカ映画の大教科書(上下)』、依田義賢『溝口健二の人と芸術』、ロベール・ブレッソン『シネマトグラフ覚書』、ヒッチコックとトリュフォー『映画術』、フィルムアート社から出ている『ヴィスコンティ集成』『トリュフォーの映画術』などです。
 何冊か読みましたが、技法の本は何度読んでも難しいです。カメラを触りながら、ポジションを移動しながらどう見えるかをネガでチェックするなどというのは素人には出来ませんので、限界があります。しかしそういったことも勉強しておかないと作り手の苦労も分かりませんから目を通すようにしています。
 また映画だけに関わっているわけにはいきませんので、少ない時間をやりくりしながら勉強する形になりました。
 まあ勉強とは言っても、趣味の分野なので苦しいとも思いませんでした。映画検定がなければ、これだけ一気に読めたかといわれれば、「否」ですのでそう思えば、これもまた有意義だったといえます。ではまた。

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