『ローマの休日』(1953)オードリーって、なんでこんなに可愛いのだろう。

 ウィリアム・ワイラー監督、1953年度製作作品というよりは、時代を超えて人気のある女優
、オードリー・ヘップバーンの大ブレイク作品といったほうが、わかりやすいですね。題名だけでも聞いたことのある人も含め、これを知らない人がわが国に存在するのでしょうか。

 ハリウッド映画の、もっとも華やかかりし頃の、主役を張れる女優の魅力が、どれだけ凄味を持っていたかを実感できる作品です。銀幕の魅力を、最も楽しめるモノクロ映画のなんたるかを理解するには最適の作品です。
  
 で、『ローマの休日』ですが、これの主演はあくまでもグレゴリー・ペックのようで、オープニングでのクレジットも彼が最初なのですが、どうしてもオードリーの主演作というイメージで見てし
まっていて、グレゴリーは助演の印象がとても強い作品です。

 オードリーはいったい何故、こんなに魅力的なのでしょう。そのほかの作品で見る彼女には、『マイ・フェア・レディ』、『ティファニーで朝食を』、『シャレード』などいろいろとあるのですが、はっきり言ってそれほど魅力は感じないのです。

 しかし、この作品だけは、はじめてみた時のテレビ放送、大学生の頃に見たレンタル・ビデオ、そして勤めだしてから買ったDVDと様々に媒体は変わり、何十年も時間が経っても、常にその新鮮さと魅力が衰えることなく、むしろ見れば見るほどに輝きが増してくる素晴らしい作品です。

 このころの女優さんというと彼女、グレース・ケリー、マリリン・モンロー、そしてちょっと古いがマレーネ・ディートリッヒでしょうが、いまなお熱狂的なファンがついています。今の女優さんで、五十年経ってから残っていると思える人は残念ながら思い浮かびません。

 ストーリー自体は、夢の溢れるロマンチックなもので、ファンタジーというか、ディズニー作品のような雰囲気を持っています。このへんも長く愛され続けている理由かもしれません。ファッションや髪型も含めて、最先端のものをさりげなく取り入れて、作品をより分厚いものにしていく製作姿勢には、彼らの映画への誇りを感じます。

 この映画は、ただオードリーの可愛らしさと魅力だけの作品ではなく、モノクロ・フィルムの良さを最大限に出している奥行きのある照明、テンポが良く、リズム感のある編集、ネオレアリズモのようなドキュメンタリー・タッチな撮影方法とハリウッド・スタイルをミックスした斬新な編集、現実音を含めたサウンドが醸し出すリアリティーなど、ウィリアム・ワイラー監督の演出的な冴えが素晴らしい。

 また彼女を支えるグレゴリー・ペックなどの役者達、そして何よりもローマの街並みが持っている歴史の重みと温暖な気候が住民に与える開放感など、すべての要素が彼女の良さをすべて、ぎゅっと凝縮して、フィルムに詰め込んだような、不思議な生き物として存在しています。
 
  ウィリアム・ワイラー監督の意図は、まさに彼女の魅力を出し切るための映画製作であり、それは見事に成功しました。この作品の彼女は、役柄の通りで、真の「王女」なのでした。これからも何度でも、見ていきたい作品のひとつです。

総合評価 95点
ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (通常版)
ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (通常版) [DVD]

この記事へのコメント

さすらいの映画人
2017年07月27日 20:01
用心棒さんこんばんは。この映画は誰もが知ってる?名作ですよね。中には古い映画やモノクロ映画は嫌という人もいますが・・・特に若い人は古い映画も見てもらいたいです!僕もテレビで旧作をたくさん見て育ちましたから(映画ファンとして育ったということ)。さて、この映画、有名な作品なのに音楽やテーマ曲は有名じゃありませんね。作品よりも主題歌やテーマ曲が有名な作品もたくさんありますが。
2017年07月27日 22:19
こんばんは!

知り合いの子供にウルトラQを見せた時に彼らは「白黒って、暗くて怖い!」と言われました。

カラーが当たり前なので、モノクロ映像に慣れていないということもあるのでしょうが、けっこう嫌がりますよw

>テーマ曲
多いでしょうね。映画のテーマ曲だよと言っても、映画自体を知らないことがほとんどでしょう。酷いのはムーン・リバーと『ティファニーで朝食を』が結びつかないとかw

『史上最大の作戦』のテーマ曲は『ロンゲスト・デイ』。当時はこの曲もヒットしたようですが、今となっては音楽は陳腐に聴こえ、なんか映画のイメージしかないですよ。

ではまた!
ではまた!
蟷螂の斧
2019年06月25日 19:49
こんばんは。いつも丁寧なレスをありがとうございます

>オードリーはいったい何故、こんなに魅力的なのでしょう

僕が大好きな場面。花屋さんの場面です

>買ってきたシングル盤は必ずB面まで聴きましたよwww

地方FM放送で定期的にB面特集がありました。大好きでした

>アルバム全体でアーティストが表現しようとしている事を理解していないであろうコメントを残す“にわか”が増えてきている

それは悲しいです

>ヴォーカルの位置と自分がプレーする楽器との配置が被らないように

気配りが素晴らしいです

>ビートルズのサージェントやマジカルを例に出して話していました

やっぱりビートルズは偉大です
2019年06月25日 21:20
こんばんは!

>大好きな
キラキラしていて、ハリウッドって良いなあと世界中の人が憧れるタイプの映画ですね。

>B面
昔は引っくり返すワクワク感がありましたね。配信はどうも馴染めないですwww

>気配り
レコーディングは和の作業ですものね。どこを主張し、どこを引っ込めるかもあるかもしれませんね。そこにしゃしゃり出てくる洋子の異質の図太さに驚きます。

>偉大
先日もレコード屋さんでキャピトル盤を聴きながら、ああだこうだ言いながら、『レット・イット・ビー』の初期盤シングルを買いましたが、自宅でアルバム収録のテイクでのシンバルのエコーと音の拡散の違いなどに感心しながら聴いています。

ただアルバム『レット・イット・ビー』ではポールのベースが異常にしゃしゃり出てきますwww

ではまた!
蟷螂の斧
2019年06月29日 12:44
今日はビートルズ来日記念日です

>ポールのベースが異常にしゃしゃり出てきますwww

ジョージ作「Think for yourself」のファズのベースは如何ですか?

>そこにしゃしゃり出てくる洋子の異質の図太さ

バンガロウ・ビル・・・

>昔は引っくり返すワクワク感がありましたね。

南こうせつの「さびしい椅子」大好きです
2019年06月29日 23:57
こんばんは!

>来日
みすた~ああああ~むんらああい~♪
日本のファンにとっては『ロック・アンド・ロール・ミュージック』とともに『ビートルズ・フォー・セール』に入っている収録曲の中では特別でしょうね。

>ファズ
ポールは『ヘルプ!』のB面や『ラバーソウル』あたりから存在感が大きくなってきますし、自信を感じるようになります。

>バンガロウ
最悪ですよね。今でもあの人は嫌いですwww
でも『ウィー・アー・オール・ウォーター』と『平和を我らに』のB面『リメンバー・ラブ』はけっこう好きですwww

>こうせつ
『夢一夜』のシングル盤を持っていましたよ!

ではまた!
蟷螂の斧
2019年06月30日 13:33
今日はビートルズ武道館ライヴ初日

>みすた~ああああ~むんらああい~♪

脳みそがひっくり返りそうなショックを受けた(by評論家)

>『ウィー・アー・オール・ウォーター』

僕が意外に好きなのは「シスターズ・オー・シスターズ」かな?
「オー」は勘弁してくれー

>ポールは『ヘルプ!』のB面や『ラバーソウル』あたりから存在感が大きく

リーダー交替?というと怒るファンも多いです

>『夢一夜』

小林麻美が出たCM
2019年06月30日 14:02
こんにちは!

>ショック
僕が持っている海賊盤DVDにも空港から車列を走らせるバックに『ミスター・ムーンライト』が重なってきます。ゾクゾクしましたよwww

>オー
あのひと、変な声で叫ぶので本当に気持ち悪いwww
『ダブル・ファンタジー』や『ミルク&ハニー』でもそうですが、交互にジョンの曲とあのひとの曲が出てくるので、いっそダブルのジョンの曲とミルクのジョンの曲だけでアルバムを組み直して欲しいです。あのオバサンのヤツはCM扱いで飛ばしたいです!
>リーダー
交代というか、ジョンが徐々にフォームを崩していくのとポールが才能を爆発させていくのがグループの中期に訪れますね。グループ史の中では絶頂期が入れ替わる感じになるのが幸いしていったのではないでしょうか。

最後になって、ジョージもアルバム中のベスト2である『サムシング』『ヒア・カムズ・ザ・サン』を発表したのも新たな時代の幕開けだったのでしょう。

>小林
ちょうど今は雨ばかりでショパンの調べというよりはパンクロックのような喧しさです!

ではまた!

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