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zoom RSS 『Vision』(2018)美しい吉野の自然を取り入れたオカルト?

<<   作成日時 : 2018/06/08 19:16   >>

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 今週末から封切られる映画の中では話題性で言えば、是枝裕和監督のカンヌ国際映画祭で賞を取った『万引き家族』なのでしょうが、僕がまず選んだのは地元奈良出身の河P直美監督の新作『Vision』でした。

 自宅から行くと時間的にはそうは変わらない京都の劇場では本日、関係者(監督本人?)による舞台挨拶があるようですが、堅苦しいのは苦手なので奈良県内での鑑賞を選びました。

 珍しく、テレビ番組にも番宣で夏木マリと一緒に出演していたのには驚きましたが、けっこう楽しそうに出ていました。奈良ではあちこちの書店などにちょこちょこ来店したりしているので本人にとってはそれほど広報活動というのは苦痛ではないのかもしれない。

 ただ毎回のことながら、河P直美監督作品を見るときはストーリーなどは一切知らず、何も情報を入れずに来ています。大向こうを相手にしている映画ではないのに何故に番宣しているのでしょうか。

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 まあ、彼女の作品の場合はストーリーというのはあくまでもガイドラインでしかなく、見るべきなのは映像表現なので、今回もいつものように訳が分からなくなってきても別に驚きません。

 新作のタイトルは“Vision”です。これは日本語表記ではバ行なのか、それとも“ウ”に点々なのでア行なのか。あまり気にしたこともありませんでしたが、どうなのだろう。

 “ヴァ”とか“ヴォ”はいったい何行の分類なのだろう。“プ”ならハ行でしょうし、“ミ”ならマ行です。日本語的な読みならたぶんハ行分類なのでしょうが、どうもすっきりしない。内容の前に分類で悩むという初めての経験をしています。

 調べてみると日本語表記には“ヴァ行”は存在せず、大昔はワ行に分類されていたようですが、現在はポツンとあえて忘れ去られているようです。ややこしい表記はかなりあり、本来なら“ヴァンパイア”となるところが“バンパイア”だったり、“ヴェンチャーズ”がいまだに“ベンチャーズ”だったりする。

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 1960年代の英語が今よりも未知の言葉だった日本ではビーチ・ボーイズ、ビートルズと並び、ベンチャーズの三つを総称して“3B”と一括りにされていたようです。ベンチャーズは“V”だから違いますが、当時はお構いなしだったのでしょう。

 表記がぐらついている理由としてはもともと日本には“ヴァ”行に対応する音がなかったことが原因のようです。“L”と“R”の区別が日本語では難しいように外来語である“ヴァ”も袋小路に陥っているのでしょうか。

 となんだか映画のブログなのに国語的なお話から始まってしまいましたが、ふとした疑問を突き詰めていくと結構時間つぶしにはなります。

 この前もふと頭に浮かんだのは北極点から光速で移動した場合、時差はどれくらい発生するのだろうかとか、時間は歪むのだろうかとか閑人の発想が頭で巡ることがあります。

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 そんなことを考えながら、モールの中に出店している洋食屋さんでハンバーグを食べていました。始まるのは昼前からなのでゆっくりと食べながら、河P監督の新作に臨んでいます。

 舞台は地元奈良でも人里離れた秘境に入るであろう吉野です。近鉄吉野線に乗って、大好きなフランス人女優でもあるジュリエット・ビノシュが美波を引き連れて、吉野を訪れる様は新鮮です。

 僕ら地元民にとっての吉野方面はお花見の名所だったり、夏休みにのんびりと温泉に浸かりながら、命の洗濯をする場所、もしくはちょっと強い雨が降ると、すぐに電車がストップする災害に弱い場所のイメージがあります。

 さすがに舞台が吉野ということもあり、僕らにはホーム感が強く、20数名の初回上映を囲んだ観客はのんびりとスクリーンを眺めていました。

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 豊かな吉野の自然を堪能してもらいたい映画で、見ていると森の木々が風に揺れるときに出てくるこすれるような音に癒されていきます。

 いつもながらの自然光をふんだんに取り入れた映像表現に嬉しくなります。ただ自然の美しさに頼り過ぎているきらいは否定できない。

 一応付いているガイドラインが渋滞気味でさっき行方不明、もしくは亡くなったはずの夏木マリや岩田剛典(リンという役名でしたので、“林”だと思っていましたが、“鈴”でした)らの出演者が何食わぬ顔でまた出てきたり、猟銃で誤って射殺された人の顛末が放り出されたり、やたらとジュリエットが永瀬正敏とセックスする意味があまりよく分からない。

 中年同士が絡み合う様子を大画面で見せられても困ります。彼女の初期作品で『杣人物語』という作品がありますので、風に揺れる木々、逆光で捉える登場人物たちと並び、森の木を切って生計を立てて、山を守る人々を描くのは作品のモチーフというか、撮りたい対象なのかもしれない。

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 というか、「幸せは心の中にある」とか「17歳の時に巡り合いたかった」とかはたしか『杣人物語』でも語られていた覚えがあります。過去作をキャストを変えて昇華させようとしたのがこの『Vision』だったのかもしれません。

 ただ、日ごろストーリーなどのドラマ性に興味の大半が行くように仕向けられている観客にとっては理解が難しい作品であるのは間違いない。主演は前回に引き続き、永瀬正敏が孤独な中年男を演じています。

 次回は河P監督作品から出世した尾野真千子と永瀬正敏を並べて一本撮って欲しいなあと思いながら、劇場を後にしました。

 お話のカギとなるのは吉野の山奥に鎮座する神木であり、幻想なのか妄想なのかよく分からないオカルトホラーのような状況に観客は戸惑うでしょう。

総合評価 50点


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