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zoom RSS 『オー!ゴッド』(1977)現代の神様の御姿はカジュアルなお爺ちゃん?キリストも悪党も神の子!

<<   作成日時 : 2012/08/23 20:29   >>

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 この『オー!ゴッド』もまた最初に見たのは東京12チャンネルで、ユニクロから出てきたようにカジュアルな服装(野球帽を被っている!)の神様がなんとも素晴らしい。

 御爺ちゃんの神様、ジョージ・バーンズの声をアテていたのは磯野波平(永井一郎)でした。聞き覚えのある磯野氏の声だったためか、イマイチ作品にのめり込めずに苦労しました。

 それから30年あまりが過ぎた一昨日、行きつけのTSUTAYAの旧作推薦コーナーで目にしたのはなんと野球帽を被った神様がジャケットのこの作品のDVDではないですか!

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 見事に誰にも借りられていない状況に涙を禁じ得ないぼくでしたが、この作品の素晴らしさと懐かしさから即借りし、ついでに『戦争プロフェッショナル』を手に取り、TSUTAYAを後にしました。

 内容はしがないスーパーのマネージャー(ジョン・デンヴァー!)に突然、神様(ジョージ・バーンズ)が語りかけてきて、彼を神のメッセンジャー・ボーイとして使うことを勝手に決めて、訝るデンヴァーをジョークを交えながら説得する。

 大昔にテレビで見たときにはまったく気づきませんでしたが、ジョン・デンヴァーがこの映画でメッセンジャーを演じていたのは驚きでした。名曲『カントリー・ロード』で有名な彼でしたが、小学生のぼくが彼の顔と歌が一致するはずもなく、ただの気の良い地味な俳優だと思っていました。

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 今回、あらためてこの映画を見たときにはじめて彼をジョン・デンヴァーだと認識した上で見ると、彼の演技からは親しみやすい人柄が滲み出ていることに嬉しくなります。

 惜しくも飛行機事故で亡くなった彼ですが、この映画から伝わってくる温かい人間性ならば、きっと天国でジョージに『カントリー・ロード』を弾き語りしているのかもしれません。また彼の奥さんを演じているのも『未知との遭遇』の狂った亭主の奥さん役じゃないだろうか。

 行く先々で笑える騒動を起こすが、最後はテレビ伝道師(いかにもアメリカンな感じです!)との裁判になり、劣勢になるも、神様が裁判所の法廷に降臨し、奇跡を大衆に見せる。

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 神様と平民(デンヴァー)の会話がとぼけていて、なかでも当時大ヒットした『エクソシスト』を交えたジョーク「悪魔が少女(リーガンのことでしょう。)に憑依する映画が受け、人々は恐怖の声を上げた。悪魔は信じるが、神はダメかね?」などはクスクス笑えます。

 ただ、この映画で神様が御見せになる奇跡というのはあまりにも安っぽいトリック撮影(わざとでしょう。)でしかないので、思わず吹き出してしまいます。

 声だけが法廷に響き渡る(映らないところでしゃべっているだけ。)、勝手にドアが開く(カメラから見えないところでドアを引っ張るだけ。)、トランプが出てきたり、消えたり(カメラを止めて、トランプをどける。カメラを再び回して、消えたようにする。メリエス並み!)する。

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 神の奇跡を信じる素直な人々ではあるが、さすがに見えるものしか信じない国民性のために、裁判は双方和解となる。負けはしないものの結果的には失業してしまうという少々ビター・テイストなコメディに仕上がっています。

 人間の質問に対し、時に温かく、時に聖書の物語を解りやすく現代人に語り、時に皮肉たっぷりに答えるバーンズの神様が秀逸です。なんでもかんでも神様に頼るのは間違いであり、神様はただ見ているだけなので、人間は自分たちの意志で最善を尽くすのが信仰のあるべき道筋であるという言葉は示唆に富んでいる。

 日本でも現世利益ばかりを求め、普段からお祈りもしないくせに、初詣やら墓参りやら、そして御祓いやらをイベント感覚でやる者が多いので、このへんは万国共通でしょうし、お布施をすれば天国に近づけるかのようなことを厚かましく素直な信者へ要求するペテン師たちへの皮肉もたっぷりと語っています。

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 キラキラしたスターは誰も出てきませんし、基本的には普通のサラリーマンの日常生活や家庭の破綻をシニカルなコメディとして淡々と描くのみで、映像や撮影手法に目を見張るということも皆無です。

 派手さは全くありませんが、出てくるのはスターではない一般庶民なので、抵抗なくキャラクターとストーリーを受け入れられるのではないでしょうか。

 神様をヒーローのように偶像化し、金銭目的に利用しようとする輩に対しては批判をするが、器が大きい神様はそのような者でも自分の息子なのだと語る。神様にとってはイエス・キリストもマホメッドもブッダも、そして大悪党でも皆ひっくるめて神の子だという下りはどの宗教を信じていても受け入れられるのではないでしょうか。

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 カジュアルなお爺ちゃん(あるときは野球帽、あるときはホテルのボーイさん、そしてまたあるときはタクシー・ドライバー。)という神様の姿形の設定自体が痛烈な現代宗教家や偶像崇拝への批判なのでしょうし、本来は神様は身近にあるべき存在なのだというメッセージとも受け取れます。

 ただ笑うか、そこに信心の本質を探るかは映画を見た人次第でしょう。あまりにも刺激の強い映画を見た後で、これを見るとホッとした気持ちになります。

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 この映画はずっとDVD化されずにいましたが、ここ数年のツタヤの発掘良品シリーズの一環としてラインナップされています。しかしながら、残念なことに一般販売はされていないようで、Amazonの通販サイトでも依然として中古VHSのリンクしか扱われていない。

 現在、ツタヤ店頭にあるレンタルDVDの借り上げ件数が多いようであれば、もしかすると権利元も発売を検討するかもしれません。ただあまり多くないようでしたらというか、地味な作品なので再びお蔵入りする可能性が強く、在庫があるうちに早めに借りて、自宅で楽しむ方が良いでしょう。

総合評価 70点


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
この映画もテレビで見た記憶があります。日本語版です。
ジョン・デンヴァーが演じるスーパーのマネージャーが善人っぽくて良かった。
そして奥さんを演じるテリー・ガー。他の映画でもたまに見ましたが、可愛らしい感じです。
今、知った事ですが、神様を演じたジョージ・バーンズは100歳まで生きたんですね!驚きました!
この映画はコミカルで楽しいのですが、ラストは、ちょっぴり悲しい感じでした・・・。
蟷螂の斧
2016/05/22 11:02
こんばんは!

この映画は見ているとなんだかほっこりしてくる作品でしたね。地味ですし、もう見ることはないのだろうなあと思っていましたので、TSUTAYAさんでこれを発掘シリーズとしてリリースしてくれた時はうれしかったですよ。

ジョン・デンヴァーって、たしか事故死したんですよね。早く亡くなってしまったのは残念ですね。

ではまた!
用心棒
2016/05/23 00:47
>ジョン・デンヴァーって、たしか事故死したんですよね。

当時みんな驚いていました

>彼の演技からは親しみやすい人柄が滲み出ている

勤務時間中に抱き合っている若い男女に「お前たち、いい加減にしろよ〜」と優しく注意する。
あるいは、パンの上に重い商品を詰めた若い店員に遠回しに注意して、お客さんに「すみません!今すぐ取替えさせます。」と謝罪する。
日本語版。吹き替えは富山敬さんあたりかな?すごく良かったです
蟷螂の斧
2016/05/23 23:00
こんばんは!

>吹き替え
ぼくらが見てきた昔の映画はテレビの洋画劇場でしたものね。いつからか、まあおそらくはレンタルビデオが出だしてからは外国語映画は字幕版で見るのが当たり前になりましたので、徐々に吹き替えは見なくなりました。それでもジャッキー・チェンらが出演していた香港映画やダーティハリーなどは吹き替え版が楽しいですし、思い出はありますね。

ではまた!
用心棒
2016/05/24 00:12
この映画の第2作・第3作。
映画秘宝関係の本によると、「・・・・・。」と言う感じだったそうです。
柳の下に泥鰌は二匹も三匹もいなかったわけです(苦笑)。

>ジャッキー・チェンらが出演していた香港映画やダーティハリーなどは吹き替え版

石丸博也さんと山田康雄さんの功績は大きいです!
特に吹き替え版を先に見てしまうと、字幕版は違和感を感じてしまうから不思議です!
蟷螂の斧
2016/05/26 22:10
こんばんは!

基本的に字幕版を見ますが、ジャッキー・チェンはいつも日本語をしゃべっていますよww

ダーティハリーの対訳ではハリーに対して“お汚れハリー”とかマグナム44を“特製大型拳銃”とか最低のセンスで対訳していて、かなり興を殺いでいますよ。

マグナムというのがいろいろと権利関係に絡むのか、訳者がハリーに対しての思い入れがまったくないままのやっつけ仕事をしていただけだったのか分かりかねます。

ではまた!
用心棒
2016/05/27 01:27

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