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zoom RSS 『学生たちの道』(1959)アラン・ドロン初期作品。みずみずしい魅力に満ちた彼を見ましょう。

<<   作成日時 : 2014/01/06 13:36   >>

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 二年ほど前にブログ仲間のトムさんとのコメントのやり取りの中でこの作品を観る機会があったことをお話ししていて、近いうちに記事をアップするつもりだったのがいつの間にやら時が流れ流れてしまい、今年2本目の記事となりました。

 現在はDVDもつい先日、無事に発売されていて、見るまでの障壁はかなり低くなっていますので、若々しい魅力あふれるアラン・ドロンをぜひ見ましょう。

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 内容は第二次大戦の戦時下、ドイツ軍に占領されている巴里を舞台にドイツ軍の目を盗み、闇商売に手を出す学生アラン・ドロン(夫のいるフランソワーズ・アルヌールとの不倫にのめり込む。)の成長を描きます。

 彼と悪友役のジャン・クロード・ブリアリ(女を受験の邪魔になるとクールに捨てていく。)の対照的な性格設定、ドロンの父親役(アンドレ・ブールヴィル)とブリアリの父親役(リノ・ヴァンチュラ)の清貧さと金の亡者ぶりが分かりやすく対比されている。

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 互いの父と息子との関係をも隠しテーマに盛り込み、仲良かったブリアリとリノの関係は父親のケチな小悪党ぶりに嫌気がさしたブリアリが最後に「パパ、汚いぞ!」と罵るまで悪化する。女を抱かされ、騙されたブールヴィルはドロンに真実を聞かされ、落胆するものの父子でゆっくりと心情を語り合い、爆撃をきっかけに関係を改善していく。

 ドロンの目つきが浮世離れしている前半から中盤にかけてと後半に事が露見してから、そして父親との話し合いの後ではまるで違っていて、ふざけていた少年が大人の男になっていく過程が描かれているようにも思います。

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 闇商売で検問やドイツ軍のお巡りさんらをはぐらかすためにルル(ピエール・モンディ)がお腹パンパンの状態なのにもかかわらず、ゲシュタポの制服に身を包み、彼らをハッタリで出し抜くシーンはコメディ・タッチで描かれています。

 アンドレ・ブールヴィルを黙らせるために情婦(妹には見えないのですが?)をけしかけて、色仕掛けで毒気を抜いていく企みが楽しい。親子共々、同じ店に出入りしている女たちに引っかかるのもどうなのだろうか。

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 ドロンが引っ掛かる海千山千のヒロインはフランソワーズ・アルヌールが演じていて、ほかに出てくる女優陣もけばけばしい人が多い。

 アルヌールは当時、人気のあった女優さんのようですが、撮影監督もしくはミシェル・ボワロン監督の趣味なのでしょうが、どうみても足への執着というか、フェチシズムを感じるカットが多い。性描写の中でも倒錯した趣味であるフェチシズムが出てくるのがむしろ成熟した趣味のように思えるのは何故だろうか。

 上映時間は80分ほどですのでただひたすらに若き日のアラン・ドロンを見ているだけでも楽しいかもしれません。女好きの僕でも彼の男前ぶりは美しいと思いますので、女性ならばなおさらでしょう。ファミリー映画としても、軽めのラブロマンスとしてもきちんと構成されているので、気楽に見ることが出来るでしょう。

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 カラー映画にはないモノクロ独特の映像がドロンの美しさを際立てています。モノクロからカラーに変わると魅力が落ちてしまうリタ・ヘイワーズと違い、彼はカラーもモノクロもどちらのフィルムにも愛されています。

 俳優はフィルムに焼き付いたルックスがとりわけ大切で、映画の歴史の中でもごくまれに映画に愛されているとしか言葉が見つからない俳優や女優がいます。アラン・ドロンはそういうレアな映画人のひとりです。

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 撮り方では基本的にカメラの動きは極力抑えられていますが、さりげなくパンや引きのドリー(ズーム・バックか?)を使い、バスト・ショットを多く用いていて、古典的なハリウッド映画を見るような錯覚があります。

 音楽的にはゆったりした、ハリウッド黄金時代の映画を見ていた時に感じたような懐かしさが心地よい。お話は82分という上映時間の制約があるためか、息子のちょっとした騒動の後に防空壕で仲直りした父子がお互いの罪滅ぼしの禊を行うかのように空爆で傷ついた人を志願して助けに行くところで終わる。

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 時期的には1943年なので、あと1年ほどはナチス占領下に置かれる。1944年にはパリは解放されますが、『パリは燃えているか』はその頃のお話ですね。この映画は1959年公開ですので、ドロンが24歳くらいの頃に撮られた映画ということになります。彼自身がブレイクする寸前ではありますが、後年多くの女性ファンを魅了する要素は画面に充満しています。


 何気に心に残っているのは

 ドロン:女と一晩中、一緒にいるときは何回くらいセックスをしたらいいんだい?

 ブリアリ:できるだけ少なくした方がいいよ。


 というなんだか奥深いなあと唸らせる会話でした。普通、男らしさを表すのは何回出来るかであったと思いますが、回数ではなく、時間をかけてゆっくりという発想は若いころにはありませんでしたね。またなぜかエッフェル塔を引き画で捉えたオープニングがかなり美しく思いました。

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総合評価 65点


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タイトル (本文) ブログ名/日時
『学生たちの道』〜「アラン・ドロン」原型の形成期その3〜
 ミッシェル・ボワロン監督は、アラン・ドロンの主演第1作品『お嬢さんお手やわらかに』(1958年)に引き続き、1959年、再度、この『学生たちの道』で彼を起用しました。 『お嬢さんお手やわらかに』は、アラン・ドロンをミレーヌ・ドモンジョ、パスカル・プティ、ジャクリーヌ・ササールなどのアイドル女優と共演させ、監督自らのシナリオによる華やかな演出により世界中でヒットし話題となった作品でした。 さすが、ミッシェル・ボワロン監督は、この2作品によって、その共演者と共にアラン・ドロンをしっかりとアイドル路... ...続きを見る
時代の情景
2014/01/12 02:12

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん、素晴らしい記事をありがとう。
>足への執着、フェチシズムを感じるカット・・・
ミッシェル・ボワロン監督はチャーミングな青春映画を作るのが上手な人ですが、かつ、しっかりと性の問題も含めて、男性の気持ち(父性の描き方、思春期の青年)の描き方は秀逸だと思います。おしゃる通り2組の親子の対比は上手く描かれていますね。トリュフォーなども彼の影響を受けているのではないでしょうかね?

>エッフェル塔を引き画で捉えたオープニングがかなり美しく・・・
わたしもそう思いましたよ。こういった導入部分の描写が映画では大切なんでしょうね。その美しい街並みと警報サイレンの対比も、この冒頭で既にそのテーマが明瞭に表現されている。素晴らしいと思いました。

アラン・ドロンの美しさは、おっしゃるようにモノクロ、カラーともに美しいですね。その観点で言うと、わたしは、クレマン、ヴィスコンティを凌駕しているのはデュヴィヴィエが描いたアラン・ドロンだと思っています。
恐らく、サイレント時代のライティングとメイクの効果を知り尽くしていた映画監督だからなのでしょうね。そういった点ではメルヴィルの作家主義、映画スター主義でも不足感を持つほどです。

では、また。
実に楽しい記事でした。ありがとうございました。
トム(Tom5k)
2014/01/12 01:50
こんばんは!

拙文がお気に召しまして、何よりの喜びです。

>サイレント
そうですよね。ここでの見せ方、つまり光と影の効用と動きの意味をよく解っている映画人こそが真の映画人なんですよね。映画は全世界の人々が言葉のバリアを超えて楽しめる娯楽かつ芸術でなければならないと思っています。

 そういう意味ではパントマイムという表現がより深く知られるべきですし、サイレント映画の理解にはパントマイム表現の理解が必要ですので、これらを解説した著書があれば、映画コーナーに置いてほしいですね。

 セリフに逃げて映像を適当に使うのではなく、無音でも通用する映像をきちんと製作していくべきですが、面倒くさいので誰もやらないのでしょうね。

 アカデミー賞(アメリカ)は無理でしょうが、ベネチアやカンヌは映画が凋落しないためにも、映画文法をわかりやすくまとめたDVDか解説書を出して、多くの人々を教育していくべき時期に近づいていると思います。

 ではまた!
用心棒
2014/01/12 18:38

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