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zoom RSS 『ターミネーター』(1985)ジェームズ・キャメロンとシュワルツェネッガーの出世作。何度も見ました。

<<   作成日時 : 2011/08/19 20:13   >>

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 1985年。自分の周りを見回すと、ほとんどの友達があまりお金を持っていなかった高校時代、仲間内で話題になっていて、観たいなあと思っていたのがこの映画でした。

 アメリカ公開は前年の1984年だったため、多くのサイトでは1984年を公開年として記載していますが、日本公開年は1985年でしたので、ここでは1985年で記載します。

 6月くらいだったと記憶していますが、なんとかお小遣いをやりくりして、部活で仲良かった映画ファンの友達と部活が終わってから一緒に日曜日の午後に見に行きました。

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 当時の映画館は今の世知辛い、入れ替え制のシネコンと違い、映画会社もかなり大らかで、同じ映画なら一日中観ていてもOKでしたので、記憶に焼き付けるためにも、元を取るためにもほとんどの映画を二度は連続して観ていました。

 この時は日曜日でしたので、一回目は立ち見となり、真っ暗な階段に腰を掛けて観ていて、エンド・ロール後に席を立った人たちと入れ替わるようにして、二回目を迎えました。

 階段に腰をかけて観るというのはちょくちょくあって、地べたに座るわけですから、ジュースのこぼしたヤツやお菓子のこぼしたヤツが結構落ちていたので、注意しながら場所を確保していた記憶があります。

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 このように二度見の癖がついていたので、レンタルビデオ黎明期には貧乏性のため、借りてきたビデオを少なくとも二回は見ていました。薄暗い映画館でのタバコもOK、立ち見もOK、二度見もOKという時代が懐かしい。

 さらに時代を遡って、大昔の映画ファンが『フランケンシュタイン』に興奮したように、80年代のぼくらはジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター』をおおいに楽しみました。

 この映画はSF映画であり、ホラー映画であり、パロディ映画でもあるという色々な見方が出来る作品でしたので、アプローチの多さが多くのファンを作り出したのかもしれません。フィルム・ノワールの要素も垣間見ることの出来ますので、時間のある方はさまざまな見方をしてみてください。

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 ストーリー展開が特に目新しいわけでもなく、むしろ誰もが予想できる方向に進んでいく安心感の中、作品は期待を裏切ることなく、予想通りの展開を見せました。バッド・エンディングとは言えないまでも、ビターな終わり方がまたぼくらの記憶に痕跡を残しました。

 くどいとも取れる3回の終わったかなあと安堵させる作りは興味深く、タンクローリーごと燃え尽きたように見せてメタリック・ボディがついに登場する一回目の退治シーン、マイケル・ビーンが捨て身の覚悟で怪物の身体に爆薬をねじ込ませて爆破させるシーン、そして三回目のプレス機で押しつぶされるシーンはそれぞれ印象的でした。

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 とくに思い出深いのが物憂げなリンダ・ハミルトンを撮ったポラロイド写真で、これがどういう状況で撮られたのかがラスト・シーンに分かる仕掛けになっていて、これが印象的でした。

 登場人物の撮り方も興味深く、マイケル・ビーン、シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトンとも最初は別の場所で存在していたため、ワン・ショットが当然多い訳ですが、マイケルとリンダはターミネーターから逃げるため、当然ツー・ショットが増えてきます。

 反対に機械であるシュワルツェネッガーは基本的に最初から最後までワン・ショットで通され、仰角で撮られるシーンが多く、喜怒哀楽を見せない気味の悪さがホラーの要素を醸しだしている。

 はじめてターミネーターとリンダが接近遭遇するナイトクラブの名前が「TECHNOIR」、つまりテクノワールというのも、フィルム・ノワールへの敬意が十分に感じられる。まあ、パロディなんでしょうけど、映画ファンはこういう演出が大好きなので良しとしましょう。

 特撮も莫大な予算が掛けられていたわけでもありませんでしたが、撮り方や効果音の使い方や見せ方が上手かったためか、B級映画の枠を超えた迫力感のある仕上がりに大いに満足しました。

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 『殺人魚 フライング・キラー』でデビューしていたキャメロン監督はこの悪夢のような、ピラニア(あの『ピラニア』の続編!)とトビウオの交雑種が人間を襲うという冗談のような駄作の失敗に懲りていて、大いに反省してからこの作品に取り組んでいたのか、同じ轍を踏まずに大きな成功を収めたということなのでしょう。

 もし製作しようとする時に『ターミネーター』と『殺人魚 フライング・キラー』の順番が逆だったならば、サイバーダインの機械が作り出すようなとんでもない未来になっていたのかもしれません。もしかすると『タイタニック』も『アバター』も生まれなかった可能性があるのです。

 感情が無く、理解不能で得体の知れない優秀な殺し屋が執拗に主人公たちを付け狙う展開と基本的に真っ暗闇の画面でストーリーが転がされていく様子は古き良き時代のフィルム・ノワールのようでした。

 俳優陣にしても、主役である機械仕掛けの怪物を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーを始め、リンダ・ハミルトンもマイケル・ビーンもそれほど有名というわけではありませんでしたが、スクリーンに映し出される彼らはとても魅力的でした。

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 では何故この映画が20年以上経ってもファンの心を捕らえ続けているのでしょうか。一番の理由は秀逸な出来栄えで現代版フランケンシュタインとしか言いようのないシュワルツェネッガーに尽きるでしょう。彼のまさに一世一代のハマり役がこの映画に登場する人型サイボーグのT800でした。

 ボリス・カーロフのフランケンシュタインの怪物、ベラ・ルゴシのドラキュラと同じようにシュワルツェネッガーのターミネーターも時代を代表する恐怖のキャラクターとして記憶されることになりました。

 色々なマンガやパロディでこのターミネーターのスタイルが出てきました。パロディが成立するのはみんながその元ネタを知っているのが前提なので、それだけインパクトが凄く、同世代に大きな影響を与えたということなのでしょう。
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 また同じようにこの映画も『フランケンシュタイン』やレイ・ハリーハウゼンの『シンドバッド 七回目の航海』でお馴染みのカクカクしたフリッカーのような動きの表現がメタリックのターミネーターを無機質でない手作りの暖かみを感じさせてくれました。

 眼を抉り取るシーンは『アンダルシアの犬』でしょうし、機械が運転するタンク・ローリーに追われるさまは『激突!』を思い出させました。深読みしすぎかもしれませんが、この映画の成功の影にはパロディ精神やお約束の演出をあえて採用する王道の潔さもあったような気もします。

 シュワルツェネッガーのオーストリア訛りがひどい、ぶっきらぼうというか、感情の起伏がまったくない棒読みのセリフや言い回しはたとえそれが演技でなくとも唯一無二の存在感を誇っていて、上手く企画の趣旨に乗っかったのがこの作品での彼でした。

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 ここでのイメージが強くなり過ぎた彼は一時『プレデター』『バトル・ランナー』『ゴリラ』などマッチョだったり、腕力勝負のキャラクターの仕事が多く、イメージが固定されつつありました。

 が、そのイメージを逆手に取って、『ツインズ』『キンダガーデン・コップ』『ジングル』などのコメディに出演し、滲み出る人間味が大いに受けて、ハリウッドになくてはならない俳優としての地位を築いていき、ついにはカリフォルニア州知事にまで登り詰めていきます。

 しかし基本になったのはこの映画での怪物役で、まるで夢診断にありがちの悪夢に出てくる象徴のようにしつこく追いかけてくるサイボーグは強烈な印象を観る者に与え、ファンの心を捕らえて離しません。

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 なんだかんだと言いつつも、ぼくも便器でシュワを殴る三作目まではついて行きましたし、失望するだろうなあとは予感しているもののレンタル屋さんでは四作品目が気になっていました。まだ見てないけど…。

 このオリジナルと二作品目の『ターミネーター2/ジャッジメント・デイ』は何度も見た作品ですし、本来であればオリジナルである本作品の方が点数が高くなるのでしょうが、ぼくは“T2”のエンターテインメント性に突っ走った雰囲気が好きなのでこの評価になりました。

 もちろんこの作品のほうが深く人間を描いているのは解っています。世紀末に近づいていた80年代の窮屈になりつつあった空気感の重たさと不自由さ、不透明な暗さがそこかしこに漂っている。

総合評価 85点


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん、ターミネーターは、もうりっぱなキャラクターになてしまいましたね。シュワルツネッガーも、おれ以上の作品に出演し得ていない。
わたしは、この映画を職場の歓風会で宿泊地に向かう移動中のバスの車中で、はじめて観ました。確か昭和61年の秋ころだったでしょうか?
今想い出せば、隣には職場不倫のカップルがおり(職場内ではみんな知っていました)、それなりに大きな職場でしたが、この会でこのカップルの近くにいたわたしは、何とも憂鬱な気分でした。
映画は、すばらしいと思ってみていたのですが、前の席のベテラン職員のおやじは、「わたしの若い頃はねえ、ヒッチコックなんか好きでねえ。こんな漫画みたいな映画はねえ・・・」などとうめきながら、逆の隣にいた若い先輩女性職員は、「これ、一回観ただけじゃ、わかんないから・・・わたしなんて二回観てはじめて、意味わかったのよ」などと、騒いでおりました。(普通一回観てわかるよなあ)と思いながら、その先輩にストーリーを教えてもらいながら観ていました。
映画を観る環境としては、最悪でしたよ。

でも、B級作品らしい面白さが満載でしたし、わたしはラスト・シーンのリンダ・ハミルトンの物憂げな様子、素晴らしい余韻を残していたことが、一番印象強かったです。

では、また。
トム(Tom5k)
2011/08/20 18:56
こんばんは!
絵に描いたような最悪な環境ですね(笑)

読んでいて笑ってしまいました。

慰安旅行とかではバスや飛行機で結構映画上映があるんですよね(笑)

しかしまあ、密室で好きではない人たちかつ映画を分かっていない人というのは必要十分条件を兼ね備えていますね。しかも横でストーリー展開をしゃべる人までいるというのは悪夢ですね(笑)

>余韻
あの映画がぼくらの思い出に残っているのはリンダの功績がかなり大きいと感じております。出演者が抑制の効いた演技をしているのも個人的にはポイントが高いなあと思っています。

なんやかやいっても思い出の映画のひとつですよ。

ではまた!
用心棒
2011/08/20 21:04
用心棒さん、こんばんは。
近所のツタヤで1000円キャンペーンをやっていたので、「2001年宇宙の旅」と「ブレ−ドランナー」を購入しようとして2000円出すと、「3枚で3000円のキャンペーンなんですが・・・」
もっと分かり易く表示して欲しかったですよ。
実は3枚購入するなら、「レオン」にしようと思っていたのですが、用心棒さんの記事を読んでいたので、3枚目は、「ターミネーター」を選んでしまいました。
今、見終わったところなんですが、久しぶりに観て色んな記憶が甦りました。
まだ携帯もなくPCも普及していない、これからデジタルの時代を迎えるという時代の節目、80年代の雰囲気でした。
おっしゃるとおり、いろんなパロディを積み上げています。わたしは、「乱暴者」や「イージーライダー」なども想い出しましたよ。
それにしても、アメリカ映画とは思えない余韻のあるラストシーン、西南部のガソリン・スタンド、インディオの少年、嵐が来る前触れ・・サラ・コナーの悲壮感、そしてな覚悟・・・これから生まれるジョンの宿命。
80年代のロサンゼルスの雰囲気も良く描かれていたと思います。炎から登場する超合金の骨組みのアニメーションも面白かったですし、未来のシークエンスのB級感も好きなんですが、明らかにミニュチュアでありながら、説得力のあるショットの連続で、むかしから、何故こんなに魅力的なのかが不思議でした(2以降では感じないんです)。
映画制作を、本当に楽しんでいるスタッフの熱意が伝わるからなのでしょうかね?

では、また。
トム(Tom5k)
2011/08/28 02:37
 こんばんは!

B級作品であるのは百も承知ですが、あの完成度の高さは半端ではないですね。

むかし『遊星からの物体X』を観たときと同じ感覚でした。お遊び感覚がたくさんあって、こういうのが作りたかったんだよという心の叫び?があるのが楽しい作品なのかなあと思います。

記事にした後にももう1回見てしまいました。

ではまた!
用心棒
2011/08/29 01:09
本作に印象的だったのは

A・シュワルツェネッガーの弱点とされている

「セリフ&感情表現が苦手」という部分を

 長所として活用した点と

(「適材適所」の象徴であると思います。)

「骸骨を踏みつぶす装甲車」という形で

 絶望の未来を表現した点であります。

 (セリフ以上の説得力を感じました。)
 
 本作のように「映像テクノロジーの連打に溺れず

 表現法と発想で勝負する」SF映画が

 増えてくれると良いのですが・・・・。

 これからもよろしくお願いします。

                      GHMより
GHM
2013/01/26 23:51
 こんばんは!

>骸骨を踏みつぶす
あのシーンは強烈でしたね。当時、映画館に観に行ったときは大画面ということもありましたので、

思わず「おおー!」と声が出ましたよ(笑)

予算がまだ少なかったのが第一作目でしたのでアイデアが満載でB級テイストも素晴らしく、ビデオが出たときには高校生でお金がなかったので、レンタル屋さんにすぐに借りに行きました。

>表現法と発想で勝負する
その通りですね。圧倒的なお金で勝負する企画よりも、売れる前の監督の初期作品を探した方が好きなテイストの一本に出会う可能性が高いかもしれませんね。

こちらこそよろしくお願いいたします。

ではまた!
用心棒
2013/01/29 19:44

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『ターミネーター』(1985)ジェームズ・キャメロンとシュワルツェネッガーの出世作。何度も見ました。 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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