『トリック 劇場版2』(2006)三十代以上と仲間由紀恵ファン限定映画か?

 仲間由紀恵ファン及び大ヒットTVドラマ『トリック』ファン待望の劇場版第二作目にしてドラマ完結編としての性格を持って製作されたのが『トリック 劇場版2』です。TVドラマシリーズは好評のため第三シリーズまで製作され、途中で2時間スペシャルや劇場版第一弾などを挿みこんでいました。

 そうこうするうちに主演を務めた仲間由紀恵が『ごくせん』などで大人気になってしまい、なかなか続編の製作が難しくなっていた関係上、ようやくといって良いくらいの時間が経ってついに完成したのがこの作品です。

 ドラマ中に出てくるヅラ刑事のサブキャラである矢部謙三(生瀬勝久)が何故か人気になり、PR用に彼をフューチャーした短編がツタヤに並ぶなどテレビ朝日はたいそう力を入れているようでした。その割りには今回の劇場版では彼の出番が少なすぎることと仲間&阿部寛の主役二人との共演がまったくなかったのは残念でした。

 スケジュールが合わなかったのでしょうが、『ごくせん』でも共演していた生瀬勝久と仲間由紀恵との共演が見れるのはもはや武田製薬の『ベンザブロック』のCMしかないのは残念な状況です。

 今回の劇場版では「二時間ドラマの女王」片平なぎさを敵役に起用している時点で危険な香りがしてきます。それは物語が危険なのではなく、二時間後を予測できるという意味です。つまり、ただの二時間物のテレビドラマをわざわざお金を払って、大スクリーンで観ることになった観客たちはたいそうズッコケたのではないだろうか。

 小ネタワールドをどうせやるならば、洒落の感覚で、同じ「2時間ドラマの王様」である船越英一郎もなぎさの夫役とかで使ってくれた方が「トリックワールド」がより充実したのではないだろうか。彼もスケジュールが合わなかったのでしょうか。

 なにはともあれ、とうとう製作されたトリック最終話。土曜ワイド劇場を意識したような冒頭での自然照明の暗さ、室内では誰も死なせない土曜ワイド的展開には笑わされる。ただあまりにもコネタを入れすぎているのには閉口させられる。

 面白いのだが、しつこすぎる。しかもそれを理解できるのは最低でも三十代前半、最高でも四十代中盤までという狭すぎるターゲットにはどうかとも思う。せっかく「超人気マジシャン」ではなく、「超人気女優」仲間由紀恵をフューチャー出来たのになにかもったいなさを感じる。

 今となっては天下の若手「超人気女優」仲間由紀恵を貧乳呼ばわり出来るのも堤幸彦監督くらいだろう。ケイゾクで中谷美紀、トリックで仲間由紀恵とセクハラネタでおおいに笑わせてくれた堤監督でしたが、また新しい女優を探さねばなりません。

 構図には堤監督らしい図形イメージや遠近感を意図的に使って、出来上がりのバランスをあえて崩していく映像感覚を楽しめるが、観やすさを優先したためかカメラワークも大分抑え気味にされていたのが少々不満に感じます。

 大衆受けを狙ったのか会社の意向なのかは分かりませんが、この作品を劇場まで行って観るのはマニア層と仲間ファンが多いでしょうから、徹底したカメラ遊びをして欲しかった気持ちはあります。

 彼本来の持ち味であるカメラワークを上手く使った不安感を煽ったり、平衡感覚を麻痺させる動きの演出を大スクリーンで観ると酔う人が出てくる可能性もあるので、そういった判断があったのかもしれません。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を劇場で観た人は結構気持ち悪くなったでしょうから、同じように感覚を揺さぶってくるカメラワークをされると同じことが起こりえる。

<あとはひたすら小ネタ祭りです!>
 スチュワーデス物語、土曜ワイド劇場、吉幾三ヒットパレード(『オレは田舎のプレスリー』『おら東京さ、いぐだ』『雪国』『酒よ』)、ゆーとぴあ(「よろしくね」&ゴムぱっちん なつかしすぎて最高!!!)、大仁田のファイアー!(FMWかよ!)、島田洋七、ミスター梅助、猿岩石・有田、ばってん荒川(亡くなりましたね。)、ミスター・オクレのポスター、『千と千尋の神隠し』、マギー司朗、貧乳、『グラン・ブルー』、ブック・オフ、『東京ラブストーリー』(かんちを再び聞くとは!)、石井明美の『チャチャチャ』、KKK、「エヘヘヘへ」、アバートの取り壊し、『リング』の貞子(テレビシリーズで佐伯日菜子も起用されていた)、久米宏、『踊る大捜査線』、オスカー像のパロディ、『幸せの黄色いハンカチ』、『とっとこハム太郎』、『マトリックス』、『片腕カンフーと空飛ぶギロチン』、『あしたのジョー』、『スターウオーズ』、『蜘蛛の糸』、『クリフハンガー』、そして止めの「よっこいしょーいち!」……多すぎる。

 「トリック・ワールド」というよりも、「おやじギャグ」ワールドです。十代や二十代の観客は彼のセンスについていけたのだろうか?せっかく出ていた堀北真希がもったいないなあ。

総合評価 60点
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この記事へのコメント

オカピー
2007年11月22日 00:10
TB致しましたが、入っていますでしょうか。
最近どうも不調でしてね。

パロディーとしては数多く用いられた小ネタより、片平なぎさを起用して「土曜ワイド劇場」をパロディー化したところが面白く、崖の使い方なんかも笑わせますね。堀北真希の回想で全て解らせてしまうのも、まあ、狙いなんでしょうね。

小ネタの中に、お笑い関係はよく解りませんが、「仮面ライダー」(のショッカー)もあるように思いました。
2007年11月23日 00:25
 オカピーさん、こんばんは!
 悪乗りしすぎて、コケてしまった印象が強いのがこの作品でした。
 堤監督最新作の『自虐の詩』はまだ観ておりませんが、悪乗り路線からの脱却が必要な気がしております。

 >ショッカー
仮面ライダー、ウルトラマン、ゴジラ、ガメラで育った世代としては懐かしさもあるのですが、いまだに上記のキャラクターを21世紀になってもまだ再生産し続けるのは見苦しいですね。ではまた!
猫姫少佐現品限り
2007年11月23日 17:57
こんばんわ!いつもありがとうございます!
あたしはただ1点、ゆーとぴあ、です、、、
この人達のコント見て、笑った記憶がない、、、
当然、この人達が出ている映画は、おもしろくない。
ということでした、、チャンチャン!
2007年11月24日 16:34
 ひめさま、こんばんは!
 なぜにこれほど笑えないのか!っていう感じしかない関東系お笑いには良い思い出があまりないですよ。
 コント山口君と竹田君、コント・レオナルド、セントルイスからはじまり、最近の若手関東芸人を見ても、あまりのつまらなさにチャンネルを替えてしまいます。
 ではまた!

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