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zoom RSS 『黒いジャガー』(1971)黒人の、黒人による、黒人のために作られた映画。カッコイイ!

<<   作成日時 : 2006/08/28 10:59   >>

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 「オブ・ザ・ブラック!バイ・ザ・ブラック!フォー・ザ・ブラック!」とマルコムXの声が聞こえてきそうなブラザー探偵映画こそが『黒いジャガー』です。本名は『シャフト』ですね。しかし映画にしろ、ポップ・ミュージックにしろ邦題って、なんであんなへんてこな題名ばかり付いているんだろう?販売会議で決める時に、誰ひとりとして、「それじゃまずいよ」と言えなかったんだろうかという題名も少なくない。

 まあ『ミッション・インポッシブル』を『スパイ大作戦』、ビートルズの『ア・ハード・デイズ・ナイト』を『ビートルズがやってくる!ヤア!ヤア!ヤア!』と勝手に名付けてしまう日本の映画会社やレコード会社の宣伝部にしたら、「しゃふと?なんだそりゃ?」「ジャガーがいい!出てるのも黒人スターばっかりなら、黒いジャガーでいいじゃねえか!」などという会話をしていたに違いない。

 個人的には邦題作成には反対です。外国人と話す機会も増えてきている現状において、邦題は相互理解を妨げる一因になってしまう。もちろん『突然炎のごとく』、『勝手にしやがれ』、『遊星からの物体]』、『太陽はひとりぼっち』などのようにピタリとはまるものもありますが、誤解を招くようなタイトルも多い。

 『スター・ウォーズ』しかりで、もともと『Return of the Jedi』の「Return」は戻るという意味なので、「復讐」ではおかしいし、意味不明な邦題でした。「帰還」の方が意味が通るとずっと思い続けていました。実際に昔録ったビデオのタイトルには『ジェダイの帰還』と書いていました。

 そしてDVDがレンタル店に並んでいるのを見ると、いつのまにか表記が「帰還」に変わっているのにはびっくりしました。限定生産でトリロジー・ボックスを買った時、再度ラストシーンが改竄されていたショックで、「帰還」の文字を見逃していたのかもしれません。

 だいぶ脱線しましたが、邦題というのは下手なものをつけてしまうと、一生その作品に変なイメージを植え付けてしまうので、映画会社には襟を正して、タイトルを命名して欲しい。名前って結構大事だと思います。

 さてそれでは『黒いジャガー』はどのような作品だったのだろうか。邦題としてはまあまあ「名は体を表す」にはなっているので、ましな方でしょう。しかしサミュエル・L・ジャクソン主演でリメイクされたときには、ただ『シャフト』と名付けられていました。

いかにもチープで、インディペンデント系にありがちなB級テイストが充満しているこの作品を見ると、これの何処が良いんだろうと思う方も多数おられるかもしれません。しかし黒人の地位向上を求めていく流れの中で、重要な意味を持つ作品でもあるのです。

 『夜の大捜査線』や『手錠のままの脱獄(このブログでも記事にしております)』で、黒人俳優の地位向上に大きく貢献したのはシドニー・ポワチエでしたが、彼は常に差別との戦いの最前線にも立っているような悲壮さが画面からも伝わってきます。

 それに対して、この映画がポワチエのものと大きく違うのは娯楽映画に徹している点です。ポワチエの映画を観に行った人は心底楽しめないのではないでしょうか。「楽しめる」というもっとも大切な一点で、この映画の大きな意義がある。

 白人達がB級ギャング映画やアクション映画を楽しむノリで、黒人たちが観ることのできる「ブラザー映画?」の誕生のきっかけとなったのがこの映画と『スウィート・スウィート・バック』だったのではないだろうか。

 構図がスカスカだとか、テクニックを感じないとか意見はあるかもしれません。それでもこの二本の映画には白人たちの映画にはない抑えつけられてきたものたちが溜め込んでいたパワーの発散を感じます。

 シャフトらが人質奪還作戦を遂行するホテルの真っ赤にペイントされた廊下を見たときに、真っ先に思い出したのが鈴木清順監督の日活時代の何本かの映画でした。B級といわれようが、自分達が納得できるものを送り出したいという気魄は日米を問わないのでしょう。

 音楽は黒人独特のカッコよいリズムとコーラスで歌われるオープニング・テーマがとても印象に残ります。裏道を歩まざるを得なかった黒人たちが、映画界で大手を振って表通りに繰り出していく記念すべき一本です。監督を務めたゴードン・パークス、主役のリチャード・ラウンドツリーなど主要スタッフは全て黒人で、白人は恐ろしいほど存在感がない。

 ストーリー自体はグダグダですが、熱意は素晴らしい。まあ見てください。雰囲気を楽しめれば、それで十分だと思います。娯楽作品なんですからゴチャゴチャ言わないという鑑賞態度で接しましょう。その後、二本の続編も製作されるほどの人気シリーズとなりました。

総合評価 61点

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スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
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DVDを見つくせ!
2006/09/03 00:05
黒いジャガー
マフィアに娘を誘拐されたハーレムのボスから、娘の救出を依頼された私立探偵の活躍を描いた作品。出演はリチャード・ラウンドツリー、グエン・ミッチェルほか。 ...続きを見る
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2007/02/14 19:29

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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
私も「マルコムX」を観ました。
虐げるものと、虐げられるもの。権力との闘争、宗教対立、いろいろ考えさせられました。
http://blog.livedoor.jp/tarotohachinosu/
ドキン
2006/10/16 04:36
 ドキンさん、はじめまして。コメントを有り難うございます。
 人種対立の根深さというテーマは日本ではあまりなじみがないと言うか、身近なテーマではないのかもしれません。
 しかし20年前には年に数回も見なかった外国人達を今では毎日のように田舎町でも見るようになりました。
 わが国では老後問題とともに「これからの問題」としてクロースアップされてくるのでしょうね。ではまた。
用心棒
2006/10/16 11:48
この映画。一度見ましたが、既に忘却の彼方です・・・
今GoogleやGoogle画像で検索しました。
用心棒さんが仰るように「黒人の、黒人による、黒人のために作られた映画」と言う映画ですね。
所謂ブラック・パワー・ムービー
主役のリチャード・ラウンドトゥリーは「セブン」にも出ています。

>「十二人の怒れる男」
>密室劇になりますが、ルメットのカメラワークの工夫が映画にしています。

まさに名作です
蟷螂の斧
2017/01/22 22:26
こんばんは!

ぼくらが見たことのあるブラック映画はこの『黒いジャガー』がはじめてでしょうが、歴史に葬られた黒人製作映画も当然あったはずですね。住むところや遊びに行くところも別々だったでしょうし、映画館で掛かる映画も白人向けと黒人向けで違ったはずです。今となってはどういう作品があったのかも不明ですが、いろいろ見たいですね。

>ルメット
地味ですが、職人監督らしい良作が多いですね。

ではまた!
用心棒
2017/01/23 00:51
「黒帯ドラゴン」を見た事がありますか?
「燃えよドラゴン」に出演したジム・ケリー主演
監督は同じくロバート・クローズ

>歴史に葬られた黒人製作映画

そう言う映画があるんですか?見たいです。

>職人監督らしい良作

それって大事な事です
蟷螂の斧
2017/01/26 19:55
こんばんは!
>黒帯
う〜む、見たことないですねえww

マカロニのジャンゴ、荒野と同じく、カンフー映画でのドラゴンがタイトルにつく映画はあまりにも多く、記憶が定かでないのがかなりありますww

50年代までの黒人専用映画館ではハリウッド映画以外に黒人映画も多々あったそうなのですが、伝わってこないということは管理状態が悪かったりしてあまり残っていないのか、ハリウッドの商売に差し支えるからでしょうかね。

当時の映画がDVD化されたり、名画座で集中上映されたなら、しっかりと観に行きたいと思っています。
ではまた!
用心棒
2017/01/26 23:39
>マカロニのジャンゴ、荒野

「荒野」「真昼」「ガンマン」「用心棒」・・・etc.これらを組み合わせた邦題が多かったです

>伝わってこないということは管理状態が悪かった

残念な話です
邦画でも残ってないものが結構あるらしいです

>しっかりと観に行きたい

用心棒さん。前向きですねー

>『勝手にしやがれ』

良い邦題ですそして同名の昭和の大ヒット曲もありました
行ったきりなら 幸せになるがいい〜戻る気になりゃいつでもおいでよ〜
蟷螂の斧
2017/01/29 19:20
こんばんは!
>組み合わせた 真昼の用心棒対荒野のガンマンとか、真昼のガンマン対荒野の用心棒とか、真昼のジャンゴ、ジャンゴは用心棒とか適当にタイトルを付けられますねwww

>勝手
ジュリーですね。なつかしいなあ。小学生の時、この曲でレコ大を取った時に彼が泣きながら歌っていたのが印象的でした。『6番目の憂鬱』『背中まで45分』くらいまではヒットチャートに出てきていましたが、その後はパタッと売れなくなりましたね。

ではまた!
用心棒
2017/01/30 00:20
用心棒さん、こんばんわ。休暇は順調に消化されてますでしょうか。
黒人映画の系譜、未見ながら興味深く思いました。
「ソルジャーブルー」(反白人)や「シルクウッド」(反原発)等ハリウッドのコード規制以前の作品が封印されたのと同じ系譜なのかな、と。
もっとも反トランプを唱える米映画界には、「それなら黒人やインディアンそして日本人の真の歴史の映画を制作公開してみやがれ」と申したくはありますが。
ジュリー、ドリフの8時だよ、を思い出します。ドリフの映画ともども懐かしいですね。
さて、Wikiによるとジュリーの絶頂期は次の通りです。
「ソロとしてのシングル総売上は1,239万枚(1982 - 1991年の9年間は歴代1位の座を保つ。「オリコン」調べ。1982年「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」ヒット中に歴代1位になった。)」
用心棒サンが仰るとおりの時期にフェードアウトした模様ですが、それは彼の創作態度にあったようです。
「1992年から、「懐メロ歌手ではない現役の歌手だから」という理由で、沢田は音楽番組での過去の映像の放映を許可しなくなる(2001年以降は解禁している)。」
こういう気概の歌い手はジャニーズ全盛の現代を生きることは難しいのでしょうかね。
「アンタの時代は終わった(良かった)〜♪」と替え歌など唸りたくなります。お粗末。
きやらはん
2017/01/30 20:57
こんばんは!

小学生時代、ジュリーは大人気でいつも新曲を楽しみにしていましたよww

ぼくらはベストテンやドリフで育ちましたので、当然彼の歌を聴くのも見るにもこれらの番組でした。

『TOKIO』のパラシュート衣装や曲は何だったかは忘れましたけどカラーコンタクトを入れた不気味な風体で歌っていたのも忘れられません。

『カサブランカ・ダンディ』もカッコよかったですねえ。ハットを被った『勝手にしやがれ』、サージェント・ペパーズみたいな『6番目のユウウツ』も覚えています。

>フェードアウト
歌がだんだん前ほどに話題にならなくなっていくきっかけになったのは『魔界転生』だとまことしやかに語られていた時期もありましたよ。何で映画の劇中に霊が写っているとかスポーツ新聞で読んだことがありますww

最近はコンサートで歌詞を忘れてしまうなどでニュースに出ていましたが、ファン目線でいえば、彼が動くだけでいいじゃんと思いますよww

ではまた!
用心棒
2017/01/30 21:46
>『6番目の憂鬱』

イントロからして衝撃的でした。「I Don't your love at all,love at all,love at all」
そしてサビ「毎日 僕 眠れない やるせない」「ハッハッハッ

>トランプ大統領

「黒人の、黒人による、黒人のために作られた映画」は、どうなるか?
しかし、商売人のトランプ。経済効果を考えるのかな?
蟷螂の斧
2017/02/04 06:20
こんばんは!

>イントロ
彼の曲って売れるのはもちろんですが、斬新で新曲が楽しみでした。

>トランプ
毎日メディアが騒いでいますが、だんだん「またなんかアホナこと言ってる…」と無視されるようになればいいのですけどね。

アメリカ製を買えと言っていますが、人件費が高いものは売価も高くなるのは当たり前ですし、関税をかけるとアメリカ人が買い物するものも高くなるわけですから、貧乏な庶民が現実に気づき、4年で終わるのが最良かもしれないですね。

ではまた!
用心棒
2017/02/04 19:22
>斬新で新曲が楽しみでした。

「麗人」も良かったです。「結婚と言う言葉はタブーにしよう」ひょうきん族で西川のりおも歌っていましたね

>アメリカ製を買え

彼は中国を批判したがる。だけどアメリカ製品の部品は中国で安価で作ってもらっている

>4年で終わるのが最良

案外8年かも?
蟷螂の斧
2017/02/05 07:03
こんばんは!

ジュリーはいつもカッコよかったですね。のりおがジュリー役でしたっけ。片岡鶴太郎がマッチでしたね。

先日、BSで80年代から90年代にかけてのトランプのドキュメンタリーをやっていましたけど、あまりにもひどくて驚きました。悪逆非道、我利我利亡者ぶりを全面展開していて、他人はどうでもいいというのがはっきりと出ていて、背筋が凍るほどの非道ぶりでしたよ。

あんなのを大統領にしてはいかんでしょう。

ではまた!
用心棒
2017/02/06 00:21
>ジュリーはいつもカッコよかったですね。

「お前にチェックイン」も良かったです1982年5月1日発売。イントロの「チュルルル!チュルルル!ヤッ!」が面白い
そして未だに僕が思い出すことがあります。書店に行ったら、あの曲が流れていたすると若い夫婦がいる。奥さん(お腹が随分大きい)が「Hold me tight!Hold me tight!」の部分を一緒に口ずさんでいる本当に幸せそう
あの夫婦は今でも仲良しかな?生まれた子供はもう34歳。立派な社会人になってるかな?そんな事を思います

>あんなのを大統領にしてはいかんでしょう。

彼は火薬庫です
蟷螂の斧
2017/02/06 20:34
こんばんは!

曲名は忘れましたが、ジュリーが酒瓶をグイッとやってからギタリストかだれかに吹きかけるというちょっと汚いパフォーマンスがあったのを覚えていますww

>チェックイン
一晩中がハネムーンみた〜いさ〜!
アダムとイヴは今愛し合ってる〜♪でしたっけ?
その夫婦はまだハネムーンだったんでしょうねww

>火薬庫
最後は自爆するか、放火されるか?
なんか恐いですね。

ではまた!
用心棒
2017/02/06 22:33
用心棒さん、こんばんわ。
そういえば沢田研二殿、映画「ヒルコ」にも主役で出演されておられましたね。
「魔界転生」の心霊現象?は詳しくないのですが、彼は怪奇映画に好かれるのですかね。
何処かの単館ででも「ジュリー映画まつり」とか催してもらえないかな〜と願ってしまいます。
きやらはん
2017/02/07 21:09
こんばんは!

>ジュリー映画
ローリングストーンズを日本に呼ぼうとした『太陽を盗んだ男』、宮本武蔵まで悪霊にしてしまう『魔界転生』、ジャケットからして恐かった『ヒルコ』など話題作に出ていましたね。ついでにタイガース時代の映画も上映すれば楽しいでしょうね。

ではまた!
用心棒
2017/02/08 00:19
>ジュリーが酒瓶をグイッとやってから

「カサブランカ・ダンディ」でしょう?
聞き分けのない女の頬を一つ二つ張り倒して〜」

>アダムとイヴは今愛し合ってる〜♪

当時ハネムーンだったその夫婦。10年後には倦怠期?でも今は仲が良い老夫婦である事を祈っております

>最後は自爆するか、放火されるか?

入国禁止。やり過ぎだって〜の

>『太陽を盗んだ男』
>ローリングストーンズを日本に呼ぼうとした

すごい発想です
蟷螂の斧
2017/02/08 20:14
こんばんは!

昔のスターは歌だけではなく俳優としてもカッコ良かったですね。

>入国禁止
阻止されるかどうかは司法判断次第ですが、共和党系が増えると今後保守的というか閉鎖的な判断しか出てこないかもしれませんね。

ではまた!
用心棒
2017/02/08 23:55

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『黒いジャガー』(1971)黒人の、黒人による、黒人のために作られた映画。カッコイイ! 良い映画を褒める会。/BIGLOBEウェブリブログ
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