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zoom RSS 『大怪獣ガメラ』(1965)東宝のトカゲのでっかいのと、人気を二分した大亀のお話。

<<   作成日時 : 2006/04/05 19:33   >>

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 大映が放った、大怪獣ガメラ・シリーズの記念すべき第一作目がこの『大怪獣ガメラ』です。東宝出身の大怪獣で、1954年にデビューして以来、超人気スターであり続ける先輩ゴジラに続けとばかりに、10年以上の歳月も遅れてデビューしたのが大映の大亀スター、ガメラです。監督には湯浅憲明監督が起用されました。出演には船越英二、左卜全らが顔を出しています。卜前さんは相変わらず、良い味を出しています。

 子供の頃には怪獣しか目が行かないために、お話の「あら」に気付きませんでしたが、中学か、高校の頃に懐かしくて見た時に、あまりのいい加減さに、ひっくり返りそうになりました。出だしは『遊星よりの物体X』のパロディのようでもあり、原爆で目覚めるという設定は『ゴジラ』そのままの有様でした。
  
 では何故これほどまでに人気を保ち続けられたのか。『機動戦士 ガンダム』は今でも人気がありますが、『伝説巨人 イデオン』は消えてしまいました。ビートルズは不滅ですが、モンキーズは破滅しました。仮面ライダーといえば、1号、2号、V3であり、アマゾンライダーではない。ウルトラマンは兄弟が大勢いるが、ミラーマンには友達もいない。

 いったい何故、ガメラは生き続けられたのか。ゴジラは1984年に『ゴジラ』で復活し、以降続編が作られましたが、ガメラは一足早い1980年にマッハ文朱にたぶらかされて、ちょっとだけ出てきましたが、大恥をかいて活動休止に追い込まれました。

 誰がいったい彼を登場させ、大恥をかかせたのか。第一ガメラ・シリーズの中では、一番まともなのが、この作品です。しかし、キャラクターデザインの優秀さ以外に、優れている点が何かあるのだろうか。

 空を飛ぶ亀、しかも口からも、手足からも火を吹きながら、円盤のように飛び去っていく、シュールなかっこ良さは、へドラとの戦いで、東宝のスターが口から火を吹いて、後ろ向きに飛んでいった時の、まるでタツノオトシゴのようなダサさに比べても、役者としての格が違う。

 あの飛行シーンだけでも、彼の素晴らしさは伝わるとは思います。彼の最大の悩みと伸び悩みの原因は、製作者(会社関係の事です。湯浅監督や特撮スタッフはよくやったと思います。)と、ライバル(ましなのはギャオス、ギロンくらい)がショボすぎたからなのです。

 まず脚本が酷い。あの子供がいなかったなら、あのカップルだけで展開させていったならば、かなり芝居としてもレベルが上がったかもしれません。そして頭の良い博士と自衛隊の立てた作戦が、「亀をひっくり返す」作戦と「ガメラホイホイ(でっかいロケット!ガメラは60Mもあるのに!)」作戦の二つのみなんて、あまりにも頭が悪すぎる。一応、「ひっくり返し」作戦時に冷凍爆弾が使われます。

 東宝の自衛隊は対G作戦をいろいろ考えているし、民間人の博士もオキシジェン・デストロイヤーなどという必殺兵器を作れるのです。何も考えていない大映自衛隊はどうしようもない。

 また、プロレスでもそうですが、悪役との戦い(フレッド・ブラッシー、ブッチャー、タイガー・ジェット・シン)や遺恨試合(猪木対大木、橋本対小川、藤波対長州、前田対佐山など)には観客も燃え方が違うのですが、対戦相手があまりにも弱すぎると、興行が盛り上がらない。

 その点、東宝のスターは仲間にも恵まれ、かっこ良いラドン、かわいいモスラ、渋いアンギラスなどを従え、子供まで作ってしまいました。また、仲が悪い喧嘩友達にも、ゴジラよりも派手で、かっこ良いヤクザの大親分のようなキング・ギドラ、クールなメカ・ゴジラ、殺し屋のようなガイガン、外人のキングコングというそうそうたるメンバーがいたおかげで、何試合でもマッチメイクできます。

 シングル・マッチ(ゴジラ対OOのような奴)、タッグ・マッチ(『怪獣大戦争』、『三大怪獣 史上最大の決戦』など)、バトルロイヤル(『怪獣総進撃』、『ゴジラ ファイナルウォーズ』など)、と何でもござれです。子供の教育(『ゴジラの息子』)までやっています。

 かわいそうなガメラは設定も、する事もゴジラと一緒です。原爆で目覚め、子供には弱く、何故か日本を襲い、名所旧跡が大好きで、観光は欠かさない。ゴジラも必ず話題の場所へ足を運びますが、ガメラも空を飛べるという利点を活かし、エジプト、巴里、中国を旅してきます。見聞はガメラの方が幅広そうです。

 まあ、半分ふざけて書いてはいますが、僕はゴジラもガメラも、ともに大好きなスターです。1984年以降の、ゴジラ・シリーズには全部足を運びましたし、平成ガメラシリーズにも当然のように行きました。

 ゴジラは1954年の第一作目を超えるものは残念ながら、ただの一本も作られてはいません。しかし、第一シリーズがまるでダメだったガメラに関しては、むしろ平成シリーズの方が、ストーリー的にも特撮の意気込みとしても完全に上回っています。

 これは珍しい例ではないでしょうか。オリジナルを超える事はほとんど不可能な映画界において、それを超えてしまったのです。出来の悪い親から、孝行息子が育ったような感覚があります。ゴジラは反対に敵がどんどんショボくなり、興味あるカードが少なくなっています。がんばれ、ゴジラ!がんばれ、ガメラ!と心から言ってあげたい。ゴジラは52歳、ガメラは41歳です。

 ちなみに大映は1966年には『大魔神』を登場させますが、彼も短命に終わり、僅か3作品に出演したのみで、引退しました。野球で一年だけ投げまくり、壊れていく投手のようでした。

総合評価 58点
大怪獣ガメラ
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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
―東宝に全然敵わないじゃないか・・
1965年、リアルタイムで「大怪獣ガメラ」を見た最初の印象です。カラー(当時の言い方だと“総天然色”)でないのもガッカリしましたが、それ以上にミニチュアの作りが雑に見え、がっかりしたのを覚えています。
東京の破壊シーンは、「地球最大の決戦」等の当時の東宝作品に比べ、ミニチュアの精度がはるかに劣っている、と子供心にもわかりました。
それと気になったのが、音楽の使い方です。
この一,二年後の「ギララ」や「ガッパ」もそうでしたが、怪獣の暴れるシーンに音楽があまり流れていない。
“東宝だったらもっと音楽を流して盛り上げるのに”と、思ったものです。
当時は子供だから、伊福部昭の名前はもちろん知りません。でも東宝の怪獣映画の音楽は迫力がある、ということには気付いていましたね。
“特撮はやはり東宝。他の会社は全部ダメ”と生意気なことを考えて、渋谷大映を後にしました。
だからこそ翌年の「大魔神」には、腰が抜けるくらいのショックを受けたのですが、それはまた次の機会に。
オールド特撮ファン
2006/05/21 10:33
 熱意溢れるコメントをありがとうございます。
 僕らも子供の頃、好きだった作品というのはずいぶん後になって、思いかえして見れば、円谷英二、伊福部昭、田中友幸、そして本多猪四郎の『黄金の四人』(すいません。自分はこう呼んでおります。)が関わった物ばかりでした。
 大映が、東宝の作品の良さをしっかり研究してから、真面目に制作していれば、『大魔神』シリーズのような傑作が生まれます。
 反対にただ儲かるに違いないと子供だましの急ごしらえのものを作ると、大人だけでなく、子供にも見限られる作品が生まれてきます。
 安田公康に伊福部昭が加わったのが『大魔神』でした。安田監督に円谷英二と伊福部昭が加わったものも見たかったですね。
 ドラマと音楽と特撮がきちんと作り込まれていないと、まともな作品たり得ない。
 特撮の部分をセット、ロケーション、道具で当てはめると、そのまますべての映画に当てはめる事ができます。
 昨日、ガメラの新作を観に行きました。結構良かったですね。どう思われましたか?記事をアップしておりますので、そちらの方にご意見をお聞かせくだされば幸いです。
 ではまた。 
用心棒
2006/05/21 18:57
こんにちは!いつもありがとうございます!
この映画はねぇ、、、困りました。
あたしは元々、昭和ガメラはいまいちなんですが、この映画の子供は、ひどすぎ、、、
ぁ、メフィスト、忘れちゃだめですyo!
猫姫少佐現品限り
2007/06/24 14:24
 猫姫様、こんばんは!
ぼくも、やっぱりゴジラ(猫?)が好き!
>ぁ、メフィスト
もしかして、『悪魔くん』ですか?
姫様は守備範囲がイチロー並みに広いですね!
 ではまた。
用心棒
2007/06/25 00:39
東宝特撮作品に追いつこうと大映が懸命に作ったガメラは特撮技術も演出も劣りますが、下手なりに丁寧な特撮と奇抜なアイデアで評価を得ました。私も好きでしたよ。日活のガッパや松竹のギララがこけた後もガメラだけが生き残ったのは、その情熱ある姿勢だと思います。
東宝の上品さがない分だけ怪獣同士の闘いを徹底的に描いて完全決着をつけました(笑) 3作目までは好感が持てましたよ。4作目以降は何も言いませんが…昭和のガメラあっての平成の復活です。もうゴジラに引けをとりませんね。
キングギドラ
2007/11/12 21:57
 キングギドラさん、こんばんは!
 コメントをありがとうございます。特撮映画というのは語りだしたら、本当にお話が尽きませんね。
 各会社ごとにスター怪獣がいるのも嬉しい限りです。ガッパについても、ここで語りましたが、各々に熱烈なファンがついていますので、面白く書こうとする時には結構気を使うようになりました。とか言いながら、言いたい放題なんですけどね。
 東宝は昭和プロレス、大映はパンクラスやUWF系列の香りがしているように思えます。どちらも大好きですし、新しい興行(つまり新作映画です!)があれば、出来るだけ駆けつけるようにはしています。
>もうゴジラに引けをとりませんね。
 おっしゃるとおりで、ゴジラ・ファンである僕としては平成以降のシリーズで満足しているのは『ゴジラ対ビオランテ』のみです。まあ、『ゴジラ対キングギドラ』も公開初日に劇場の大画面で観たときにはさすがに十数年ぶりの復活に興奮してしまいました。
 平成版ではガメラの圧勝でしょう。
 ではまた!
用心棒
2007/11/13 20:53
TB致しました。
恥ずかしながら昭和ガメラシリーズは全く初めて観た次第。

「ゴジラ」には及ばないまでも、シリーズの第1作なのでそれなりに面白いかと思いましたが、いやあ眠くなりました。

大人の行動を妨害させる為に登場させたとしか思えない子供もさることながら、大人も相当抜けておりますよ。
そもそも自衛隊が作戦面を含めて動物学者の意見に尽く従うなんてのはお粗末。その辺りのバランスはさすがに近年の作品の方が優れていて、当時の特撮映画をそのまま観ると殆どコメディですよね。
オカピー
2007/12/26 18:31
 オカピーさん、こんばんは!
>殆どコメディ
 その通りですね…。ほんとうにトホホな感じで、吉本新喜劇のようなボケが満載の本編には引っくり返りそうになりました。
 平成版では自衛隊の活躍も盛り込まれていて見応えがあるのですが、昭和版の本編はキツイですね。ただ子供向けという姿勢ははっきりしているだけマシでしょうか。
 ではまた!
用心棒
2007/12/26 23:54
こんばんは。
たしかにこの初代ガメラは東宝特撮作品に負ける内容ですね。いや、別にガメラがつまんないのではなく、東宝特撮作品が傑作だからですね。ドラマの深い「ゴジラ」や、美しい「モスラ」や、渋い「ラドン」とか。が、平成期になって立場逆転。それまでやっていた平成ゴジラシリーズがマンネリ化もあって、批判がなされるなか、1995年にガメラが復活。内容的に傑作と言われ、好評。途中、美しさ&可愛さアップしたモスラも公開しましたが、やはり不評。結局東宝組は敗北したのでありました。
ただ、ガメラの造形は好きでしたね。あの亀まんまのデザインが。

2010/06/13 00:01
 こんばんは。
たしかに平成になるとガメラ・シリーズの完成度がゴジラを圧倒しましたね。実際に平成版ガメラを観に行ったときには基本的にゴジラ・ファンであるぼくは羨ましいなあ、と思いながら見ていました。

こうなるといい加減に見たいのはGXG対決ですね。馬場対猪木のような期待感ですが、やっぱり無理なんでしょうかね。

生物としての造型はガメラ・シリーズでしょうね。ゴジラはなんというか歌舞伎のような様式美を感じます。

ではまた!
用心棒
2010/06/13 19:53

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