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zoom RSS 『ライト・スタッフ』(1983)宇宙開発にまつわる骨太な物語と印象的な音楽の融合。

<<   作成日時 : 2010/09/08 22:04   >>

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 公開当初となる1983年に、この映画のタイトル『ライト・スタッフ』を最初に目にしたときは、ライトを“RIGHT”ではなく“LIGHT”だと勘違いし、てっきり“光るヤツ”くらいの意味だと思っていましたし、宇宙飛行士を前面に押し出したポスターもあり、てっきりSF映画なのかなあと思っていました。

 それから数年が経ち、大学生になったバブルの頃、乱立するレンタル・ビデオ屋さんで、この作品は二枚組のビデオであることを知り、アベル・ガンス監督の『ナポレオン』や黒澤明監督の『七人の侍』などの大作を普通に楽しんでいたのに、この映画にかんしてはなぜか面倒くさくなり、ついつい敬遠したまま月日は経ってしまい、気が付いてみれば、ぼくがこの映画をきっちりと見たのは今回が二度目なのでした。

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 それ以外にもまったく見たことがなかった訳ではなく、会社から帰ってきてからテレビをつけたら、BSやCSなどで放送していたりするのを途中から見たこともありました。チラチラ部分的に記憶が残ってはいますが、全体を通して見たことはありませんでした。

 毎回覚悟を決めて見るつもりにはなるのですが、何せ3時間近くになる作品でもあり、なかなか時間が取れずに後回しになり続けていました。この映画自体も素晴らしい作品ですが、それ以上にとても強く印象に残っているのが挿入されている音楽でした。

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 とりわけ天空を駆け回るような『YEAGER´S TRUIMPH』などは今でも様々なテレビ番組やクルマのCMなどで挿入されることもしょっちゅうなので、耳にされた方も多いと思います。

 ぼくはこれのサントラを買ってしまいましたし、今でもたまに聴きます。クラシックとシンセ音楽を融合させたようなビル・コンティのスコアの数々は今でも聴いていると心地よい。彼は『ロッキー』も手掛けていますが、こちらの音楽のほうがより素晴らしい。

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 ビル・コンティがほぼ丸パクリしたのがチャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35』の第一楽章に出てくるオーケストラの盛り上がり部分なのです。第一楽章は18分くらいで、中盤の7〜8分のところで、あの有名な旋律が響き渡ります。エド・サリバン・ショーの模様が流れるのはファンには嬉しい。

 今回見たのは何年か前にシネフィル・イマジカで放送されたヤツで、DVDの通常版である約170分のバージョンよりもさらに30分以上も長い、約200分近い最長版でした。つまり夜の9時に見始めても、終わるのは夜中の1時前
になってしまうのです。

 これを見ようと思えば、夜は早く家に帰り、次の日は休みという状況を作り出す必要があります。晩御飯やお風呂などもありますので、家人の干渉を受けずに4時間を家で過ごすのはかなり難しい。『天国の門』なんかはさらに長いし、視聴にはより困難が生じることでしょう。

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 ぼくは映画は一度再生を始めたら、見終わるまで見続けるので、長いのを見るときは覚悟します。骨太な人間の葛藤や生死の境目でしか出てこないような人間の本質を見事に描いている。

 今では流行らないであろう、男祭りの映画であり、汗臭い映画であるため、現在の若い映画ファンにはアピールしないのでしょうが、ゴツゴツした映画をたまには見てほしいと思える映画です。

 1960年代初頭、ケネディ大統領在任中、対共産ロシアでいきり立つアメリカ政府のあまりにも人命軽視・ご都合主義・杜撰と三拍子揃った無茶な計画のもと、よくぞ大事故もなくマーキュリー計画が完遂したものだと感心します。

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 当時の政治状況、つまり冷戦やキューバ危機、そしてなによりもスプートニクとガガーリンがマーキュリー計画を急がせた様子がはっきりと理解できます。政治で言えば、人気のなかったジョンソン副大統領が自分の人気取りに使うために、アストロノーツの奥さんまで利用しようとして失敗する様子は生々しい。

 マスコミの取材姿勢も今と同じくしつこく、節操なく、見ていてイライラしてきます。ストーリー構成としてはイェーガーを中心とした音速や高度の限界を突破するテスト・パイロットたちの葛藤、そして彼らをただ待つしかない妻たちの不安と苦しみを描き、後半は主に宇宙開発であるマーキュリー計画の実像を時系列でドキュメンタリー・タッチのドラマとして見せてくれる。

 三時間をゆうに超える作品であるため、テキサスでのストリップ・ショーなど所々間延びしているように感じる部分もありますが、宇宙開発が一歩一歩少しずつ進歩していく科学であることを考えると、テンポ良く進行していく必要もないので、これはこれで良いのかもしれません。

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 前半、何度も登場していたテスト・パイロットの憩いの場であった酒場、大空に散っていったパイロットたちの写真を飾っていた酒場が火事で焼失し、何もかもなくなってしまったシーンはヒーローが大空のパイロットではなく、宇宙飛行士に変わってしまったことを象徴するようなシーンでした。

 イェーガーが最後の挑戦をしたとき、見守る人は皆無で、しかも最後の機体を墜落させてしまうのも次の時代に飲み込まれようとしている自分そのもののようでした。現状を打破しようとするも結局は諦めざるを得なかった彼を消えゆくヒーローとして寂しくもカッコ良く表すには適切なシーン作りだったように思います。

 つぎいつ見るかは分かりませんが、そのときはまた覚悟してから、この190分の長編を見続けるのでしょう。『テネシー・ワルツ』や『アイ・オンリー・ハヴ・アイズ・フォー・ユー』などオールディーズ系統も使われていますし、音楽が素晴らしいので、楽しく時を過ごせることでしょう。

総合評価 87点



 
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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
公開当時、映画館で見ました。

>イェーガーが最後の挑戦

一緒に見た先輩が「イェーガーの生き方は、カッコええなあ」と大阪弁で言ってました

>天皇陛下、美智子妃殿下、皇太子殿下、秋篠宮ご夫妻と眞子さま、佳子さま。
>パフィーのふたり・・・etc.
>三浦カズ・・・etc.

用心棒さんには勝てません・・・
そう言う人に会える職業についているとか?
蟷螂の斧
2016/10/24 20:00
 こんばんは!

>職業
たまたまの積み重ねですよww

サッカー選手に関しては練習場まで行けば、誰でも会えますし、カズ以外はみんなサインしてくれましたよ。よく行ったのはセレッソが練習していた舞洲で、代表戦や予選前になると取材で元代表の解説者の人も来ますし、大阪で代表戦がある時は舞洲で練習したこともあるので、普通に楽しめますよ。大久保君とかは若手のころに見に行きましたし、森島選手にはユニフォームやフラッグにサインしてもらったり、高正云選手とはお互いに片言の日本語と英語でお話したりしましたww

 陛下に関しては友人の家に行ったときにたまたま近くでお見かけしただけですし、皇太子さまは海外旅行に行く途中に空港でお見かけしました。

警備の方の仕切り線が変更されて、上手く機能したために、佳子様とは1m以内とめっちゃ近くで可愛いお姿を拝見しました。

他の芸能人とかは人の集まる場所に、人の集まるタイミングで行くとけっこう見かけますよww

ではまた!
用心棒
2016/10/25 00:24
こんばんは。

>宇宙飛行士

先日オカピーさんの部屋で話題にしました。
僕はアポロ11号の月面着陸に関しては「捏造説派」なんですよその方が逆にロマンを感じます。
用心棒さんは如何ですか?

>人の集まる場所に、人の集まるタイミングで行くとけっこう見かけますよ

もう僕はそれだけの気力も金も時間もないです・・・

>高正云選手とはお互いに片言の日本語と英語

国際的ですね
蟷螂の斧
2016/10/25 21:07
こんばんは!

>アポロ
当然、捏造派ですwww
そのほうが楽しいですよ。うそつきの中国共産党が月に行ったというのも当然ですが信じていませんww

>高正云
当時、年間シートを毎年買っていましたので、よく長居スタジアムまで観に行っていましたが、選手たちとも触れ合える練習を観に行くほうが楽しかったですよ。

フランス大会のころはセレッソから森島、西澤、高正云、河錫舟と4名の選手がワールドカップに出ることが決まっていたので、めちゃくちゃ楽しかったです。

その後も大久保、清武、香川、山口と代表で活躍する選手を次々と輩出しながら二部に降格するという訳の分からない成績を繰り返すアホっぽいクラブですが、ぼくは二部だろうが、一部だろうが大好きです!

ではまた!
用心棒
2016/10/26 00:31
>ガス・グリソム

7人の中で一番小柄な男。1967年1月27日、船内での訓練中に爆発炎上による事故で亡くなった。痛ましいです

>当然、捏造派ですwww

やっぱりそうでしたか
寒暖の差が激しい月面。撮影用のフィルムなんて保存できないそれどころか、宇宙飛行士の命だって・・・

>ぼくは二部だろうが、一部だろうが大好きです!

並大抵のファンではないですね
蟷螂の斧
2016/10/26 20:46
こんばんは!

>宇宙飛行士
月面到着を1969年に達成したのなら、それに比べて地球の近場でウロチョロしていたスペースシャトルであれだけ大騒ぎしていたのは変ですよ。

科学が進歩するのならば、火星移住とかも90年代くらいに出来ているのではとも思います。

>並大抵
昔から野球は阪神ファンでしたので、負けることに耐性は出来ていますwww

巨人ファンみたいに全試合勝たねば納得できないような下品な人々とは違い、阪神ファンは勝てなくとも好きな選手がヒットを打てばそれでいいじゃないかと思える負け犬根性が染みついているので、セレッソに関しても5年くらい二部にいたとしても別に怒りはしませんよww

ではまた!
用心棒
2016/10/26 21:04
>巨人ファンみたいに全試合勝たねば納得できないような下品な人々とは違い

用心棒さんいい事を仰いますねー

>昔から野球は阪神ファンでしたので、負けることに耐性は出来ています

そう言う僕は中日ファン。今年は本当に情けない結果でしたが、それでも愛着を感じます

>地球の近場でウロチョロしていたスペースシャトルであれだけ大騒ぎしていた

変です。

>アポロ11号

当時アメリカのライバルだったソ連。なぜ反論しなかったのでしょうか?
蟷螂の斧
2016/10/27 21:02
こんばんは!

アポロ計画にまつわる謎って本当に多いですよね。軍事機密ということもあるので、やたらとベラベラしゃべれないのもあるのでしょうが、真実を知りたいですねww

>中日
落合が絡むとつまらなくなりますねww

僕が記憶している中日の選手というとリリーフ投手が多く、郭投手、森田投手、与田投手を思い出します。その他には星野、大島、谷沢、宇野、堂上(父)、高木守道らですかね。

サッカーにハマるにつれ、ほとんど野球を見なくなりました…

ではまた!
用心棒
2016/11/01 23:50
>>中日
>落合が絡むとつまらなくなりますねww

2007年の日本シリーズ。確かに中日は日本一になったけれど・・・

>星野、大島、谷沢、宇野、堂上(父)、高木守道ら

「燃えよドラゴンズ」の頃ですね

>軍事機密ということもあるので、やたらとベラベラしゃべれない

まさに「カプリコン1」の世界
蟷螂の斧
2016/11/03 19:40
こんばんは!

>燃えよ
たしかレコードで歌っていたのは板東英二でしたww

高木守道のノールックのグラブトスからの併殺というシーンを見て、当時は「このひと上手いなあ!」と感心していました。

中日のリリーフ陣って、一年でつぶれてしまう選手が多く、なんだか「太陽にほえろ!」の新米刑事みたいだなあと思いながら見ていましたよww

>カプリコン
いったい何を隠しているやら。異星人か、地下資源か、興味は尽きませんが、神様が高度な科学を持つ宇宙人なのだったら、中国や北朝鮮の共産党にバチを与えて欲しいものですww

ではまた!
用心棒
2016/11/03 22:46
>中日のリリーフ陣って、一年でつぶれてしまう選手

昔から中日は投手の酷使がひどいです
途中から技巧派に変って35歳まで投げた鈴木孝政は立派です
もちろん50歳まで投げた山本昌も

>高木守道のノールックのグラブトスからの併殺

まさに名人芸
そして何でもない内野ゴロをトンネル
そこがまた守道さんらしくて良かった

>たしかレコードで歌っていたのは板東英二

そうです。あのレコード。何度も聞きました

>いったい何を隠しているやら。

実は何もなかったりして・・・?
蟷螂の斧
2016/11/04 19:06
こんばんは!

昔はテレビ中継というと全国放送ではNHK以外はすべて巨人戦のみでしたね。今ならCSで全球団の全試合が見られるという時代ですので隔世の感があります。

ぼくはサッカーが好きでしたので、イタリア・セリエAの多くの試合を見るのが大好きでした。ただ所詮外国の試合なので、100%サポーターだなどとは言えるはずもなく、地元クラブを応援してこそのサポーターだと思い、セレッソが出来てからはずっと好きですし、二部に落ちても関係ないです。名古屋グランパスは今回、はじめて二部に降格となって、いろいろと騒いでいるようですが、クラブと運命を共にしてこそのサポーターだと思いますので、結果は出てしまった訳ですから、ゴチャゴチャ言わずに応援すべきだと思いますよww

二部は二部で楽しいですし、つらい時代を支えてこそサポーター魂は強くなります!

ではまた!
用心棒
2016/11/05 00:32

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『ライト・スタッフ』(1983)宇宙開発にまつわる骨太な物語と印象的な音楽の融合。 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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