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zoom RSS 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)東宝は一体何が撮りたかったんだ?

<<   作成日時 : 2006/09/21 00:00   >>

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 興行収入を抜きに考えた時、はたしてこの作品にゴジラとモスラが登場しなければいけない必要性を認めることが出来ません。ゴジラとエビラの戦いはまったく噛み合わず、モスラに至っては友情出演程度のものであり、タイトルに出てくるような「決闘」シーンは皆無です。

 監督は福田純、音楽は佐藤勝、そして極め付けが小美人もザ・ピーナッツではなく、ペアバンビ?という謎の女性二人組(可愛くない!)に交代しているのです。しかも物語のスタートが恐山から始まるという訳の分からなさも重なり、ゴジラ映画ファンにとってはまさに違和感のオンパレードとなってしまったのがこの『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』なのです。

 特撮も円谷英二の名がクレジットされてはいるものの明らかに名前を貸しているだけという感が否めない。実際にこの作品での合成画面の貧弱さは救いようがない。特に酷いのが小美人の出演するシーンです。

 背景と人物の周りの色彩と色調がまったく合っていない別々のフィルムの一方の端の部分を円形にくり貫ぬき、もう一方のフィルムを重ね合わせ、あたかも同位置空間上にいるように合成しているのですが、あまりにも幼稚でチャチな仕上がりに幻滅してしまいます。

 小美人たちと人間が話す会話シーンはほとんどが別々に撮られて、それをカットバックで繋いでいます。彼らが共に映るシーンでは小美人たちを合成ではなく、人形を使って撮影するような貧弱さでした。一方が話すともう一方は無口になってしまうのです。

 せめてハリーハウゼンが『ガリバーの大冒険』で用いたような遠近感を利用して撮影するような方法を採るべきでした。お金がなくとも、ある程度の手間ひまと愛情を注げば、温かいファンの鑑賞に耐える作品には仕上げられるはずなのです。

 あまりにも安易過ぎる。こんなに酷いものにゴジラの看板を掛けてしまった東宝にも大きな責任があります。もともとキングコングを使用して撮るはずだったという事情があったにせよ、出来は悪く、投げやりな印象があります。

 内容も壊滅的で、ゴジラに加山雄三の真似をさせたり、体育座りをさせたりと悪夢のような映像が次々に出てきます。ゴジラとエビラのドッジボールやサッカーを見たかった人がいるのだろうか。

 そもそもエビラの造形と設定がひどすぎる。最初の登場時に大嵐の中で、ハサミだけを突き出し、人間を襲うまでは良かったのですが、同じネタを二度三度と繰り返す様は売れない芸人か必殺技のないレスラーみたいで見苦しい。

 海から一度も陸に上がらず、ただ石の投げあいに終始するというチャレンジャー精神もサービス精神も全く無いエビラにゴジラと戦う資格はない。リングに上がってこない奴と試合は出来ません。

 業を煮やしたゴジラがリング外に(海中)飛び降り、エビラの誘いに乗っていきますが、ここでもエビラの出来る事は切れ味のひどく悪いハサミでゴジラをつまむ程度でした。しかもあっけなくハサミを両方とも引き千切られ、ゴジラの餌になってしまう体たらくです。せっかく今回のゴジラは別名「海ゴジラ」と呼ばれる特殊仕様のスーツだったのに白熱の戦いもなく終わってしまい、なんとも勿体無い限りです。

 ハサミの部分の肉って、タラバ蟹などでは結構いけますので、さぞ美味しかったのでしょう。本体は逃げてしまったのでイセエビの活け作りに舌鼓を打つシーンは幻に終わりました。ここまでゴジラのイメージをぶち壊したのですから、やっても良かったのではないだろうか。

 今回はもう一匹というかもう一羽の敵が現れます。それは大鷲で、生意気にもゴジラを突きにきますが、あっけなく放射能火炎を浴びせられ、フライドチキンになってしまいました。この作品でのゴジラはご馳走ばかりの御もてなしに満足したことでしょう。まるで「ゴジラの食いしん坊万歳」の収録を見る思いでした。

 この映画の中のゴジラは寝ていたのを無理やり電気ショックの目覚ましで起こされ、相手にもならない、餌と言っても良い奴らと戦うだけという不完全燃焼状態で、最後に出てきたモスラとも戦えない。モスラはただ人間を運ぶだけのエアバスという役割を嫌がりもせず、淡々とこなしていました。

 唯一嬉しいのは水野久美の南国衣装姿、そして宝田明と平田昭彦の共演くらいでしょうか。南海の孤島という設定ならば、複雑な街並みのミニチュア模型も必要ないのでリアリティの追求を考えなくて良いので、さぞ楽なお仕事だったと思います。

 ああ寒い。つぎはいよいよミニラの登場か....。エド・ウッド監督の域にどんどん近づいていくのはつらい。

総合評価 35点

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
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2006/09/23 10:32
ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘 07157
ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘Big Duel in the North Sea 1966年   福田純 監督  円谷英二 特技監督  田中友幸 制作  佐藤勝 音楽宝田明 水野久美 平田昭彦 田崎潤 砂塚秀夫 当銀長太郎 伊吹徹 渡辺徹 ペア・バンビ 本多猪四郎&nbsp;監督以... ...続きを見る
猫姫じゃ
2007/07/29 15:30
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)
大映は『ガメラ』と『大魔神』、東映も『海底大戦争』や『ワタリ』、『黄金バット』で特撮メインの作品を送り出し、TVでは『ウルトラQ』、『マグマ大使』、『ウルトラマン』が大活躍!という<怪獣ブーム>真っ只中に作られた作品。 「ゴジラ」物としては7本目となるが、一方で『フランケンシュタイン対地底怪獣』や『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のようなアダルト・テイストの怪獣映画も作っていたので、差別化を図るためなのかガラッと路線変更。監督は福田純に、音楽は佐藤勝に、それに特技監督も実質的には有... ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2007/08/18 10:15

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん、これは、わたしが小学生のころ、東宝チャンピオンまつりで「ゴジラ対エビラ」(違ったかなあ?)という題名でリバイバル上映していた記憶があります。
残念ながら、わたしは東映マンガまつり(「動物宝島」か「家なき子」か「空飛ぶ幽霊船」のどれか)を観にいったため、こちらは見逃しています。また、ビデオ等での再見もしておらず、何ともコメントしようがないのですが、恐らく、スタッフは、この前後の「サンダ対ガイラ」と「キングコングの逆襲」にエネルギーを注ぐことに集中していたのかもしれません。しかしゴジラは作らなければならない、という定番ノルマは課せられていたのでしょうね。そして、とうとう、やっつけ仕事にならざるをえなかったのではないでしょうか?

では、また。
トム(Tom5k)
2006/09/23 00:33
確かにこの映画は、子供であった僕もがっかりしました。僕もキンクコング対ゴジラが映画館で見た最初の映画であったように思います。それから始まって、地球最大の決戦、怪獣大戦争までは、確かに面白かった。又それ以前に、キングコングは、TVで見ていてコングの応援をしていたように思います。でもゴジラは日本、コングはアメリカの気配(?)がして子供心に複雑であったような記憶があります。また、この頃若大将との3本立てで、キンゴジは、南太平洋の若大将とエレキの若大将の3本立てでした(田舎でしたから)。それ以降、若大将にもはまってしまいました。前田びばり(?)の大ファンにもなってしまい。彼女が、マイク真木と結婚してショックだったもんです。あの3本立ては、強烈に自分の人生を変えた作品かも知れません。何せ大学に入りアメフトに何のこだわりもなく入ってしまいました。えらい目にその後あうことになったもんですから。
それから、後年気づくのですが、僕は田沼雄一のファンであって加山雄三のファンでは、無かったのでした。とりとめもなくすいません。
五十朗
2006/09/23 04:41
 トムさん、こんばんは。
『ゴジラ対エビラ』というタイトルが付けられていたんですか?
 対決ムードを煽っているにもかかわらず、実際にはドッジボールと水中での掴み合いに終始した対決シーンにはげんなりしました。
 >前後の「サンダ対ガイラ」と「キングコングの逆襲」にエネルギーを注ぐことに集中
 まさにその通りでしょうね。仮に当初の通りに『キングコング対エビラ』で押し切っていれば名作『キングコングの逆襲』が生まれなかったかもしれないと思えば、ゴジラには涙を呑んでエビラと一戦交えていただかねばならなかったのかもしれません。
 興行地(南海の孤島 何島だったっけ?)が既にブッキングされ、対戦相手が待っているのに誰も行かないわけにはいきませんので、しかたなくかの地へ行ったんでしょうね。
 待遇を気に入らないためか、ふて寝しているゴジラに哀愁を感じました。ではまた。
用心棒
2006/09/23 20:21
 五十朗さん、はじめまして。コメントを有り難うございました。
 この作品あたりから坂道を転がるようにゴジラ大恐慌時代の幕が開きました。
 子供向け映画と知人や友達に後ろ指を指されるきっかけを作ったこの作品、そしてその後の昭和シリーズには恨みがかなりあります。
 大人の鑑賞に耐えられてこそ、はじめて子供も喜ぶ傑作怪獣映画になることを東宝も脚本家も未だに気づいていないようです。
 ゴジラの尻尾を切り取るようなライバルが現れてこそはじめてゴジラは機能するのです。でっかいトカゲなんだから尻尾が切れたって再生するんです。
 加山雄三出演作では黒澤監督の『赤ひげ』が大好きです。若大将シリーズもずいぶん昔に見たっきりでその後はずいぶんご無沙汰しております。見ていて楽しかった思い出があります。前田美波里さんも綺麗でしたね。『ゴジラの息子』にも出演していました。
 今後ともよろしくお願いいたします。
ではまた。
用心棒
2006/09/23 20:35
こんにちは!いつもありがとうございます!
とってつけたような怪獣、、、でもあたしは、変に良かったです。
そか、、、これ最初は、キングコングだったのですな?それだとよくわかる。水野さんに惚れるんですね。
いぁ、今回のゴジラ、かわいかったです。
五十朗さんのコメ、
>田沼雄一のファンであって加山雄三のファンでは、無かったのでした
あたしもそうです!!今気づきました。
猫姫少佐現品限り
2007/07/29 15:46
 姫様、こんばんは。
 エビラって、名前から投げやりですよね。スチール写真だけを見ていると、どんな技を持っているのだろうとか期待しましたが、酷かったですな。まるで鳴り物入りの大リーガーがまったく活躍できずに帰っていくのを思い浮かべました。
 キャラに惚れるのと俳優に惚れるのは違いますものね。僕も『隠し砦の三悪人』の主演女優である上原美佐が大好きなのですが、他の作品での彼女にはがっかりさせられました。「その」作品で「姫様」役をしている彼女が好きだったのでしょう。ではまた。
用心棒
2007/07/30 02:41
「しあわせだな〜」ってやったり
そのあとダンスしてたのは可愛かったo(^-^)o

最高の作品ですね

2009/07/06 15:16
 コメディだと割り切って見ていけば、まあまあ、腹も立たないのでしょうけど、ゴジラという看板を掲げるのであれば…

 というふうに思ってしまいました。
用心棒
2009/07/06 18:21

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