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zoom RSS 『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965) 人間が怪獣と戦うとこうなるんですね!

<<   作成日時 : 2006/05/10 20:55   >>

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 最近、自分のブログ更新記事を眺めていると、ほとんど音楽映画と怪獣映画しか扱っていない事に気付きました。現在の興味の対象がそっち方面に向いているので仕方がないと言えば仕方ないのですが、このままではそれ専門になってしまうかもしれません。

 新作評なんて、他に誰でもやってくれる人がいますので、こちらは新旧に関係なく、まずスポットを浴びる事などないであろう作品に光を当てていこうかと思っています。ジャンルは関係ありません。

 特撮はもちろんですが、いまの若いファンには振り返られる事も無く、そのまま忘れられようとしている巨匠達の作品群とB級特撮作品を交互に振り返っていくつもりです。

 溝口健二監督、フリッツ・ラング監督、エルンスト・ルビッチ監督、アンドレイ・タルコフスキー監督、山中貞雄監督、そしてD・W・グリフィス監督の作品群をしっかり書いていこうと思っています。

 ただし堅苦しい物ばかりではこちらも疲れるので、エド・ウッド監督作品、『ピンク・フラミンゴ』、ホドロフスキー監督作品、そしてレンタル巡りをして最もくだらなそうな作品をピックアップしてお伝えできれば良いかなと思います。

 で、今回もやっぱり特撮物です。「フランケンシュタイン」という名前はホラーファン、そして怪物映画ファン、もしかしたら「怪物くん」ファンには忘れられない強いインパクトを持っています。

 こういうのを見る度に、「フランケンシュタイン」は「怪物」ではなくて「博士なんだ!」と何度も心の中で叫ぶのがフランケン物の常です。

 今回の設定は実は割とイケテいるんです。メアリー・シェリー女史の「メ」の字もこの作品世界には出てきません。一応、フランケンシュタインの出身はドイツのほうだというぼんやりとした情報だけがもたらされるのですが、ほとんど原作は関係ありません。

 フランケンシュタインの怪物は実はナチスの生物兵器であるという、今まで一度も聞いたことのない説を高島忠夫(マッド・サイエンティスト役)とともに東宝が唱えます。

 ちなみに「キング・コング」という商標はRKOの金看板だったため、メカニ・コングと戦う『キング・コングの逆襲』ではわざわざオープニングでことわりの字幕を入れているほどだったのですが、ここではいっさい「フランケンシュタイン」について何の断りも入れていない。

 なのに、なぜさらに権利関係がうるさい「フランケンシュタイン」物をやりたい放題の設定で塗り固めて、好き放題に撮影されたこの作品に、こうもすんなりと何事もなかったかのように上映されたのか事情が分かりません。

 もしかしてまったく認可を受けていなかったりすると、販売中止とかになってしまうんでしょうか。それともメアリー・サイドがアジア地域での著作権とか取っていなかったんでしょうか。こちらのほうがミステリーですね。

 確かこの映画、海外でも一部の地域で上映されたはずなのですが、何のトラブルも無かったのが不思議です。まさか権利にはうるさいであろうはずのイギリス人が黙っているはずはないでしょうから、きっと東宝の偉いさんと向こうの権利者の間で、話し合いでも持たれたんでしょう。たぶん。

 ここにでてくるフランケン(以下本家と区別するため、こう呼びます)は成長すると、身長が20メートルを超える怪物になり、本家のボリスと戦っても100パーセント、勝利を収めてくれるでしょう。餌が凄く、兎や牛を生のまま喰らうという野蛮さを見せ、観客を引かせてくれます。

 でっかいゾンビみたいで、『フランケンシュタイン』のボリスのような哀愁は皆無です。『フランケンシュタイン』のファンとしてはこのへんの描写が残念でした。もの哀しく、何故自分は生きなければならないのか、何故生かされてしまったのかという根源の問いのない、この東宝ビッグ・フランケンは怪獣映画の副作用のような存在でした。

 このフランケン役を務めた人がまた貧相で、筋骨隆々とは程遠く、思い切り日本人で、でっかく見えず、なぜこんなひとをわざわざ主役にしたのかさっぱり訳が分かりません。ゴジラがマンネリ化していたから、はけ口に使ったのでしょうが、人間が怪獣と対戦するというのはあまりにもふざけていて、まるで夢の中で、子供がヒーローになって、キングギドラを倒しているのと大差ない。

 何故か巨大化するフランケンと何故か出現するバラゴンが、何故か富士山のそばで偶然出会い、戦いだす。これははっきりいって『天才バカボン』の世界なのです。フランケンは人間が巨大化して、原始人の衣装を着けただけで武器はない。相手のバラゴンは光線を吐くのですが、当たらないし、当たっても効かない。

 フランケンの攻撃もバカボン並みで、石を投げる、木を投げる、火で脅す、後ろに回って乗っかるなど意味不明の攻撃を仕掛け続けます。バラゴンも相当のバカもんで、彼に終始付き合い続けます。

 ただこの戦闘シーンで山火事になり、火事をバックにして戦闘が行われるのですが、この後方は火事、前方は戦闘というこのシーンはとても美しく撮られていて、見所といえるかもしれません。落城していくお城の中で戦っているという感じに似ています。

 最終的には『プライド』のような首への攻撃(ネック・ブリーカー)でバラゴンをKOして終了かと思いきや、何故か「オオダコ」が富士五湖のいずこからか出現し、フランケンと対戦します。このときの台詞がまた素晴らしい。(高島)「ありゃ、なんだ?」 (アダムス)「タコじゃないか?」

 富士五湖って、「湖」じゃんと思う暇もなく、キングコングが戦ったように彼も戦いますが、蛸の寝技にあい、あっけなく湖に引きずり込まれます。

 この映画の凄いのはここからで、主人公の生死すら分からない状況なのに、自衛隊はもう二人ともいないからいいや、とばかり「撤収!」と叫び、全員さっさと引き上げてしまいます。ヒロインを務めた水野久美さまも特に何事もなかったようにコメントも冴えません。

 そのあと「終」の文字とともに、山火事のアップで本当に終わってしまいます。なんなんだろう、これ。本当に「撤収」してしまいました。ドリフの「後半」のようないい加減さに笑いが出ます。

 見所といえば、前述した戦闘シーンの他に、俳優陣の豪華さを挙げることができます。水野久美、志村喬、藤田進、土屋嘉男、小杉義男、沢村いき雄、ニック・アダムスらが主戦級、端役にちりばめられているのです。さすがは本田猪四郎監督ですね。

総合評価 56点
 
<ASIN:B00005NYSN>フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)</ASIN>

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フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) ( 1965 / 日本 )
怪獣ものと侮ってはいけません。とにかくシナリオが最高! 内容は SF・ミステリーで、とにかくよく書けてる。 東宝特撮作品の中でも評価が高く ファンも多い作品だそうですが、なるほど見れば納得させられます。 一見の価値ありですね ! ...続きを見る
くんだらの部屋
2006/08/20 18:36
フランケンシュタイン対地底怪獣〜午前三時の独り言
フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)(1965)、何を隠そう僕が高校時代まで、小さい頃みたゴジラ系の児童書でのフランケンシュタイン怖さが忘れられず{/face_acha/}、またレンタルビデオショップにもおいてないので、ふれることがなかった作品だ。ただ僕が小さい頃に楽しませてもらった作品を、今度は僕がつくろうといっちょまえに画策し、元彼女の行動範囲の広さも手助けし、大阪の都会のでっかいレンタルビデオショップに通って、東宝特撮作品のすべてを観ることができた。{/kaeru_thank/} ...続きを見る
長江将史〜てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ
2006/12/28 00:14
私のトラウマは怪獣映画だったのか…
私ちゃととは、ホラー映画が苦手と常々申し上げておりますが、その原点は幼い頃に映画館で観たフランケンシュタインなのでした。 ...続きを見る
シネマるマンガぁ?byちゃとと
2007/01/23 16:23
フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) (昭和40年・1965)
フランケンシュタイン 対 地底怪獣本多猪四郎 ニック・アダムス 高島忠夫 東宝 2007-01-26 恐怖の怪人か?凶悪の新怪獣か?日米合作の黄金娯楽巨編! 心技体揃う怪獣映画の最高峰を心して見よ!... ...続きを見る
Godzilla and Other A...
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フランケンシュタイン対地底怪獣 - Frankenstein Conquers The World
フランケンシュタイン 対 地底怪獣本多猪四郎 ニック・アダムス 高島忠夫 東宝 2007-01-26恐怖の怪人か?凶悪の新怪獣か?日米合作の黄金娯楽巨編! 心技体揃う怪獣映画の最高峰を心して見よ! ...続きを見る
OOH LA LA - my favor...
2007/01/26 21:52
フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) 07117
フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)Furankenshutain tai chitei kaij&ucirc; Baragon 1965年   本多猪四郎 監督  円谷英二 特技監督  田中友幸 制作  伊福部昭 音楽高島忠夫 ニック アダムス 水野久美 土屋嘉男 田崎潤 藤田進 志村喬 中村... ...続きを見る
猫姫じゃ
2007/05/19 00:18
ビデオ 「フランケンシュタイン対地底怪獣」
レンタルDVDが無かったのでビデオで借りる。{/hiyo_en2/} ...続きを見る
Mr.Bation
2007/05/19 20:37

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
用心棒さん
モンスターシリーズの連続書き込みをお許しください。
この作品はもっと正確に言うと『フランケンシュタイン博士の創ったモンスターを演じたボリス・カーロフ対地底怪獣』ではないでしょうか?
この作品の凄さは、原爆投下で行方不明になったフランケンシュタインの心臓が再生し巨大化するというクローン人間的プロットを、すでにその当時に取り入れた内容であることです。また、あの大ダコ(淡水ダコです)のラストシーンは海外バージョンだそうですよ。
しかし、用心棒さん、単一作品でのレビューにされたことから察するところ、また大切な作品をお忘れですね。
『〜フランケンシュタインの怪獣〜サンダ対ガイラ』です。
冒頭のシーンは不自然にもサンダ(ガイラ?)と淡水ダコとの闘いから始まり、後日、山のフランケンシュタインと海のフランケンシュタインの兄弟(どっちがサンダでどっちがガイラかまでは知りませんが)が闘うという日本神話を取り入れたような姉妹編です。
トム(Tom5k)
2006/05/12 03:03
 トムさん、こんにちは。
 >大ダコ(淡水ダコです)のラストシーンは海外バージョン
 オオダコが出てきたのが海外バージョンだったんですね。ではたまたま今回見たのはそっちだったということですか。外人さんたちも蛸の唐突なお出ましにさぞ戸惑ったでしょうね。

 『サンダ対ガイラ』はビデオか何かで一度見たのですが、20年以上も前である事からディディールをはっきり覚えていなかったので、記事のアップを控えていました。
 たしかガイラ(悪い方)が人間を喰らうシーンがあって、それがかなりインパクトが強かったと記憶しております。
 レンタルで見つけ次第、またアップします。そうそう『キングコングの逆襲』を探し出しました。近日中に書きます。ではまた。
用心棒
2006/05/12 08:57
コメント有り難うございました。
数々の辛口、ごもっともです。しかし、それはそれとして、こういった映画の中では、ドラマで魅せる良い作品に仕上がっていると思います。
山火事での戦闘シーンはホントにキレイでした。ナイスアイデア!
またよろしくお願いします。
ポン太
2006/08/21 19:47
ポン太さん、こんばんは。
>数々の辛口
いえいえ全て愛情表現ですよ。だって特撮映画は映画の華ですもの!
 今年中に何とか東宝特撮映画の代表作である『世界大戦争』、『地球防衛軍』、『宇宙大怪獣ドゴラ』、『マタンゴ』、『ガス人間第一号』、『美女と液体人間』、『怪獣大戦争』、『ゴジラ対ビオランテ』、『キングコングの逆襲』などを記事にしたいと思っています。
> またよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いいたします。ではまた。
用心棒
2006/08/21 22:07
初めまして。こんにちは。フラバラ検索で参りました。
実は、私のトラウマがこの映画だったということがつい最近判明したので、是非トラウマ退治に再観したいなぁと思っのでした…。
フランケンを演じた青年は現都知事の近所の八百屋の息子だったらしいですよ^^
フランソワ・トリュフォーが監修し、都知事が監督された映画にも出演されています。
東宝の推しだったんでしょうか。
ともあれ、近いうちに観たいと思っておりますので、参考にさせていただきます。
つっこみどころ、たくさんあって楽しそうです♪
ちゃとと
2007/01/23 16:22
 ちゃととさん、はじめまして、コメントをありがとうございます。
 「フラバラ」はツッコミどころ満載ですが、「サンダ対ガイラ」は結構シリアスで恐い作品に仕上がっています。子供路線を突き進む「ゴジラ」シリーズのアンチテーゼのようなこの作品も是非ご一緒に見られることをおススメいたします。ご覧になった後で、またご感想をお聞かせください。ではまた。

用心棒
2007/01/24 01:51
 あのタコですが、正確に言うと、海外公開用に撮ったものの、実際の海外公開版ではあのシーンは使われていません。
 タコ・ラストシーンが使われたのは、どうもさらに後のテレビ放送されたときからのようです。
fabius
2007/02/01 12:38
 私も数年前に、小規模な上映会でこの映画を見ました。このときもタコバージョンで、私も周囲も「おいいおい」と苦笑半分という感じで見ていました。
 しかも、続けて「サンダ対ガイラ」が上映されたので、すぐにフランケンの怪物のタコへのリターンマッチを目にする事に。
fabius
2007/02/01 12:42
 fabiusさん、こんにちは。
>海外公開版ではあのシーンは使われていません。
 初耳です!では何故にカットされてしまったのでしょうか。時間の制約なのでしょうか?蛸は日本やギリシャでは食べ物ですが他の国では気味悪がられているので、けっしてお笑いの対象ではないはずなんですけどあの妙にインパクトのあるシーンが使用されなかったのは意外ですね。
 蛸は単なる骨休め、もしくは箸休め扱いなんでしょうか。捨てカットのひとつなんでしょうかね?贅沢な限りです。
 ガッパでもなぜか父親ガッパがオオダコを咥えて熱海に襲来するというシュールなカットがありましたが、あれも意味が分かりませんでした。
 しかし二本続けて観ると奇妙なモンタージュみたいですね。面白そうなので「フラバラサンガイ」を今度やってみます!ではまた。
用心棒
2007/02/01 13:54
こんばんは!いつもありがとうございます!
そうか、、、あの付け足しの感が強いタコのシーンは、サンダ対ガイラへの布石??
あたしは一応、DVDコレクションの記事を書いているのですが、サンダ対ガイラ、ヴィデオしかないケド、見ようかな、、、
猫姫少佐現品限り
2007/05/26 04:08
 猫姫様、こんばんは。
>ヴィデオしかない
 あれ?ツタヤとかではもうDVDが並んでましたよ。あれって、その店ごとの店長判断で決まるんですかねえ。
 ぜひとも全国ツタヤの店長が特撮とモノクロのクラシック映画に執念を燃やし、陽の目を見ない作品をどんどん入れていって欲しいものです。
 もうじきスカパーでは映画ではありませんが、『マグマ大使』『スペクトルマン』『怪傑ライオン丸』が始まるそうです。見たいような見たくないような思い出として残しておきたいような複雑な気持ちです。
 蛸さん登場に関してはキングコング映画では「お約束」の一部ですね。
 ギラーミン監督の『キングコング』では蛇に代わっていてがっかりしました。
 あの蛸さんと水野久美が二つを結びつける「リンク」でしょう。蛸では弱いと判断したので水野さんがわざわざ偽名まで使って両方に出演したのかもしれません。
 ではまた。
用心棒
2007/05/27 01:07
用心棒さんこんばんは。この間ゴジラ映画のコレクターズボックスで本作を買いました。特典映像として大ダコのシーンがありました。それにしてもこの作品のフランケンシュタインは不遇ですよね。続編のサンダとガイラは「ゴッドマン」や「グリーンマン」に出たり、商品化されたのに、フランケンシュタインはこの作品のみで商品化もあまりされません。しかも役者も消えてしまったし。バラゴンは恵まれてるほうですかね?
さすらいの映画人
2017/04/13 20:59
こんばんは!

サンダとガイラ、特にガイラのインパクトはすさまじいですね。フランケンシュタインはソフビ人形にしにくいですし、権利問題とかもありますし、敬遠したのでしょうかね?さすがにオオダコのソフビなんか誰も買わないでしょうねww

ではまた!
用心棒
2017/04/13 23:45

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