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zoom RSS 『センチネル』(1977)70年代にフリークス大挙出演シーンをクライマックスに持ってくるとは…

<<   作成日時 : 2014/02/26 14:20   >>

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 “センチネル”と検索すると、Amazonやヤフオクで大量にヒットするのは『ザ・センチネル』という2006年公開の作品ばかりです。オリジナル・タイトルが「THE SENTINEL」なのでかなり紛らわしいが、ぼくが探していたのは1977年製作のホラー映画です。意味は地獄の番人らしい。

 有名ではないのでしょうが、1970年代にまさかトッド・ブラウニングの超問題作『怪物團/フリークス』やアレハンドロ・ホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン』『エル・トポ』を彷彿とさせるような身体障害を持つ奇形の人たちを大勢投入して、スクリーンを埋め尽くす力業を一般公開作品でやっていたことに驚かされました。

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 1970年代とはいえ、よくぞプロデューサーからよく撮影許可が下りたものです。しかもこれが昭和の地上波テレビでは普通に放送されていた訳ですから、さらに驚かされます。奇形の彼らを完全に化け物として扱い、彼らを見たヒロインが恐ろしさと醜さに嘔吐するシーンまでついています。マイケル・ウィナーの演出はあくまでも悪趣味を極めていきます。

 この後半のクライマックス・シーンが最大の見所ではありますが、そういうショッキング描写に頼らなくとも十分に作りがしっかりしています。

 といっても強烈に覚えているのはフリークスの大群と飼っているニャンコがインコを丸かぶりするシーンではあります。マイケル・ウィナーの意図は成功したのだろうか。

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〈あらすじ〉

 ニューヨークでモデルとして活躍するクリスティーナ・レインズが引っ越ししてくる古ぼけたアパート(それでも、日本で言う高級マンション以上のシックな内装です!)が舞台となっていて、ホラーのジャンルの中でも、幽霊屋敷物に括られます。

 当時のレートはよく分かりませんが、家賃が1ヶ月500ドルするという会話を不動産屋のオバハン(かなり怪しい。)と交わしています。当時のレートならば、日本円換算すると10万円くらいでしょうか。

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 格安物件のようで、クリスティーナはすぐに契約してしまいますが、安すぎる物件にはそれなりの理由があるのは洋の東西を問わないようです。

 住人たちが皆様かなりアクが強く、猫とインコを同時に飼っている馴れ馴れしいジイサン、ヒロインの目の前でも平気でオナニーを始めるレズのカップル、意味不明にキレるバアサンやら不気味な面子ばかりで、最上階にはサイコばりに窓際で佇む盲目のジョン・キャラダイン神父という濃すぎる面子が住んでいます。

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 なんだかキツめの一刻館(『めぞん一刻』)みたいです。普通の神経ならば、まず撤退すべきだと判断がつきますが、契約してもらわないと話が始まらないので彼女はこの物件に決めてしまいます。

 雰囲気や周囲の隣人の様子がおかしいなあと思ったら、普通は別の部屋を探しますし、知り合いに聞いたりしますが、弁護士の彼(クリス・サランドン)がいるにもかかわらず、誰の意見も聞きません。

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 そうこうしているうちに父親が急死して葬式に出たりしつつ、憧れのニューヨークに引っ越してきた、まさにその夜に奇妙な出来事が起こる。住人に抗議しようとすると、踊り場には馴れ馴れしいジイサンがパーティーの帽子を被っていて、ヒロインを上層階の部屋へ誘い出す。

 その部屋には同じアパートに住む、多くの招待客が来ていて、自己紹介をされるが皆どこか癖があり、一筋縄ではいかない。深夜までポルカで踊り狂う楽しいサバトみたいなパーティーがはけてから眠りにつく。

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 その夜、夢の中には先ほど一緒だった面々がみな素っ裸で、しかも恐ろしい表情で彼女を見つめている。恐怖で目覚めた彼女は自分の部屋のすぐ上の階がやたら騒々しくしているようで、シャンデリアがグラグラ揺れ続けている物音に怒りを覚える。

 翌日になって、契約を交わした不動産屋のオバハンに騒音についての苦情を申し立てるが、彼女はあのアパートには盲目のジョン・キャラダイン神父とクリスティーナしか住んでいないと衝撃の事実を告げる。

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 彼女が見たのはすべて妄想か、それとも心霊現象か。パーティーの夜以降、幻覚を含む体調異変が続くクリスティーナはクスリを処方してもらうが、なぜか部屋から逃げ出さずに、周囲の制止を無視して、また一人で部屋に戻る。

 まあ、撮影班が一緒ですものね。撮影班といえば、『ジュラシック・パーク』や『ザ・フライ』でお馴染みのジェフ・ゴールドブラムがカメラマン役で出演していますし、主人公クリスティーナ・レインズの友人のモデル役でデボラ・ラフィンも出演しています。また刑事役で『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケンも登場します。

 また聞き覚えのある旋律で、今回の音楽もギル・メレだったことが分かりました。彼がホラーのサントラを手掛けるとどうしてこうも気味が悪い雰囲気が出てくるのでしょう。

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 それはともかく、クリスティーナはあり得ない冷静さで真夜中に上層階へたった一人で出向いていく。階段の途中ではジイサンが飼っていたインコをニャンコが頭からかぶりつき、旨そうに食べています。

 首を引きちぎり、血を啜り、首を脊髄付きで引きずっていきます。その様子をカメラは悪趣味かつ克明に写し出す。なんと気持ち悪いシーンでしょう。地上波では絶対に今後、ノーカットで放送されることはないでしょう。

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 ニャンコに威嚇されつつ、クリスティーナはついに上層階のパーティーがあった部屋にたどり着く。当然、誰もいないのでガランとしていますが、そこにはジイサン(違うヤツ。)の亡霊が現れて、彼女の横をスーッとただ通り抜けていく。

 暗闇で人相が判らなかったので、彼を追いかけ、問いただしてみると、彼はヒロインの死んだ父親でした。生前、彼の誕生日に部屋を訪ねると彼は売春婦らしい二人組を連れ込み、オージーパーティーの真っ最中でした。

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 激怒した裸の父親に殴られたヒロインはショックのあまり、自分の手首をカミソリで切って、自殺を図る。そんなトラウマの原因だった死んだはずの父親が再び亡霊(ゾンビみたい。)となってヒロインに襲い掛かってきます。逃げる途中で気を失った彼女は目覚めた後に病院で治療を受けるが、気休めにもならない。彼氏のクリス・サランドンも心配し、探偵を派遣するが、彼は変死体として発見される。

 クリスも一人でアパートに出向き、キャラダイン神父が所属する教会周辺を調査し、クリスティーナがパーティーで出会った面々がいずれ劣らぬ凶悪な犯罪者だったが、みな既に死亡していることなどを色々突き止めていくが、霊たちの返り討ちに遭い、死亡してしまう。

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 彼(死んだはず…)が開いたパーティー会場にいた彼女は突然、叫び声をあげて、気を失ったり、仕事現場でも卒倒したりして、だんだん社会生活が送れなくなる。

 意を決したクリスティーナは独りで最後の戦いに臨むため、アパートに帰ってくる。そこには血で染まったクリスのカフスボタンが落ちていて、急いで上層階のパーティー会場に向かうと、そこには馴れ馴れしいジイサンが待ち構えていて、殺気立った様子で彼女に迫ってくる。

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 逃げ惑うクリスティーナがアパートで遭遇するのが冒頭でも触れた奇形の人々の群れで、顔より大きい腫瘍が2個もぶら下がっている男(セイウチみたいです。アイ・アム・ザ・ウェルラス〜♪クゥクゥキチュ〜♪)、『ビーイング・ディファレント』のジャケットみたいなおっさん、小頭症の人々、手足が欠損して胴体と首しかない青年、背骨の異常からなのか床を這い回る人々や小人の面々などなどフリークスが大挙出演しています。

 彼らは何かをするでもないし、しゃべるわけでもありませんが、ただただ黙ってヒロインに近づいてくる。完全に化け物扱いなのですが、無理矢理出したわけでもないでしょうし、エキストラとして仕事をしています。

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 それだからこそ、作品はソフト化されている訳ですから、無責任な第三者がどうこう言うことではない。クリスティーナが最上階までたどり着くとそこにはフリークス集団に混じっているクリスがいるが、彼は終始ずっと奇妙なことを口走る。

 異常に気づいた彼女は彼が顔の向きを変えたときに顔半分が無くなっていたのを見ると絶叫し、最期を悟る。クリスティーナに化け物たちが襲いかかる刹那、キャラダイン神父と教会の司祭が現れて(どこにいたんだよ!?)、大きな十字架をかざし、妖魔退散させる。

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 命を救われたクリスティーナでしたが、代償として視力を奪われ、キャラダイン神父の後任として無理やりに次の番人にされてしまう。ラスト・シーンでは窓際に佇む彼女がすべての感情を失くしたまま、新しい住人を迎えるところで幕を閉じる。

 まあ、こんな感じですが、マイケル・ウィナー監督によって、全編通してかなりの悪趣味な演出が徹底されています。見る人を選ぶ作品ですので、アナログ時代のグロテスクなCGではないリアルな映像のみが持つ禍々しさを体験できます。

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 CS放送でも全編放映は難しそうですが、一連の衝撃シーンをすべてカットしてしまうと、作品が持つホラー映画としての禍々しさはほとんど消え失せてしまいます。

 現在、日本語字幕版は廃盤になってしまっていますので、高価なヤフオクに参戦するか、英語に挑む猛者はリージョン1のDVDにトライしてください。

 ただ問題があり、Windows8.1だとDVD再生は出来ないので、フリーソフトをダウンロードしてから、お楽しみください。もちろん自己責任ではありますが。

総合評価 76点


The Sentinel (1977)
Cristina Raines (Actor), Michael Winner (Director) | Rated: R | Format: DVD Chris Sarandon (Actor)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
いつも楽しく拝見させております。
この映画のDVDですが、スティングレイ社のものはまだ販売しているようです。
私も未見なのですが、80分の映像特典まであるようですね。

東京12chのとりこ
2014/03/04 11:36
 はじめまして、こんばんは!

12チャン映画って、ぼくらには特別な意味がありますよね。学校をさぼった日の午前から三時過ぎにかけてのいろいろな変な映画はいつまでも記憶に残っていますし、『恐怖のワニ人間』みたいな笑っていいのか、恐がるべきなのかわからない映画もありますね。

>スティングレイ
まだあるんですね。僕が探したときはヤフオクとかAmazonではかなり高かったり、出品すらされていないことが多かったですよ。

今後『八月十五日の茶屋』『ミズーリ・ブレイク』という二本のマーロン・ブランド映画の記事を書いていこうかと思っています。

ではまた!
用心棒
2014/03/05 00:32

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