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zoom RSS 『トイストーリー』(1995)公開当時、CGとキャラクター戦略には違和感がありましたが…。

<<   作成日時 : 2010/05/12 22:33   >>

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 最初にCGアニメを劇場の予告編で観たとき(この映画のではありません!)、体温というか、人肌の温かみを感じることが出来ずにとても失望し、それ以降はCGそのものにあまり興味がなくなりました。そうはいっても、1982年公開の『トロン』は中学生のときに観に行き、その表現の目新しさに驚きました。まあ、今とは比べものにならないチャチなレベルでしたが、コンピューターの作り出す映像はたしかに新鮮でした。

 アニメというと、僕らが小さい頃から見て育ってきたものはミッキーマウスや宮崎作品などの伝統的なセル画を手書きで何万枚も書き連ねて、一つの作品を仕上げていくというものでした。

 口パクがおかしい(日本アニメはこれをよく外国でからかわれる。)とか、顔のパーツのバランスが不自然だとか、着ている物がいつも同じだとか色々と非現実的な描写があり、そこらへんを捕らえて、子ども向きだとか言われ続けました。こういったアニメ描写は特撮でいえば、フリッカーみたいなものであり、反対にそれらがないとアニメを見た気がしない感じではありました。

 しかし時は過ぎ、とうとうフルCGが当たり前になる時代に入りました。この『トイストーリー』は初期のCGアニメ・ブームを牽引する作品となり、1995年に大ヒットし、その後の1999年に続編が作られ、十年以上の月日が経ちました。そしてついに再び続編が製作され、パート3が七月から公開されることになっています。

 多くのアニメ映画の宣伝でCGが騒がれましたが、内容が伴わないものは十年とかのスパンで見ていくと、いつの間にか忘れ去られる存在となり、マニアのみが価値を見いだす程度になっていく。その考えで言うと、この映画は成功した部類に入る。

 物語は友情やモノを大切にしようという前面に押し出されたテーマだけではなく、仲が良くても、いつかは離れ離れになる日が必ず来るという別離の要素がさりげなく、音楽のベースのように根底に流れている。

 設定で秀逸なのがオモチャは人前では動いてはならないが、人の見ていないところでは自由に動き回るという点でした。すでに持ち主の家に住んでいるオモチャたちは新入りがやってきたり、引っ越しのときに置いて行かれないかにビクビクしているのですが、その様子がとても可愛らしい。着眼点が斬新なのです。

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 ただ可愛いだけではなく、そこにはいつかは必ず捨てられる日が来ること、つまり死を暗黙のルールとして自覚しているのも物悲しい。子供の成長はとても嬉しいことではあるが、興味の対象がどんどん変わっていくので、すべてのオモチャに必ず捨てられる日が来る。

 限定品や初回生産品などのレアなオモチャにはプレミアが付いたりして、定価とはかけ離れた値段で高く売られて、マニアに大事にされるが、それは本来の姿ではない。子どもたちに愛されてこそのオモチャであり、哀しくとも子どもの成長を見守るのがオモチャの人生なのだという主張にも哀愁が漂う。

 つまり、この映画は単なる子供向け映画ではなく、むしろ大人たちが見たほうがより楽しめる類の作品であり、今の子どもたちや当時にこれを見た子どもたちが今度は大人となって、彼らの子どもたちに見せたときに真価を親が理解し、ディズニーの名作のひとつとして認識されるようになるのは確実であろう。

 オモチャに戻りますと、持ち主の愛情を一身に受けていたとしても、時の経過と新人の到来とともに、常に捨てられるのではないかというリストラの悲哀が常に彼らに緊張を抱かせるのも、大人社会の恐怖の暗喩を感じさせる。アンディの家(会社)か、シドの家(会社)か、生きていく環境(国家、社会的立場、家庭など。)によっても、受ける待遇と運命が大きく違うというのも、各家庭による温度差や愛情の深さ、子どもたちが受けるであろう教育の違い(レベル)と大切さなどを考えさせる。

 CGアニメというスタイルについて考えてみると、僕らはアニメ=セル画であるが、平成以降に生まれた子どもたちにとってはセル画だろうが、CGだろうが、そんなことはもとより気にはしていないだろう。

 既に両者とも存在する環境に産まれた者たちにとってはアニメというジャンルの中でのスタイルでしかない。彼らは両方ともアニメとして自然に受け入れている。つい最近、大学生の子とアニメのことを話していましたが、宮崎アニメを普通に好む一方、ディズニーやピクサーのCGアニメも大好きなのです。若い人のほうが受容する許容範囲が広いのでしょう。

 ピクサーはたしかもともとはジョージ・ルーカスのルーカス・フィルムのCG部門だったのが切り売りされて、あらたにピクサーという名前で出直しを図った会社だったはずですので、この物語とリンクする部分もあるのでしょう。『スターウォーズ』のパロディをふんだんに使うのは関係者の中には複雑な思いで見る方もいるのではないでしょうか。

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 映画だけではなく、周辺事情についても書いていくべきかもしれません。とりわけキャラクター・グッズについてはむしろ映画そのものから得る収入よりもむしろ玩具類や文房具、ランチボックスなどの幅広い商品群がもたらす利益の方が莫大になってきているのではないだろうか。昔からミッキー・マウスやドナルド・ダックなど現在でも続くような超人気キャラクターを多数抱えるディズニーにすれば、さらなる収入と新たな金づるを求めるためのマーチャンダイズは永久に続くのであろう。

 この映画で描かれるキャラクターには確かに魅力のあるものが多い。まずはウッディですが、彼の見せる表情の豊かさや基本的に明るいものの、時折見せる哀愁漂う雰囲気は奇跡的でした。バズももちろん欠かせません。宇宙から来たと思い込んでいたバズが徐々に現実を理解し、オモチャであることに納得するまでの時間はまさに、夢の多い青年が社会に染まり、秩序を受け入れていくようです。

 大人がこういった姿を見ると、悲しみを誘うかもしれませんが、同じ待遇のオモチャたちと一致団結して生きていこうとする姿はコミュニティの中で、人生を全うしようと覚悟した家族持ちのようでした。ウッディやバズ・ライトイヤーといった主役級キャラクターだけではなく、本来の恋人キャラであるジェシー、アンディの家に同居するレックスやミスター・ポテト、ボーやバケツの兵隊など個性的なキャラクターも活き活きしていて、作品世界を大いに盛り上げている。

 皆それぞれに捨てられたり、忘れ去られたりしたつらい過去を持ち、それでも笑顔で生きていかねばならない。まさに社会人そのものではないでしょうか。嫌なことがたくさんあるのは当たり前。それが人生ではないか。それでも笑顔でつらい人生を乗り切っていくのが大人でしょう。こういうことを考えさせてくれるのですから、これはかなりレベルの高い作品だと断言できます。

 ただしミッキーマウスが登場して以来、多くの子どもたちを魅了し、100年近くに渡り、ほぼ市場を独占してきたディズニーではありますが、いつまでこの会社だけ肖像権などの版権が過剰に守られ続けるのでしょうか。

 永久にミッキーマウスなどの古いキャラクターたちの著作権の保護が続くことはないでしょうし、これからの最大の市場である無法地帯の中国で権利が守られるとは思えない。表現の自由のないパチモン天国では歌だけではなく、何から何までパクるので、パチ・ディズニー・ランド(PDL?)だけでは収まるわけもなく、次々に違法コピーを繰り返すのでしょう。あの国には自由はないので、自由=違法なのでしょうか。

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 ちなみに1999年に公開されたパート2となる『トイストーリー2』ではよりパロディ色が強くなり、『スターウォーズ』『2001年 宇宙の旅』『未知との遭遇』『ジュラシック・パーク』などの名場面をあちこちに散りばめていて、SFファンをクスクスとさせる。またフィギュアを喰い物にする強欲なマニアたちへの批判も盛り込まれている。パロディ部分は明らかに子どもたちではなく、これを劇場に見せに行ったり、DVDで子どもたちと楽しもうとしてレンタル屋さんで借りてきた親たちに向けられている。これを持ってしても、単なる子供向けではない。

 親はパロディと現実社会を投影した物語構成に唸らされ、子どもたちはまずは単純に映画を楽しめる。こうしてディズニーはあらたなファン層を開拓していくのであろう。

総合評価 78点


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