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zoom RSS 『オーシャンと11人の仲間』(1960)豪華なキャスト陣で送るハリウッドらしい映画。

<<   作成日時 : 2006/12/01 00:09   >>

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 ジョージ・クルーニー主演、その他にもブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、 アンディ・ガルシアら現在のハリウッド・スターたちがウジャウジャ出演し、結構話題になり、その後に続編『オーシャンズ12』まで作ってしまった『オーシャンズ11』のオリジナル版がこの『オーシャンと11人の仲間たち』です。

 いかにもハリウッド的な音楽とスター主導の古典的映画と言えるこの作品はスターとストーリーだけで、一本の映画を製作できるハリウッドの底力を見せつける作品でもある。現在の多くのハリウッド映画も基本的にスターの知名度とストーリー主導、そして宣伝などの営業主導という点では何も変わっていはいません。

 出演しているスターが変わっているだけなのです。特にこの手の作品であれば、製作者が作ろうと思えば70年代版、80年代版、90年代版というように何度でもリメイクできたのではないでしょうか。顔見世興行というのは「みんな出てくるんだからそれでいいじゃないか!」というノリで見ていれば、それほど怒りも湧いてこないものです。

 そして今回の監督はルイス・マイルストンが務めました。あのマイルストンです。『西部戦線異状なし』を撮ったあのマイルストン監督がよもやシナトラのホーム・ムーヴィー的色彩を持つ緊張感のまるで無い作品の監督を任されるなんて、かつてのファンが知れば涙を禁じえない。こんなコメディを撮らせるなんて明らかに人選ミス、もしくはいじめでは無いでしょうか。

 フランク・シナトラ、ディーン・マーチン、サミー・デイビス・Jrらシナトラ一家がやりたいようにやっているこの作品において、マイルストン監督ができることと言えば、ただシナトラ親分の機嫌を損ねないようにさっさと現場を片付けて、納期までに上手くやりきって、家に帰って一杯やるだけだったのではないだろうか。

 クレジットはされていませんが、ビリー・ワイルダーが脚本にかかわっているのは意外でした。劇中の台詞にはドイツや日本との戦中や大戦後のエピソードを盛り込むなど、いわゆる戦中派的なフレーズが多いのも時代の古さを感じさせる。「彼ならどうする?」と聞いてみたかったですね。

 そしてこの作品にシナトラ一家として参加しているサミー・デイビス・Jrにどうしても注目してしまいます。彼は一家に入りはしましたが、彼を入れるに当たっては他の取り巻き連中から強硬な反対があったようでした。

 しかしマフィアとの関係を指摘され続けていたシナトラにとってはマスコミや世間からの悪いイメージを払拭するためにもサミーを入れる必要がありました。シナトラ自身は黒人に対して好感を持っていたわけではないので、あくまでもカモフラージュに過ぎなかったようです。

 こうした裏事情がある中で、シナトラ一家入りしたサミーにとって、その場所は安住の地であったのかどうかは定かではありません。ただ黒人である彼がシナトラ一家にいることで、映画だけではなく他のジャンルにいる黒人スターたちにも好影響を与えたのではないでしょうか。

 それらはともかくとしてこの作品は彼らの歌とチープな強盗計画とその顛末が語られる楽しいつくりになっています。無意味に歌いだすディーン・マーティンやサミー・デイビス・Jrには閉口しますが、彼らは歌が上手いので不問に付しましょう。なんせどんどん他界していった彼らの歌を映像つきで聴く機会はほとんどなく、これらの映像は貴重なものなのです。

 ストーリーとしてはアメリカ軍に所属していた空挺隊員たちが大戦後に再会し、オーシャン(もちろん我らがシナトラ親分)を筆頭に同時に5件ものカジノの金庫強奪計画を練り、実行に移していく過程を描いていくというアメリカアクション映画らしい筋書きです。

 クライマックスの強奪決行に行き着くまでの下準備を5件分何度も見せられる演出にはウンザリしました。繰り返しによって得られる効果が無いわけではないがあまりにもくどく、リズム感が全く無い。もたもたし過ぎていてテンポがひどく悪い。

 上映時間の130分というのも無意味である。内容の伴わない薄っぺらい作品を2時間以上見せ続けられる観客の心理と生理を全く考慮に入れていない。上手く編集すれば85分程度で十分に収まる内容であることに異論を挟む人は皆無であろう。

 いっそ歌謡映画にしてくれた方がよほど楽しめたはずである。まあニュー・イヤーのカウントダウンに合わせて各カジノの様子を風船を使ったクロス・カットで見せていくのは洒落てはいます。「蛍の光」とともに停電させて、金庫の中身をすべて頂いていくというシーンはあっけなさすぎるが、娯楽映画、それもおそらくは年末や正月の映画のようであるのだから良しとしよう。

 ラストシーンのどんでん返しはユニークであり、あっけないものではあるものの許されるエンディングにはなっています。しかし長すぎる。最低30分は編集でカットしていた方がリズムとテンポが生まれて良かったのではないでしょうか。

 しかしまあ監督にルイス・マイルストン、脚本にビリー・ワイルダーが参加し(クレジットはされてません)、デザインにもソウル・バス(『めまい』『七年目の浮気』『ウェスト・サイド・スト-リー』)、女優にもシャーリー・マクレーンを招くなど一流の才能を集めても、ダメなものはダメなんですね。作品を見ている間中、どうも沈滞した雰囲気というか、だらだらした緊張感の無さが伝わってくるようでした。

 シナトラはいったい何がしたかったのだろうか。彼は正真正銘の悪役をやっている時が一番光っています。なんせ地でやれるので、リアリティに溢れているからです。『黄金の腕』『三人の狙撃者』『地上より永遠に』などを見れば、一目瞭然でしょう。

総合評価 45点
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん、こんばんは。
シナトラ一家の記事があったので、TBします。
ドロンのハリウッド時代のラスト作で超マイナー西部劇コメディですが、わりとわたしは好きでオカピーさんも7点もつけてくれていました。
ドロンとマフィアの関係は有名ですし、ボディーガード殺害事件も要因も含めるとこのころです。ディーン・マーティンとの共演から彼とシナトラ一家の繋がりを連想するのですが、早計でしょうかね。
ただ、ドロンは興行と暴力団の関係のあり方もハリウッドで学んだんじゃないかな?と思っています。
では、また。
トム(Tom5k)
2010/09/20 18:42
 こんばんは!
>ドロンとマフィア
シナトラが関わりが深かったのは『ゴッド・ファーザー』などでも有名ですし、キナ臭さというか怪しげな関係を持っていたのも興行というビジネスを考えれば、いたし方なかったのでしょうね。

 美空ひばりと小林旭の仲人もたしか田岡組長でしたしね。切っても切れない腐れ縁なのでしょうし、お互いに旨味があったのでしょうね。

ではまた!
用心棒
2010/09/21 20:55

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