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zoom RSS 『のぼうの城』(2012)榮倉奈々時代劇初出演作品。大きな彼女と小さな侍大将たち?白雪姫か?

<<   作成日時 : 2012/11/10 22:09   >>

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 最近、映画館で流れる新作予告を見ていて、興味を持ったのが『シルク・ド・ソレイユ』『新世紀ヱヴァンゲリヲン劇場版Q』とこの『のぼうの城』でした。

 ヱヴァは新作が公開される度に毎回観に行っているので、第三作目もこまめに公式サイトをチェックしていて、もともといつから上映するのかも知っています。

 しかし、この『のぼうの城』はまったく知りませんでしたので、予告編ではじめて興味を持ちました。ドラマ『メイちゃんの執事』や『泣かないと決めた日』などが魅力的だった榮倉奈々が時代劇に出るのが個人的には驚きで、現代風などう彼女を作品に生かしていくのかを見るためにも劇場に足を運ぶことにしました。

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 一般的に彼女のイメージは活発で明るい感じですし、モデル出身ということもあり、身長が170pを超えていて、単純にフィジカル的にもかなり大きい。所作動作が独特な時代劇で彼女をどう演出するのだろうか。

 見え方を自然に見せるためにも、立ち位置とかアングルを工夫しないと戦国武将を演じる他の共演者とのバランスが歪になるのではないかと思い、本筋とは関係ないところでも興味を持ちました。

 カメラ・アングルその他の問題をどう解決するのかに興味があり、確認を兼ねて、本日観に行きました。たぶんバスト・ショットや切り返し、彼女を後ろに置きながら、武将役の俳優を手前に配置しての仰角で撮るのだろうかとか、お転婆の扱いで馬に乗るのかなあなどと想像していました。

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 お姫様という設定なので、下座に置くわけにもいかないでしょうし、配置がかなり難しくなってきます。当然城内でのシーンが大半ですので、榮倉が前方で正座し、家臣たちが後ろで中座していたり、後方から彼女が前方の人たちに声を掛けるというシーン、さらには和風建築の中なので、小津的な高さからのハイアングルとアイレベルの中間くらいで見下ろす構図で同じような大きさに整うようにバランスを取っていました。

 映像や画面作りは時代劇よりもサム・ペキンパーの後期西部劇を思い出すような土埃やスプラッター描写の雰囲気を持っていました。気になったのは台詞の言い回しが現代風すぎて重みがなく、封建的な独特な味わいがなく、作品自体が軽く感じられるのがもったいない。

 また戦国時代の背景に不勉強な観客の理解レベルに摺り寄せすぎるためか、前半の10分間近くを状況説明に費やしてしまったのは最悪で、不必要な説明台詞やナレーション、さらにはバラエティ番組の再現VTRのように画面を汚すほどに役柄の名前までをペタペタ貼り付けられている字幕テロップが作品レベルを著しく劣化させてしまっている。

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 もっとレベルを高く出来るはずの作品を観客が多分理解できないだろうというスポンサーや製作サイドの判断からか無惨な演出を加えられてしまった典型かもしれない。

 序盤から中盤にかけての合戦は頑張っていますし、ミュージカル的な要素が作品を楽しいものにしていて、後半の田楽踊りシーンは猥雑であるが、性に緩やかな当時の風俗をカラッと描いていて時間を感じさせない。上映時間は145分間と結構の長尺でしたが、あっという間に過ぎていきます。

 演技面ではなんといっても成田長親を演じた野村萬斎が出色の出来で、敵味方の真ん中で田楽踊りを踊るハイライトになるシーンには彼が不可欠です。風変わりで駄々っ子のようで、でくのぼうから取られた“のぼう”の異名の通り、かなり間抜けな様子だった彼が戦を重ねる過程で厳しい武将の顔つきに変わっていく様子が印象に残ります。

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 特撮及び珍しいW監督として樋口真嗣がクレジットされていますが、映画館の巨大スクリーンを持ってしても、残念ながら水攻めの迫力はあまり出ていません。篝火が煌々と焚かれた、夜の石田方陣地の全景を映し出す俯瞰ショットや水浸しになった忍城の俯瞰などはよく出来ています。

 城全体や城下町の街並みなどはミニチュアやロケセットとの併用のようで、洪水に押し流されていく城門などはミニチュアを使用しているようです。ただ洪水シーンをこの時期に使うのは難しい。

 実際に本物の大洪水を見てしまってから、あまり日が経っていない状況では何か嘘っぽく見えてしまう。一部気になる部分はありますが、スケールが大きい作品に仕上がっています。

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 攻め込まれた城門付近での戦闘は迫力があり、泥濘に足を取られて壊滅していく石田軍はかなり残酷な描写で殺戮されていきます。ここで観客はこの映画が年寄り向けのお笑い時代劇ではなく、多勢に無勢の殲滅戦を描いていることに気づく。

 農村部に大軍が押し寄せてくる設定ですので、基本的に田んぼと山ばかりですし、二万人がひしめく石田三成軍の全容を映すショットも粗探ししにくい夜景に篝火というパターンが多い。合戦シーンの美味しいところは山口充則、山田孝之、佐藤浩市らが持っていく。

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 成宮寛貴が出ていて、相棒ファンのぼくはなんとか応援したい気持ちがありましたが、残念ながら今回の役柄はあまり彼を生かしているようには思えませんでした。

 500対20000というと、三国志で曹燥軍の張遼が敵軍相手に孤軍奮闘して城を守り通した故事を思い出します。石田三成軍を相手に粘りきった成田軍は天晴れな戦い方でしたが、ドラマではあるもののグッド・ルーザーとして描かれる上地雄輔が演じた石田三成もこれまでの悪役扱いではありません。

総合評価 70点


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