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zoom RSS 『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス』(2011)一番の驚きはフサフサしたチャーリー・ワッツ!!

<<   作成日時 : 2012/03/25 19:43   >>

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 来年にはデビュー五十周年(!)を迎えようとするローリング・ストーンズが出演した映画のなかで、純粋なライヴ物ではないのは『悪魔を憐れむ歌』のレコーディング風景をジャン=リュック・ゴダールが撮り続けた『ワン・プラス・ワン』のみです。

 孤立していくブライアン・ジョーンズが痛々しくて、見ていて辛くなった、この映画以外はすべて彼らのライヴ演奏が中心になっていました。

 ぼくが映画館まで観に行ったのは『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』だけでしたが、オルタモントの悲劇を捕らえた『ギミー・シェルター』、円熟の域をも超えていた『シャイン・ア・ライト』などライヴでの彼らはとても魅力的な最高のロック・バンドでした。

 去年になりますが、最寄りの映画館で新作の予告編を眺めていると突然、ストーンズのナンバーが鳴り響いてきました。タイトルは『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス』とのことで、78年のライヴの記録映像のようでした。

 セックス・ピストルズやダムドに代表される、ロックの原点である激しい衝動をシングル盤にぶつけたパンクやトーキング・ヘッズやザ・ポリスのようなニュー・ウェイブの連中からすれば、ストーンズは時代錯誤の過去の遺物のように映ったかもしれません。それへの回答がこの縦ノリの攻撃的なリズムだったのかもしれません。

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 特にチャーリーが刻むドラムスは他のどの時代のストーンズとも違い、力一杯リズムを刻んでいるように聴こえます。また速さと重さが凄まじいのはパンクの衝動に真剣に向き合っているようにも思えます。

 常にその時代ごとにチョコチョコとモデル・チェンジを繰り返しながら運営されてきた老舗バンドらしい老獪さこそが彼らの本質で、しかも彼らの時代へのチューニングは見事に成功し、イノベーションを推し進めてきました。変わらないのではなく、振り返って聴いてみると変わり身の速さと適応力に驚かされます。

 ただし、すべてが成功しているわけではなく、70年代後半から80年代前半の『アンダー・カヴァー』までは時代の新しい息吹を迷いながら取り入れようとしているため、なんだか違和感がある作品がB面曲には少なからず存在しました。印象に残るのはA面の3曲とB面に2曲くらいかなあというファンが多かった。

 ぼくらが聴いていた当時からすでに神格化は始まっていましたが、ビートルズと違い、ストーンズのアルバム収録曲にはハズレが多いのも正直なところでした。まあ、続ければ続けるほど、ハズレ曲は増えますので、勇気を持って新作を出し続けるだけでも勇者だったと言えるのかもしれません。

 彼らのアルバムにはLP時代でいうB面に実験的なというか、なんだか未消化に思えるナンバーを集めていました。
その中にも光る曲はたくさんありましたので、新作が出たときは彼らの方向性や興味を探るのにもLPのB面は楽しい体験でもありました。

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 1960年代後半、ビートルズの最高傑作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に対抗して送り出した『サタニック・マジェスティーズ』は歴史的な大失敗に終わり、ストーンズのディスコグラフィの恥部として記憶されましたが、70年代後半からのアルバムも再び迷走していました。

 『エモーショナル・レスキュー』『アンダー・カヴァー』の音作りはどこか浮わついていて、どうも彼ららしくない。べた褒めし続ける音楽雑誌を読むにつれ、「コイツラ、60年代のストーンズを聴いたことあんのかよ!」とかムカつきながら、読んでいました。

 1986年に発表された『ダーティ・ワーク』以降は吹っ切れた感じで黒っぽいストーンズが蘇ったのかなあという印象です。ただ彼らのどんどん年齢を重ねていったので、激しさというロックの基本からは外れてしまったのは否めない。それでも新作が出れば聴いてしまうのはストーンズ・ファンの哀しい性でしょうか。

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 それはさておき、なぜこの2011年というタイミングで、彼らの全盛期ではない(それでも十分にカッコいい!)1978年のライヴを映画として持ってきたのだろうか。謎は深まるばかりです。

 ストーンズのライヴ・バンドとしての全盛期はミック・テイラーが在籍していた70年代前半までと言われていますので、本当に訳が分からず、困惑しているファンも多いのではないだろうか。ただ元気な頃の彼らを眺めているだけでも楽しい。

 キースがまだシャンとしているし、ミックの格好がセンス悪いし(最低な“破壊”シャツ、あんたはアナーキーじゃないだろ!)、ロン・ウッドはステージ奥に引きこもっているし、ビル・ワイマンのあのテーピングは何なのだろうとか、チャーリーの頭髪がフサフサしているのが時代を感じるとか、イアンが生きてる!とかいろんなことを感慨深く眺めていました。

 まあ、『ラヴ・ユー・ライヴ』と『スティル・ライフ』のちょうど合間に当たるので、まだまだ元気な頃のモノなので、安心して聴いていられるのはさすがのストーンズです。

 最近WOWOWで1972年の全盛期のライヴ『レディース・アンド・ジェントルマン』とこの『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス』が続けてオン・エアされました。

 嫌味で流したとは思えないので、たまたま放映権が取れたのでしょう。出来はブート時代から聴いていて、最高傑作と言われる『レディース・アンド・ジェントルマン』がなんといっても素晴らしい。

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 『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス』も楽しめましたが、何か違う。ショーに特化した『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』のような徹底したライヴとは異なり、素の魅力を湛えているのがこの作品なのでしょう。映画というよりは昔懐かしのフィルム・コンサートなのだと思えばちょうどいいのかなあ。

 演奏されるナンバーは以下の通りです。

1. レット・イット・ロック(チャック・ベリーのカヴァー)
2. オール・ダウン・ザ・ライン
3. ホンキー・トンク・ウィメン
4. スター・スター
5. ホエン・ザ・ウィップ・カムズ・ダウン
6. ビースト・オブ・バーデン
7. ミス・ユー
8. ジャスト・マイ・イマジネーション
9. シャッタード
10. リスペクタブル
11. ファー・アウェイ・アイズ
12. ラヴ・イン・ヴェイン
13. タンブリング・ダイス
14. ハッピー
15. スウィート・リトル・シックスティーン(いうまでもなく!)
16. ブラウン・シュガー
17. ジャンピン・ジャック・フラッシュ


 チャック・ベリーの『レット・イット・ロック』でこの映画のライヴはスタートします。通常はストーンズのライヴではアルバム『アフターマス』に収録されている『アンダー・マイ・サム』から始まることが多く、ライヴ・アルバム『GOT LIVE IF YOU WANT IT』『スティル・ライフ』や多くのブートでもこのナンバーからスタートしていました。

 もともとやらなかったのか、編集の都合上でそうなったのか、撮影トラブルや演奏の出来が納得できなかったからなのかは定かではないのですが、このライヴ映像では演奏されていないようです。

 わざわざ権利関係が面倒な他人のナンバーを収録するには何らかの理由があるはずですが、よくわからない。なぜパンクが爆発したときにチャック・ベリーなのかも謎です。『ビースト・オブ・バーデン』を長めの尺で披露していますし、当時の新作『サム・ガールズ』から8曲もやっているのは大胆です。

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 個人的には長くやってくれたら嬉しいのは『ミッドナイト・ランブラー』なのですが、今回のセット・リストからは漏れてしまっていたのは残念です。

 このライヴではスピード感のあるナンバーを多く収録していますが、これはパンクが流行っている時代にはもたもたしたナンバーは敬遠されるかもしれないという判断でしょうか。

 しかしながら、ストーンズの曲でぼくらファンが好きなのは『ミッドナイト・ランブラー』『ユー・ガット・ムーヴ』『ダイスをころがせ』『ストリート・ファイティング・マン』『ルビー・チューズデイ』のようなゆったりとしたテンポのものでしょう。

 『ブラウン・シュガー』『ダイスをころがせ』『ジャンピング・ジャック・フラッシュ』などファンにはお馴染みで、大好きなナンバーがどんどん演奏されるので楽しいのですが、どこか醒めてしまっている自分もいる。

 もうすぐ結成50周年の年齢的にも最後のワールド・ツアーでも始まるのかなあとボンヤリと思い浮かべながら、『ジャンピング・ジャック・フラッシュ』のギターとベースのうねりを聴いていました。

 音楽作品としてのこのライヴ映像は素晴らしいとは思いますが、映像そのものはなんの捻りもなく、普通に演奏しているものを写し続けているのみです。

 ストーンズのファン以外(個人的にはストーンズ好きなので大丈夫!)は90分近くも、ただステージを集中して観続けるのは難しいのではないか。

 そもそもの大前提として、全国の映画館で、ロックがすでに音楽のメイン・ストリームでもない現在、いまさら30年以上も前のライヴを公開する意味はあまりない。来年の露払いなのか、マーケティング・リサーチのつもりだったのでしょうか。音楽的には素晴らしいが、映像作品としては特筆すべきところはない。

総合評価 70点





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