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zoom RSS 『コックサッカー・ブルース』(1972)ストーンズが体現したセックス、ドラッグ&ロックンロール!

<<   作成日時 : 2014/02/16 02:28   >>

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 ずっと長い間、お蔵入りとなっていた1972年度製作のツアー・ドキュメンタリーが『コックサッカー・ブルース』です。コックサッカーとはフェラチオするヤツという意味であり、女性が男性に対してする行為というよりもホモ野郎という意味の方が強いし、より侮辱的でしょう。

 契約に不満を持っていたストーンズによる古巣デッカ・レコードや悪辣マネージャーのアラン・クラインへの嫌がらせの趣向という、このドキュメンタリー作品は映像及び内容に大きな問題があるために公式にはリリースされず、海賊版で出回ってしまいました。

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 断片は動画サイトでアップされていますが、約90分間に及ぶ上映時間をカバーする動画は確認した限りでは存在しませんでした。

 今回、オークションで落札したのは日本語字幕入りの完全版に近い収録時間で、オリジナルの93分間に限りなく近い。問題作『コックサッカー・ブルース』はマニアの間では有名ですが、一般的にはベスト盤にも収録されていないので知らない人も多いでしょう。80年代のデッカ・レコードの4枚組ベスト盤のおまけとしてこの曲のシングル盤が同封されていたそうです。

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 ローリング・ストーンズにはこの作品のほかにも、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、ミッチ・ミッチェル、キース・ムーンらと共演した『ロックンロール・サーカス』がずっと封印され続けていましたが、今では普通に販売されています。

 『ロックンロール・サーカス』については大昔、レコード時代には海賊盤レコードが並んでいたのを購入しましたので、内容を知っているため、DVDがリリースされた時にも特に欲しくもなく、「ああ、出たんだあ。」という程度の関心しかありませんでした。

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 なかなか来日しなかった、というか長年の薬物乱用がたたり、わが国にも80年代終わりまで入国が認められなかった彼らの動く様子を見るのは当時からのファンには難しく、ハル・アシュビーの『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』の公開時にはぼくらも観に行きました。

 そのときの宣伝文句も「ローリング・ストーンズのフィルム・コンサート!」という言われ方をしていました。ようやく来日したのはバブルの時代で、それからは数回来日していますが、旬のころに見れなかったのはファンとしては口惜しいのではないか。

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 『COCKSUCKER BLUES』

Well, I'm a lonesome schoolboy
And I just came into town
Yeah, I'm a lonesome schoolboy
And I just came into town
Well, I heard so much about London
I decided to check it out

Well, I wait in Leicester Square
With a come-hither look in my eye
Yeah, I'm leaning on Nelsons Column
But all I do is talk to the lime

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Oh, where can I get my cock sucked?
Where can I get my ass fucked?
I may have no money
But I know where to put it every time

Well, I asked a young policeman
If he'd only lock me up for the night
Well, I've had pigs in the farmyard
Some of them, some of them, they're alright
Well, he fucked me with his truncheon
And his helmet was way too tight

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Oh, where can I get my cock sucked?
Where can I get my ass fucked?
I ain't got no money
But I know where to put it every time

I'm a lonesome schoolboy

 


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 “ass fuck”“cock suck”やらの放送禁止用語が原因でデッカは結局、ストーンズ最後のシングルを発売できなかったようです。まずは収録曲を記載します。


『You Can't Always Get What You Want』 学生時代、この曲を歌っているミックはとてもカッコよく、いつかは実物を見たいなあと思っていましたが、いまだライヴには行けていません。

『Cocksucker Blues』 この映画のタイトル曲となった、お蔵入りナンバー。公式にはドイツのデッカ・レコードで4枚組ベストに入っている以外はブートでしか聴いたことがありませんでした。今回もブートには変わりないので、まだ気軽に楽しめる環境ではないですね。

 映画自体の中でまともに最後まで演奏されているものは皆無で、話題になったのも乱交シーンやキースがテレビをホテルの上層階から放り投げる(ちゃんと下に誰もいないのを確認している。)悪ふざけの奇行シーンなどでした。

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『Brown Sugar』 自身のレーベル第一弾『スティッキー・フィンガース』からのナンバー。ライヴでは盛り上がります。調子外れな感じがまた最高にカッコよく、臨場感が出ています。この作品中では比較的まともに演奏されています。しかし歌詞で「ヘロイン最高!なんてスゲエんだ!」は何度聴いてもまずいですね。

『Live With Me』 1969年発表の『レット・イット・ブリード』収録のナンバー。こういった渋い曲にこそストーンズらしさが溢れています。

『Midnight Rambler』 個人的に大好きな曲。ライヴ盤や海外からのライヴ・ビデオに必ず収録されていた曲で、はじめて聴いたときは長いなあと思いましたが、徐々に好きになり、いまでは最も好きなナンバーの一つになりました。ただし内容は夜中に暴れ回る強姦魔のお話です。歌詞にボストン絞殺魔も出てきます。

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『Love Me Tender』 言わずと知れたエルビス・プレスリーの名曲。もちろん歌っているのは別人。本人歌唱の素材を使うと使用料が高そうです。

『Uptight (Everything's Alright)』 スティーヴィー・ワンダーの曲ですね。盲目のスティーヴィーをピアノまで誘導するミックの様子が写っています。スティーヴィーという人はジョン・レノンの『ワン・トゥ・ワン・コンサート』にも出演していますし、ジョンとコラボした『平和を我等に』ではとてもファンキーなシャウトを聞かせてくれていて、主役のジョンを喰っていました。

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『(I Can't Get No) Satisfaction』 ストーンズのアイコン的ナンバー。おそらくグリマー・ツインズのふたりがブライアン・ジョーンズを必要としなくなったきっかけになったであろうナンバー。この作品ではスティーヴィー・ワンダーとのコラボでコーラスがとてもファンキーで、当然演奏もスティーヴィー寄りにファンキーです。

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『Happy』 キース・リチャーズの代表曲。個人的には『Little T&A』や『Wanna Hold You』も大好きです。「愛があれば、ずっと幸せ!」とミックとキースが一本のマイクスタンドで仲良く歌っている貴重な映像(笑)

『If You've Got Time (To Say Goodbye)』Merle Haggardのナンバー。トランプで遊んでいるときに掛かっています。1972年ツアーでは前座にティナ・ターナー(たぶん当時なのでアイク&ターナーか?)を使っていたようで、楽屋に挨拶に来ていて、キースとパーティーの相談をしている姿が捉えられています。当時の彼女は結構ムチムチしています。パム・グリアみたい。

『Street Fighting Man』 スタジオ録音のレコードでは速い曲ではありませんが、グルーヴ感が最高のナンバー。ライヴでの演奏時にはかなりテンポアップして演奏しています。たぶんレコードの2倍くらいのスピードでしょうか。チャーリーのドラムはかなり激しく、キースのギターもブンブンうなっています。

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 1970年代のローリング・ストーンズは『スティッキー・フィンガーズ』『メイン・ストリートのならず者』『ブラック・アンド・ブルー』などの傑作アルバムを立て続けに発表し、音楽的にも素晴らしい成功を収めています。

 それでも彼らの真価が発揮されるのはライヴであり、ツアー・バンドのイメージは依然として強く、海賊盤でよく聴いたのも1970年代中盤までのパフォーマンスであり、それらを合法または非合法に録音したものが多く残されて、海賊盤として販売されていました。

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 ミック・テイラーからロン・ウッドにギタリストが交代し、キースはほとんどロン・ウッドと一緒にいるようになり、ミック・ジャガーが寂しさと苛立ち、そして諦めを隠さなくなっていきます。1972年度なのでギターはミック・テイラーです。

 一緒にいなければ、しこたま稼げないのにお互いを憎悪する。理性ではなく感情が彼らを支配していきますが、ビジネスは嫌いな人とでも上手くやらねばならない。

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 このドキュメンタリーで明らかになるのは噂通りに真っ黒なストーンズであり、いかがわしさと猥雑さ、刹那的な刺激を常に求めるロックのイメージを体現している。

 その割りに、彼らは商業主義にどっぷり浸かっていて、目に疲労と恥が満ちている。まったくカッコ良くはないシーンもあるが、来る日も来る日もセックス、ドラッグ&ロックンロールの王者としての偶像であるローリング・ストーンズを引き受けていく。

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 大衆が彼らにかくあるべしというイメージを押し付けているだけであり、もう若くはなくなってきている彼らは無理にその要望通りに振る舞おうとしているように映る。

 期待に応えるべく、ミックはクネクネ動きながら叫び、キースは観客をギターで興奮させ、グルーピーたちを犯し続ける。彼女たちは人間扱いなどされておらず、上等なマスターベーションの道具でしかない。

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 たぶんメンバーは誰一人、顔も名前も覚えてないだろうし、抱いたことすら記憶にないだろう。『コックサッカー・ブルース』とは付けも付けたりのタイトルではないか。

 ロック・バンドが一見すると好き勝手に騒ぎ立て、欲望のままに蠢く様を捉えているようではあるが、こういったステージ裏は彼らのすべてではない。華やかなステージとドロドロの舞台裏の両方があること、またカメラが回っている時点で超一流のエンターテイナーである彼らが素の表情などをさらけ出すことはないでしょう。

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 あくまでもカメラを回した側の主観や見せたいシーン、そう思わせたいというゴールをモンタージュしただけだろう。出ていくレコード会社への嫌がらせの要素が強い。

 断片でしかないのは残念なのですが、ライヴ自体の出来はさすがのローリング・ストーンズですので、マニアとしては『ロック・アンド・ロール・サーカス』『ワン・プラス・ワン』『ハイド・パーク・ライヴ』『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』などと同様に押さえておきたいマスト・アイテムであることは間違いない。

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 ただし冒頭で書いたとおり、まともに最後までプレイされているナンバーはない。音楽があくまでもストーンズのイメージを楽しむ添え物になってしまっているのは監督であるロバート・フランクの意図(失敗している。)によるものです。

 彼が見せたかったのは殺伐として刹那的で猥雑なロックのイメージだったのだろうが、実際にフィルムに焼き付けられているのは中学生の憧れる彼らのイメージであるセックス・ドラッグ・ロックンロールという陳腐な映像の断片でした。ロバートは彼らの音楽の良さを理解していなかったのだろうか。ただただセンセーショナルな映像ばかりを集めている感じがします。

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 ツアーの記録的ドキュメンタリーとして製作されたはずですが、ストーンズにとってはいまさら必要としていない不良おじさんのパブリック・イメージをまたまた量産してしまいました。

 本来、ミックが欲しがった出来上がりは音楽的に大成功し、さらなる高みを目指していた当時のステージ上のストーンズの様子を主に捉えることであり、スキャンダラスな妄想的フィルムではなかったようです。

 しかしまあ、よくもこれだけ女のハダカと薬物乱用のシーンばかりを集めたものです。ザラザラした映像も相まって、まるで、ジャンキー主演の裏ビデオみたいです。

総合評価 78点


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