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zoom RSS 『ゴジラ』(1984) 新たに始まるゴジラの歴史。真面目に作られています。なにか不満でも!?

<<   作成日時 : 2008/10/15 23:16   >>

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 おそらく、ゴジラへの思い入れが強い人ほど、『ゴジラ』(1954)から『怪獣大戦争』くらいまでのゴジラ・シリーズこそがリアル・ゴジラだと言い張るのでしょう。またはヘドラの残像が残っている人はこれこそがオリジナル以来では準優勝的な最高傑作と信じているでしょう。

 ではこれらリアル・タイムのゴジラを体験できなかった人たち、たとえば最初のゴジラが『ゴジラの息子』だったり、『ゴジラ対メガロ』だったひとにゴジラはどう映っていたのだろう。また、彼らよりもさらに5年以上遅れてきた世代の人がはじめて大画面で観たゴジラはもしかすると、この『ゴジラ』1984年度版なのではないだろうか。

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 これが劇場での初ゴジラの人ならば、正直かなり楽しめたのではないでしょうか。あとになって、初代のゴジラの素晴らしさに触れると、どうしても「後のはクズだね!」とかのたまう愚かな者も出てくるでしょう。しかしこういう輩は信用してはいけない。一番大切なのは当時、劇場で観た人がどう感じて、どう楽しんだかなのです。

 たとえその映画が貶されていても、自分が楽しめたのならば、それで十分なのです。したり顔をして、過去作との対比ばかりに重点を置いて話す人もいるでしょう。しかし彼らすべてが1954年に実体験したとは考えられません。つまり後出しじゃんけんで話をするのはおかしいことに気づけば、誰が何を言おうと関係ないのです。

 自分がどう楽しんだか。自分のお金を使い、自分の時間を使い、自分の感性で判断する。他人がどういおうと関係ない。自分にとってのゴジラを作り上げればそれで良い。特撮の神様である円谷英二にしても、いつまでもオリジナルのものばかりを賞賛し、あとの作品を貶す人に対しては特撮ファンとは思っていなかったのではないでしょうか。

 ストーリー展開がご都合主義だという人もいるでしょう。しかし、映画はリアリズムがすべてではない。とりわけ夢を語るのが使命である特撮映画やSF映画について、粗探しばかりにしか目が行かない人はじつはかなり不幸なのではないでしょうか。粗探しをするのが何よりも楽しいというならともかく、いやしくも特撮ファンであると自負するのであれば、コメントのどこかに愛情がにじみ出てくるはずでしょう。

 駄目なものは駄目でよいのですが、全否定するのはどうなのでしょうか。たしかにショボイもの、トホホなものも多いのが特撮であり、ゴジラ映画です。ただ本当は楽しんでのに、あとになって他の傑作との比較を経て、最初からあれは駄目だったという嘘つきにはなりたくはありません。

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 僕はたまたま最初に観たのが『キングコング対ゴジラ』という楽しい作品でしたので、良い入り方をしたなあというのが実感です。しかし今回取り上げた『ゴジラ』1984年度版もけっして駄作ではありません。

 朝靄の中から静岡の原発に上陸してくるシーン、ゴジラの視点で語られるあのシーンは怪獣映画らしい独特の素晴らしさではないでしょうか。何度も出てくるビルの中の人間たちを睨み付ける凄みは『キングコング』以来の伝統でしょう。ただ巨大ビルが立ち並ぶ昭和後半の東京においては、ゴジラの身長の設定は100M以上でも良かったのではないでしょうか。なんだか小さく見えてしまうのは残念でした。

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 特撮ではそのほかで目についたのは巨大フナ虫のチャチさでしょうか。はじまって、すぐにああいうシーンが出てくるとげんなりとしてしまいますので、もう少し、配慮があっても良かったのではないでしょうか。それともうひとつ、
気になったのが下の写真のシーンなのです。これは発禁作品『ノストラダムスの大予言』での暴走自動車によって、引き起こされる高速道路の大火災シーンで使われた映像と同じなのではないだろうかということでした。

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 そして1954年度版と同じように、今シリーズの作品の基本設定がゴジラ対自衛隊であることが明らかになっているのもファンとしては嬉しい。今回登場してくるスーパー]の造型そのものは電気炊飯器のようで、なんともかっこ悪いのですが、カドミウム弾をゴジラの口に集中的に浴びせるのは、敵としてのゴジラの弱いと思われるところに戦力を集中するということなので、好感が持てます。

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 しかも自衛隊及び人類の対G作戦はスーパー]だけではなく、Gの帰巣本能を利用するという生物としてのGへの攻略アプローチという機軸を打ち出しているのも見逃せない。つまり怪獣対怪獣ではなく、対人類という視点を30年ぶりに取り戻したのがこの作品なのです。たしかに突っ込みどころは満載でしょう。

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 だからどうしたというのだろうか。ゴジラが復活しているだけでも良いではないか。お正月にゴジラ映画があるのとないのとではどちらが楽しいだろうか。「今度もしょぼいだろうなあ。」とか言えるだけでも良いのではないだろうか。実際、『ALLWAYS 2 続三丁目の夕日』のオープニングにゴジラが登場してきたとき、どれほど観客が沸いたかを思い出せばすぐに分かるでしょう。

 演技に関しますと、小林桂樹・鈴木瑞穂・小沢栄太郎・金子信雄・加藤武・田島義文ら脇を固めている邦画の重鎮たちを観たときに喜びがあふれ出てきます。彼らの長年のキャリアが持つ説得力があってこその特撮映画なのだとはっきりと分かります。

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 反面、主役の宅麻伸・田中健はともかく、当時新人だった沢口靖子の出来の悪さに幻滅してしまいます。そのほか、以降のゴジラ・シリーズの隠れた目玉であるカメオ出演には武田鉄矢・江本孟紀・かまやつひろし・石坂浩二・鳥山明(エキストラ。たしかゴジラに踏まれる!)・NHKを退社したばかりだった森本アナウンサーなどが顔を揃えていました。

 ただしこの映画には致命的欠点があります。ゴジラと言えば、なくてはならないのは伊福部昭の音楽であり、彼の音楽がこのシリーズの雰囲気と品格を高めていました。しかしながら、今回は彼が参加していない。これはかなりのマイナス評価にならざるを得ない。

 さらにこのゴジラでの大切な音楽を醜悪なレベルに落としてしまうのが全くヒットもしなかった、沢口靖子によるアイドル歌謡曲『さよならの恋人』でした。しかもこれを作品冒頭に突っ込んでしまったのは暴挙としか言いようがない。この曲を奏でるラジカセ及びカセット・テープ(CHF!)がソニー製というのは笑えました。

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 なにはともあれ、ゴジラ映画は楽しい。たとえまずい部分が多くても…。

総合評価 61点

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ゴジラ(1984)
80年代には、こんなゴジラもあったのですね。宅麻伸や田中健、当時、新人だった沢口靖子の出演した、ゴジラ生誕30周年記念作品最初のゴジラがヒットして以来、ゴジラは人気者に。東宝のドル箱となり、オコサマ路線をたどるにつれ、怖くなくなり、次第に人気凋落。「それはいかん!」と、再び悪役で凶暴な本来の姿を目指した、原点回帰作品なのだそう。銀座マリオンを破壊し、新幹線を鷲掴みにし、新宿高層ビル群で大暴れして… なぜか、浮かぶメロンパンみたいな、スーパーXと対戦。今見ると、「そんなバカな!」と、突っ込みどころ... ...続きを見る
のほほん便り
2014/07/16 17:38

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
生誕30年記念でしたっけこれ?夏木・博士はその時に親を亡くしたとか言ってたような。
まだ新人だった沢口嬢はほんっとに足引っ張ってましたね。あの方、自分の経歴から抹殺したいんじゃないかしら?
私は日劇で見たのですが、ちょうどゴジラがその建物(ゴジラのほうが小さいけど)を壊すシーンがあってちょっと怖かったです。
garagie
2008/10/19 22:38
 garagieさま、こんばんは。コメントをいただきまして、どうもありがとうございます。

>沢口嬢はほんっとに
歌に、芝居にと本当にやってくれました!彼女を強引に起用した東宝が最大の犯人ですが、それにしても酷すぎましたね。

 襲った場所の新名所やらに必ず顔を出してくれるわれらがゴジラは新し物好きで楽しいですね。行った場所や住んでた場所に現れると、ワクワクしたものです。
 
 また復活して欲しいですね。スカパーでは今月にハイビジョン大特集が予定されていて、全作品をデジタル・リマスターでやるそうなので、出来ればいっそ全編を東宝映画館で掛けて欲しいと願っております。

 ではまた!
用心棒
2008/10/20 01:13
用心棒さん、こんばんは。お久しぶりです。
思えば、わたしにとって、映画といえば「ゴジラ」、もしくは「ガメラ」シリーズだったようにも思います。
「キングコングの逆襲」「ゴジラの息子」「ガメラ対スパイラル」「妖怪百物語」などがわたしの映画の原点でしょうか?
確かに平成「ゴジラ」第一作には、少々がっかりしたことを記憶していますが、旧シリーズの郷愁を覚えることができた「ゴジラVSビオランテ」にはワクワクしたものです。そして、「ゴジラVSデストロイヤ」は新シリーズの最高傑作だと感じているところです。
そういえば、「ゴジラの息子」は、2度見てから帰宅したことを覚えています。おふくろと行ったんですが、どうしてももう一度観たいと言ってきかなかったんです。
すぐに帰宅すれば、毎週欠かさず、楽しみに観ていたTVアニメの「黄金バット」の時間に間に合ったんですが、それに全く未練を残さず、「ゴジラの息子」を繰り返し観た満足感を思い出します。今、考えれば、現在のわたしもあの頃のような映画の楽しみ方はしていないかなあ?
では、また。
トム(Tom5k)
2008/11/03 22:32
 トムさん、こんばんは!
大昔に観ていた映画が与えてくれたワクワク感は年々薄くなり(いまでは皆無かも!)、批評家チックなものの見方をする今日この頃ですね。いけないと思いつつも、何か考え事をしながら観ることもありますし、昔みたいに没頭できなくなっているのでしょうね。

>「黄金バット」
こ〜もりだけ〜♪が
しっているうう〜♪
おおごんば〜〜〜〜っと!

なつかしいですね。知り合いから実写のモノクロ映画バージョンのDVDも見せてもらったことがありました。

特撮は映画の花形ですし、そういう意味では明日の映画ファンとなる子供たちには良い特撮を見てほしいですね。

ではまた!
用心棒
2008/11/03 22:41
初めまして。

「風の谷のナウシカ」のイメージ悪化ソングを歌った安田成美といい、大人の思惑やスポンサーの圧力がからむとろくなことが無い。

目の上のタンコブはオキシジェンデストロイヤーで溶けてしまえっ!

えいっ!やぁっ!
まさ
2013/06/02 18:25
 まささん、こんばんは!

>ナウシカ
あれも酷かったですね(笑)
本編のエンディングにすら収録されていない主題歌って、いったい何だったんでしょうね。

まだアニメ自体が社会的に認知されていない時代でしたので、タイアップを強めた方が売りやすいという判断が働いたのでしょうね。

安田さんがベストテンのスポットライトコーナーで歌っていたのを思い出しました。結局10位までには入らなかったと記憶しています。

>オキシジェン
何度聞いてもこのフレーズってカッコいいですね。

ではまた!
用心棒
2013/06/02 23:59
今NHKBSでやっているの見てますが映像が綺麗ですねゴジラ映画とゆうのはその時代の世界情勢とかが描かれいますこの映画も米ソ
冷戦頃であと「核」とか「原発」
ほんと真面目に作られています

役者さんたちもベテランばかりただ
沢口靖子さんはちょっとね「まあ新人ですから・・」
まあ彼女はあとになっていい女優さんになりまりしたが
ラストはかなりよかったと思う

メカモゲラ
2014/07/15 22:51
 こんばんは!

新シリーズの幕開けとしては素晴らしく、東京の街並みを闊歩する破壊神を再び映画館の大きなスクリーンで見た時は感動的でしたよ。

『ゴジラ対メカゴジラ』でベビーゴジラが出てきたときには「いつか来た道」を思い出しましたが、科学力を結集して倒そうとする自衛隊の活躍に興奮しました。

>ラスト
 三原山に落ちていくヤツですよね。業火に包まれるGの姿がとても哀しく見えました。

 もうすぐ新作が始まりますが、ゴチャゴチャ言わずに楽しんできます(笑)

ではまた!
用心棒
2014/07/16 21:15
最初のミイラとフナムシ、ゆっくりドスンドスン歩くゴジラはどこかSFホラーっぽくあります。監督、特技監督もVSシリーズと違うため平成シリーズの最初とは思えないほど雰囲気が違います。私はこの映画好きですね。まあ確かに許しがたくおかしなところもありますが。
あのフナムシはフナムシではなくダニかノミだそうです。あとゴジラは二種類使われていて着ぐるみとサイボットゴジラのふたつです。後者は機会制御の機械仕掛けのゴジラでもっと活躍する予定でしたが中々思い通りの動きができなかったとか。初代ゴジラをモチーフしていて顔を正面から見ると人の顔のようにも見えます。着ぐるみと顔が違いすぎてちょっと困惑しましたね。さらにソ連の核ミサイル発射シーン。海外版では冷戦の事があったせいか、故意に東京に向けて発射した事になっています。ネガティブキャンペーンって奴でしょうか。

2015/04/05 12:53
 こんばんは!

 熱いコメントをいただき、ありがとうございます。

 ちょうど中学生時代だったため、しっかりと映画館まで観に行きましたよ。

 オールド・ファンからの評判はあまり芳しくはないようですが、個人的には大画面で見るゴジラはキンゴジ以来でしたのでかなり楽しめました。

 もうすぐ日本版最新作も出来上がってくるようですし、楽しみにしたいですね。

 ではまた!
用心棒
2015/04/06 00:50
素晴らしいレビューだと思います。僕もこの作品結構好きですが、ネット見ると結構皆叩くのでしょんぼりしてしまいました。折角、冷戦下の国際関係を怪獣映画なりに描いているのに、何故そこに気づかないのか。
ブレード戦艦
2017/03/05 23:28
こんばんは!

これを観に行ったのは中学生のころでしたが、当時はまだビデオもそれほど普及していなかったので、かなり大画面のゴジラに興奮しましたよ。

ではまた!
用心棒
2017/03/06 01:14

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『ゴジラ』(1984) 新たに始まるゴジラの歴史。真面目に作られています。なにか不満でも!? 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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