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zoom RSS 『ゴジラの息子』(1967)ゴジラよ、ゴジラよ、ゴジラさん。どうしてあなたの息子はミニラなの?

<<   作成日時 : 2006/09/24 11:21   >>

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 とうとう来るところまで来てしまった感のあるゴジラ映画の第八作目がこの『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』です。思えば遠くへ来たもんだ。水爆実験で復活したゴジラが帝都を暴れ回り、ヒールの大スターとしてデビューしてから12年。

 その間、アンギラスをKOし、キングコングとの邂逅からエンタメ路線に開眼し、モスラとの異種格闘戦を経て、永遠のライバルといえるキングギドラとの宿命の出会いのあと、自らの存在意義を人間のための正義に見い出し、挙句の果てに子供の味方にまで落ちぶれてしまった。

 デビュー当時の悪役ぶりも何処へやらで、悪の権化の肩書きもキングギドラに奪われてしまいました。続編が製作されるたびにその個性が薄められていったゴジラが決定的にアイデンティティを喪失したのが『三大怪獣 地球最大の決戦』でした。

 平和と善を体現するモスラ、悪の権化キングギドラに挟まれたゴジラは右往左往した挙句、ラドンと共に取り残された。そして彼らが選択した道は人間世界を維持する地球怪獣軍の結成、そして「シェーーー!」をしてでも人間世界へとけ込む努力でした。

 子供からは支持を得たが大人からは見放されてしまった。製作側も甘い演出でも通用するはずだとタカをくくったため、作品のクオリティは下がる一方でした。監督も本多猪四郎から福田純に代わり、音楽も伊福部昭から佐藤勝に代わってしまった。円谷英二も名前貸しでクレジットされているだけになりました。

 佐藤勝は才能ある音楽家ですが、『ゴジラの逆襲』で聴かせてくれたような切れのある音ではなく、投げやりで妙に明るい音楽をつけている。子供向け映画であるので、東宝に明るいものを頼まれたのでしょう。オープニング音楽はそれでも期待させるだけのクオリティは持っていましたし、オープニングシークエンスは悪くはありませんでした。しかしそれも長くは続かない。

 そしてついに誕生した、ファンに望まれない大スターの息子がこの映画の主役ミニラです。オープニング映像を見たときはかなり期待できそうな雰囲気が漂っていました。それが全て引っくり返るのが彼の誕生と同時に現れたミニラのあの姿を見てしまった後です。

 あの顔、あの鳴き声、あの放射能火炎、あの音楽をはじめて見たときは呆然としました。あそこまでブサイクなデザインにする必要が何処にあったのだろうか。伝統ある怪獣王ゴジラの息子がお笑い芸人のようなミニラだなんて信じたくはない。

 しかし光る部分もあるはずだと必死に探し続けました。グモンガが土中から出現してくる様子、薄気味悪く動き回る様子はリアルで見応えがある。カマキラス部隊がゴジラと交戦する時にとる十字砲火布陣を思い出させる戦術的な動きなど集中して見ていくと幾つか東宝特撮映画の片鱗を窺わせてくれます。

 ただ哀しいのは彼ら昆虫軍団と対峙した時にゴジラの吐く放射能火炎がまるで夏の定番殺虫剤「キンチョール」に見えて仕方がないことです。何が哀しくてキングコングやキングギドラに向けて放たれた必殺放射能火炎を「虫相手」に使わなければならないのか。

 スタン・ハンセンが若手相手にウェスタン・ラリアットを披露するようなもので技の格を下げてしまうことになる。カマキリやクモだけでよかった。もしゴキブリや蚊まで登場していたとすれば、ゴジラのプライドにとってもさらに救いようのない作品になってしまったかもしれません。

 南の島の書き割りの前で戦わなければならなかったゴジラの寂しさはどのようなものだったのだろう。ゴジラは一着ぐるみではなく、世界に誇る日本映画界最大のスターなのだ。敬意を払って欲しい。

 また前田美波里の伸びやかな肢体と健康的な美しさをフィルムに残せたことは不幸中の幸いとしかいえません。せっかく彼女を出演させられたのだから、もっと出来の良い脚本をつけて欲しかった。

 ミニラの顔って、どうしても宮沢元首相を思い出させます。海部元首相はダメおやじそっくりだったし。

総合評価 22点

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん、こんばんは。
これはリアル・タイムで映画館に行った記憶があります。当時は面白かったですよ。何せゴジラの赤ちゃん、ミニラが可愛いし・・・。家に帰ったら、いつも楽しみにしていた連続アニメ「黄金バット」に間に合わなかったけれど、「ゴジラの息子」が面白かったので、その週、見逃したことに全くこだわりませんでした。映画館で映画を見ることの価値観は、今考えれば、この映画からだったように思います。
ただ、大人になってから再見したときは・・・。
多分、大映のガメラへの対抗路線もあったのでしょうね。
では、また。
トム(Tom5k)
2006/09/25 23:31
 トムさん、こんにちは。
>ゴジラの赤ちゃん、ミニラが可愛いし・・・。
 おそらくこの作品を好きな方と嫌いな方にたいして何故そう思うかと聞いた時に答える理由は両者ともに「ミニラが可愛いから」だと思います。
 可愛いから好きな方と可愛いから嫌いな方に分かれるのではないでしょうか。まるで『ジェダイの復讐(いまは帰還ですね)』に出てくるイウォークをどう思うかで作品の評価が分かれるように。
 なにはともあれ、全てひっくるめてゴジラの看板を掲げられている以上は粘り強く記事にしていきます。ではまた。
用心棒
2006/09/26 08:48
こんばんは。お久し振りです。
カマキラスは「ゴジラの息子」の中で、強烈なインパクトを放っている怪獣ですね。憎たらしいけど、お茶目で可愛い♪というやつでしょうか(笑)。
あの3匹のカマキラスは、兄弟なのか?仲間同士なのか?ともあれ、あの動きを見ていると怪獣同士の会話が聞こえてきそうな程の人間臭さを感じます。
私は特に、最後まで生き残ったカマキラスが、躊躇するミニラに「掛かって来いよ!」と言わんばかりに右手の槍で手招きしているのが最高♪(笑)。あの仕草を見ていると、表情の無いはずのカマキラスが何だか薄ら笑いを浮かべているような気がします。操演だけでここまで命を吹き込むなんて、操演スタッフの技は正に「神技」です。
エビラにしてもガイガンにしてもメガロにしても、何故か仕草がお茶目で怪獣同士の会話が浮かんでしまうのですが、怪獣擬人化は見ていて楽しいですね(賛否両論でしょうけど)。

思えばカマキラスは、ゾルゲル島に人間かミニラ、どちらかさえいなければ生まれる事は無かった存在なんですよね。哀れを誘わないのは、やはり「いじめる」系のキャラクター故でしょうか?

http://homepage3.nifty.com/a-world/
A-chan
2010/11/25 02:48
 こんばんは!おひさしぶりです!
特撮映画はいくつになっても大好きで、今月も大魔神シリーズをついつい書いてしまいました。

この映画で良いなあと思えるのはカマキラスとグモンガでしょうね。ガバラが出てくる夢落ちのヤツとかはなかなか書けないですよ(笑)

ガイガンのデザインは秀逸で、かれがもし早くから、せめて『怪獣大戦争』の次くらいに出てきていれば、特撮怪獣人気ベスト10とかをやってもかなり上位に来ていたのではないかと思い、残念な気持ちになります。

>哀れ
怪獣映画でこの哀れがにじみ出てくるかどうかは重要ですよね。中堅のレスラーみたいな独特の渋みがあるアンギラスみたいなやつはいるだけでも楽しいですね。

ではまた!
用心棒
2010/11/25 19:44
用心棒さんこんばんは。「ブレードランナー」で寄り道をしましたが(笑)ゴジラに復帰です。あさってはシン・ゴジラもテレビ初登場!でもなんで改編期や年末年始にやらず、微妙な?時期に放送するのでしょうか?さて、この映画ミニラの誕生時いきなりカマキラスにいじめられるけど、今なら虐待だの言われるんでしょうね。カマキラスやクモンガは生物がそのまま巨大化したから手抜きと言う人もいますが生物が巨大化したのは怪獣の原点だと思います!キングコングだってそうですよね!
さすらいの映画人
2017/11/10 19:46
こんばんは!

ぼくはブレードランナーのマニアではありませんが、10代のころの思い出の映画の続編ですので、格別な思いはあります。観に行った人もまだ観に行っていない人も気になる作品でしょうね。

>手抜き
巨大化させたのを手抜きと言われてしまうとハリーハウゼンはほとんど手抜き扱いになってしまいますねww

>今なら
親がうるさい、マスゴミがうるさい、クレーマーがうるさい嫌な世の中ですね。

ではまた!
用心棒
2017/11/10 23:48

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