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zoom RSS 『妖女ゴーゴン』(1963)ハマー・フィルム全盛期の1本。残念ながらDVD化されていません。

<<   作成日時 : 2011/12/07 20:45   >>

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 『妖女ゴーゴン』はホラー映画の老舗だったイギリスのハマー・フィルム製作です。蛇女と言えば、有名なのはなんといっても『タイタンの戦い』にも登場していたメドゥーサでしょうが、僕ら世代はゴーゴンのほうが怖いという印象が強かった気がします。

 ケイブン社かどこだったかは忘れてしまいましたが、妖怪や幽霊を扱っていた本で、たしか『怪奇ミステリー大百科』だったと思います。そこで、ゴーゴンを姉、メドゥーサを妹とする記述があり、やっぱり姉ちゃんが怖いに決まっているという考えを子供なりに持っていました。この本にはハマーやユニバーサルの怪物たちのスチール写真が多く挿入されていて、ヴィジュアル的にここで植えつけられたイメージがかなり強い。

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 ゴーゴン&メドゥーサ姉妹共演の映画はないのでしょうか。ホラー映画ファンの端くれとして、国内外の結構な数のホラー映画や特撮映画を見てきましたが、今のところ聞いたことはないので、おそらくないのでしょう。

 フランケンシュタインの怪物と狼男が戦う映画はありましたが(しかもフランケンの怪物役には哀しいことにドラキュラ伯爵のベラ・ルゴシ!)、ユニバーサル映画の怪物たちはたいてい1人だけで出てきて、作品を成立させてきました。

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 ハマー・フィルムが作った今回もゴーゴンしか出てきません。ただ、物語がないがしろにされてしまう傾向が強いのはホラー映画の宿命なのだろうが、『フランケンシュタイン』や『吸血鬼ノスフェラトゥ』のように歴史に残ろうと思えば、映像美と哀愁漂うストーリー性が必要となる。

 この映画に登場するゴーゴンのヴィジュアルは陰鬱で淫靡、さらには黴臭いような雰囲気を持っていて、カラッとしているユニバーサル映画とは違う風格が漂っています。あの無数の蛇が頭上で蠢く様子は何度見ても気持ち悪い。

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 生理的に嫌な感じになる映像を必要以上に入れずに、しかも最大限に盛り込んでいく独特の匙加減を熟知していたがハマー・フィルムでした。当時見たときには蛇が蠢いている印象があったのですが、今回見直してみたところ、まったく動いていなくて、マツタケのように頭に載っているだけでした。

 またハマーのホラーにはいかにもオドロオドロしい音楽とデザイン、そしてセットが付き物になっており、独特の個性と味わいがある。粗製乱造で雑な印象のある作品が幾つかあるのは否めませんが、それにはそれで味があり、特撮ファンはそういう粗さも含めて楽しめるようになって、はじめて一人前なのではないか。

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 ピアノ線や着ぐるみの境い目のチャックが目に入ってきても、「見えてない!見えてない!」と言い聞かすのが特撮ファンなのだ!さきほども書きましたとおり、ぼくらがまだ子供だった頃、蛇女で有名だったのはゴーゴンでした。しかしながら今ではメドゥーサのほうがよく知られている。

 ギリシャ神話の影響なのか、何故だかはよく分かりませんが、こういうジャンルにも流行り廃りがあるのでしょう。見た者を石に変えてしまうゴーゴンは頭髪が無数の毒蛇で、蛇たちが獰猛に人間に襲いかかろうとしているというインパクトがかなり強いヴィジュアルでしたので、子供の頃に最初にゴーゴンを見たときは恐ろしかったのを覚えています。

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 ちなみにイタリアの青かびチーズにゴルゴンゾーラというのがあり、これは世界三大ブルー・チーズ(あとの二つはイギリスのスティルトンとフランスのロック・フォール)のひとつとしてよく知られていますが、このゴルゴンはゴーゴンのことなのかなあと思っていましたが、ゴルゴンゾーラという地名がイタリアにあって、そこが発祥の地なのでゴルゴンゾーラという名前が付いたそうです。ゴーゴンが語源のほうが面白かったとは思いますが、そのへんはどっちでもいい。

 去年の夏にどうしても見たくなり、アマゾンを探しましたが、どうやらDVDは販売されていないようでした。中古のVHSも9000円以上という高額でしたので、送料なども含めたら、軽く1万円を超えてきそうでしたので、欲しかったのですが、そのときはガマンしました。

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 でも欲しいものは欲しい。いったんは見送りましたが、何ヶ月か前に再度ヤフオクをチェックしていると、5000円以下でレンタル用ではない個人所有のVHSが出品されているのを見つけました。すぐにクリックし、待っていたところ、そのままの値段で落札できました。

 そして三日後についに30年越しにこの作品を見る機会に恵まれました。あちこちにイタい部分はありますが、子供時代に見た映画の思い出は強く、十分に楽しめます。

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 内容について書いていきますと、この作品の見所である蛇女ゴーゴン(メゲーラ)の出番は恐ろしく少ない。観客はゴーゴンの最初の登場シーンまで25分待たねばならないので、サスペンス効果は出ているし、構成はしっかりしています。

 異形の怪物の姿をすぐに見せないというのは重要で、観客の期待を高めてくれます。しかも最初のカットでは古城のエントランスでぼんやりと小さく映るのみである。それでも異形の者を目撃した恐怖は見た者の絶叫と怯えた目で表現される。

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 二回目では池の水面が鏡のように反射していて、頭部に蠢く蛇を戴いた不気味な顔が映っている。そして最後にようやくクライマックスの場面で全身が映し出され、観客が待ちに待った怪物のクローズアップを迎えるが、その刹那にヘルシング教授を彷彿とさせる学者役のクリストファー・リーによって蛇首を切り落とされる。

 ゴーゴンは退治されるものの彼女を愛したハインツ博士の次男はゴーゴンの目を見てしまったために石に変えられてしまう。しかも彼は首を切り落とされたゴーゴンが恋人の姿に戻るのを見てから、自身も絶命する。ラブ・ストーリーとしては悲劇的な結末であり、その結末によりこの作品は普通のホラーでは持ちえない余韻を残している。

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 もちろん現在の目で見ると特撮技術は拙い。しかしそれだけがこの作品の本質ではない。ただ残念なのはこの作品は数年前に一挙にDVDで発売されて、ホラー映画ファンを喜ばせた数々のハマー・コレクションのボックス・セットには収録されていません。

 鑑賞する上で興味深いポイントとしては普段のハマー映画では正義側のピーター・カッシングが悪役になっていて、いつもは退治される側の怪物を演じることが多いクリストファー・リーがヴァン・ヘルシング的な学者を演じているのはマニアには見逃せない。

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 いかにもハマー的なフィルムの質感や空気が澱んでいるような室内シーンに嬉しくなるでしょう。イギリスらしく、誰がゴーゴンなのかという謎解きを重視した本編がしっかりと語られていて、作品自体のストーリー展開の出来は良いので、ホラー映画ファンならば見ておきたい一本です。現在、

 この作品を視聴するには動画サイトで画質が悪い映像を見るか、VHSビデオをヤフオクで落札するかのいずれかになります。5000円以下ならば即買いです。10000円以上することも多いので気長に待ちましょう。

総合評価 65点




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