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zoom RSS 『八月十五夜の茶屋』(1956)マーロン・ブランドが日本人役を務める怪しげなコメディ?

<<   作成日時 : 2016/10/21 22:00   >>

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 アメリカ映画ですので主演はグレン・フォード、脇役にマーロン・ブランドとくるのでイイ感じのB級映画なのかと思えば、それはじつは大間違いで、戦後すぐの沖縄に民主主義を広めようとやってきたグレン・フォード率いる米軍が通訳で日本人(!?)のマーロン・ブランドを使いながら、芸者の京マチ子や沖縄の現地人たちとの交流を描くという珍妙な設定の映画です。

 本当に出てくる日本人役の俳優陣には清川虹子、京マチ子、そしてわれら映画ファンの大師匠、淀川長治さんまでがいて、なんだか嬉しい。ただあまりにも被占領地の人々を差別的に扱うので、良い気持ちはしない。

 ずっと“八月十五日の茶屋”だと勘違いして覚えていましたが、じつは『八月十五夜の茶屋』というのが正式タイトルです。ただこれもおかしく、“十五夜”というのは9月に来るものなので、訳が分からないというのが正直な感想です。

この作品はビデオ時代にレンタルで並んだものの、現在は当然ながらビデオは廃盤扱いになっており、経年劣化とDVDへのソフトの変化の際にレンタルからも消えてしまい、その後はDVD化もされていません。

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 『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』などで世界的な超有名俳優になってしまったマーロン・ブランドや芸者役で出てくる京マチ子がリリースを嫌がっているのだろうかとか考える人もいるでしょうし、その方がお話としては面白いのですが、たぶん本当の理由は歴史的価値を除いてしまうとあまりにも退屈でつまらないからだというのが真相だろうか。

 マーロン・ブランドには大作に出ている名俳優の印象が強いが、じっさいには手当たり次第に作品を選ばずにさまざまなジャンル映画にも出演する職業俳優でした。

 そうでなければ『ドクター・モローの島』の劣悪なリメイク『DNA』、気味の悪い西部劇『ミズーリ・ブレイク』や性癖にクセのある『妖精たちの森』などに出演するとは思えない。

 今作品で彼が演じるのはなんとビックリの日本人通訳の役でしたが、かなり適当でカタコトの日本語フレーズをやっつけ仕事で乗りきっているだけでした。内容を見ていくと、沖縄の民謡などの文化と京都の芸者文化をごちゃまぜにしたようなかなり強引なコメディです。

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 それでも京マチ子はさすがの美しさとプライドで無理やりな設定を吹き飛ばしていきます。もうちょっと真面目な映画でも起用できなかったのだろうか。溝口健二作品『雨月物語』や小津安二郎作品『浮き草』にも出演していた彼女の持ち味を上手く引き出して欲しかったものです。

 カルチャーギャップを楽しむ上から目線は何だか嫌な感じで、日本語の会話での「はい。(いやです。)」が否定的な意味となり、「いいえ。(助かります。)」が肯定的な表現に使われることがカルシャー・ショックのひとつとして面白がっている場面も登場します。

 その他、芸者をお世話したりするのが当たり前のように行われたり、テレビや冷蔵庫、自家用車に囲まれているアメリカとは大違いで、粗末な掘っ立て小屋に住んでいて、粗末な着物を身に纏う文化的に遅れた沖縄の人々に民主主義を教えてやろうという占領軍丸出しの上から目線での語り口が鼻についてしまいます。

 実際に彼らが示すのは手前勝手な理屈を振り回し、偉いさんが来ると手のひらを返すように取り繕おうとする小役人のような占領軍の姿です。せっかく作った酒造設備も簡単に破壊し、破壊した後には議員が来るので事情が変わったからとなんとか取り繕えと命令する。

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 軍事同盟国であるはずのサウジアラビアやイスラエル、支援していたはずのグルジアやウクライナをすぐに自国の利益のために平気で見殺しにするご都合主義のアメリカの本性を見るようです。わが国もトランプだろうが、ヒラリーだろうが、軍事的に勢力を維持できるだけの抑止力を持つべきではないか。

 文化的なギャップを面白がりこそすれ、そういった異文化を尊重しようという感覚は見られない。また設定は占領後の沖縄での出来事という設定で、実際にかの地を支配していたのはアメリカ軍だったのでやる気があるならば、現地ロケも出来たであろうに京都と奈良、そしてハリウッドにわざわざセットを組んで撮影が行われたそうです。

 見ていたときに四方を海に囲まれた沖縄の島々の話なのに、カラッと晴れることもなく、綺麗な海も写らず、なんだかどんよりとした気候を訝しみながら見ていましたが、あとでロケ地は沖縄ではないと知り、納得がいきました。

 また台詞に子供が海を見たことないので途中で寄り道してほしいとか、訳が分からないところが出てきます。つまり、占領下の沖縄の実際の様子を描いたわけでもないのです。

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 もしこれが全編沖縄ロケが行われていたならば、かなり歴史的な価値が高まっていたはずなので、MGMの安易な製作姿勢が悔やまれます。お話もおふざけが過ぎるほどデタラメでマーロン・ブランドが出ている以外にはあまり見る価値はないのかもしれない。

 それでも大団円に向かうクライマックスでのモブ・シーンとミュージカル風な舞台装置は豪華で、さすがにMGMらしいなあという妙な感慨があります。

 なおチョイ役で在りし日の淀川長治先生が出てくるのが愛嬌ではありますが、彼はいったいどのような気持ちで出演し、どんな気分でこのふざけたコメディを眺めていたのだろうか。

 現在入手が難しいこの作品ですが、海外版DVDならば購入可能です。リージョンが違いますが、PC再生かフリフリでの視聴は可能だと思いますので、興味のある方はご覧ください。もしかすると動画サイトにアップされているかもしれませんので、“Teahouse of The August Moon”で検索をかけてみてください。

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総合評価 50点


The Teahouse Of The August Moon
Warner Brothers

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