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zoom RSS 『古城の妖鬼』(1935)トッド・ブラウニング監督、ベラ・ルゴシ出演。吸血鬼再臨?

<<   作成日時 : 2009/07/04 20:22   >>

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 アメリカのホラー映画、とりわけユニヴァーサル映画が生み出した三大スター俳優と言えば、通常は『フランケンシュタイン』の怪物を演じたボリス・カーロフ、『狼男』を演じたロン・チェイニーJR、そして吸血鬼俳優であるベラ・ルゴシを指します。

 ベラ・ルゴシの出演作品で代表作となるのは『魔人ドラキュラ』で、今でも愛される作品だけあって、雰囲気、オリジナリティ、俳優の質などでは群を抜いた様式美的な魅力を持っていました。ただし難点だったのはカット割りがほとんどムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』と酷似していること、そしてラスト・シークエンスのお粗末さでした。

 トッド・ブラウニング監督の『魔人ドラキュラ』は芸術的な完成度では『吸血鬼ノスフェラトゥ』には遠く及ばないものの、古今東西、数多い吸血鬼映画のなかでも、いまでも根強い人気を誇っています。ブラウニングはふたたび吸血鬼を題材にして、新たな映画を撮りました。それがこの『古城の妖鬼』です。同じ監督、同じ主演俳優、同じ題材を使って、どういうテイストに仕上げるのか、その一点がこの映画への興味の大部分でした。

 しかし、この作品は日本では公開されませんでした。そのため、あまり日本の映画ファンには知られてはいませんが、外国では結構有名な映画のようで、ジャン=リュック・ゴダール監督も、大作『映画史』のなかで、この映画を紹介しています。ゴダールがこれを好んでいたのは何故だろうか。見ていけば分かるのですが、実はこの作品は映画としてはそんなに楽しいとは思えないのです。その代わり、映像の力が非常に強く、怪奇的な映像を堪能できるのがもっとも大きなセールス・ポイントといえるのかもしれません。

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 派手な仕掛けはないが、目に焼きつくような不思議な魅力を持っています。屋敷内を徘徊する男吸血鬼と娘の吸血鬼はなんともいえない気味の悪い雰囲気を醸し出す。飛行している娘の顔はなんとも気味が悪く、とても印象的です。アダムス・ファミリーをさらに不気味にした感じでした。

 今回見たのは英語版で、辞書を引き引き、なんとか見終えました。まあ、ホラーですので、それほど難しい表現があったわけでもありませんでしたので、助かりました。昔の映画は映像で分からせるものが多かったのも幸いでした。最近のテレビ・ドラマのような会話劇や台詞に頼りきった映画は外国人には理解できないでしょうし、世界中で観てもらうチャンスを得るには物語を映像で語る力量を持つ監督なり、プロデューサーが必要不可欠となるでしょう。

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 この映画での映像作りは前回に引き続き、幽玄なというか、この時期のモノクロ映画が持つ、光と影の混じり合った、なんとも言えない味わい深さはもちろん、怪奇的な胡散臭さを振り撒いています。なんともいえない怪しい雰囲気を醸し出すのが素晴らしい。特に素晴らしいのが撮影と音楽です。

 フリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』の撮影を務めたジェームス・ウォン・ホウの貢献、そして名前が分からないのですが、強烈な印象を残す喘息患者の呻き声の咳のような風の音、一気に作品に引き込んでいくオープニングに代表される音響と音楽はこの映画のクラスを二つくらい押し上げている。この頃のホラー映画のお約束とも言える、蝙蝠が飛び交うカットも取り入れていましたので、個人的にはニコニコしながら見ていました。

 ストーリー展開と仕掛けという意味では『魔人ドラキュラ』よりも、こちらのほうが上であろう。ただあくまでもこれは前作のノウハウを継承している、といえば聞こえは良いが、二番煎じであることも否定できない。しかもとどのつまり、厳密に言えば、この映画は吸血鬼映画ではないのです。

 どういうことかは見てのお楽しみではありますが、ある意味、なんちゃって吸血鬼映画となっています。この仕掛けを笑って受け入れられる人は大いに楽しめるでしょうし、笑えない人は楽しめないばかりか怒り出すかもしれません。ただ映像はまさにフォトジェニックで、とても印象的ですので、ホラーらしいホラーを観たい方には必見の一本でしょう。

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総合評価 72点


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